2020年1月10日金曜日

【阪堺電気軌道】浜寺石津町で初日の出を!


■浜寺へ行け、浜寺へ!
和2年の元日の5時ごろに私は起床した。そそくさと身支度をすると投宿先からほど近い阪堺電気軌道宿院停留所に向かい、浜寺駅前行きの列車を待った。やってきた列車には私しか乗客はいなかった。数駅揺られて、石津停留所で降りた。


宿院で電車に乗ったときはまだ暗いように思えていたけれど、石津で降りる頃には東の空はわずかに明るくなり始めていた。





■初日の出なにそれおいしいの
停留所から海の方、もしくは南海本線のほうへ向かって歩いて突き当たりの紀州街道を左に曲がってすぐのところに、石津川にかかる太陽橋という小さな橋がある。私はここに来たかった。というのは、初日の出を石津太陽橋から眺めることにしたから。一昨年の夏に来てみて、夕方この橋から見る列車や空が好きになった。冬の早朝に来たのは初めてだけど、阪堺電車と日の出をうまく組み合わせて撮れそうな場所は、ここと大和川橋梁くらいしか思いつかない。ただ、大和川橋梁は車体の下半分が隠れてしまうのが嫌だ。景色はもっと雄大な感じで好ましいけどさ。石津川はもっとこぢんまりしているよね。それでもいいのだ。

もっとも、私がこの石津川をめざしたのは、計画的なものではなかった。年末年始に私が堺に投宿したのは阪堺電気軌道の電車を乗り&撮りするためではあった。ところが、「初日の出を見る」などという習慣が私にはまったくなかった(苦笑)。

前の晩にたまたま、大阪時代の仲間とLINEをしていてきかれたのだ。「お正月の撮影って初日の出を撮るの」って。そんなことすっかり忘れていた私は飛び上がった。初日の出えええええ? なにそれおいしいの? って。そして、ふと考えてみると石津川ならば、宿から近いし、列車も組み合わせて見られるかもしれないなあと思いついたというわけだ。電車で行けるし。うっかりたくさん寝るところだったよ……仲間とはありがたいものですね。

■30人ほど集まってなんとなくほがらかに
さて、私が現地にたどり着いたのは6時半前だったろうか。おどろいたのは、すでに初日の出を見ようという先客が数組いたこと。ふだんはここで撮影をしていても、話しかけられはしても、ほかにカメラを持っているひとに会ったことがない。元旦だからだな。都心でオールで飲んでいた大学生くらいの集団はスマホで構えているからパンピーだろう。ミラーレスカメラを構えていた数人は、おそらく同業者かな。テツという意味ね。


もともと紀州街道ぞい(旧街道ぞい)なので交通量はそれなりに多い。歩行者や自転車は昼間であればそれなりにある。車の行き来も少なくない。だけど、ここにひとが集まるところは見たことないなあ……と思っていたらますます人出が増えて、日の出の頃には総勢で30人くらいになった。掲載写真の画面右側の架線柱の奥から太陽が出てきた。太陽が出たら寒さもやわらいで「けっこう見えましたねえ」「ほんま。ええことあるんちゃうかな」なんてみんなでなごやかに言い合って解散して、なんとなく新年っぽいほがらなか気持ちになった。


空の色と水の色がきれいで、動画を回そうかな、などとも考えたけれど、やめてしまった。そこまで自分に余裕がなかったから。でももし、動画を回していたらまわりの人たちの話し声が入った「おもしろ動画」になったと思うんだ。「太陽どっちやろ」「うわ! まぶしいな!」なんて、まわりのおっちゃんたちがずっとしゃべっていたから。それはそれで、浜寺石津町らしい雰囲気にはなったにちがいないので、やっぱり撮るべきだったかも。

【撮影データ】
Panasonic LUMIX DC-S1/LUMIX S 24-105mm F4 MACRO O.I.S., LUMIX S PRO 70-200mm F4 O.I.S./RAW/Adobe Photoshop CC 2020