2020年1月29日水曜日

【カメラ機材チラシの裏】いつまでたってもNikon F2みたいな古いカメラばかり好きでいたら令和になってからNikon Dfを「生やした」話


■私一眼レフ世代だから
はたまたまニコンの一眼レフを使い続けている。こう書くと積極性がないようでよろしくないな。F-301を買ってもらって以来、揃えてきたレンズをいまでも使うことができるため、操作に慣れているから、カメラの作りや明快な描写が好きだから、壊しにくいから、などという理由でおもに使うカメラをずっとニコンにしてきた。筆者が一眼レフを使い始めたのは、ちょうど「ミノルタαショック」のころ。位相差AFを備えた本格的なシステム一眼レフが登場した時期だった。もっとも、筆者自身がAF一眼レフを使い始めるのはずっと遅い。

ともかく、いまや時代の主流は「レンズ交換式ノンレフレックスカメラ」(いわゆる、ミラーレスカメラ)になるという時代にあり、ミラーレスカメラの便利さを享受していても、「好きなカメラ」を問われたら、光学ファインダーを備えた一眼レフだ。

これはもう合理性を欠いていて、おそらくはたんに「子どものころにあこがれていたものだから好き」程度の理由でしかないと自分では思っている。じっさいに、残念ながら視力の衰えも始まったいまとなってはなおさら、ピント合わせの際に拡大表示やピーキングを使用できる電子ビューファインダーを備えたミラーレスカメラの便利さは、すでに手放せないものになっているから。業務で必要な写真はデジタル一眼レフで撮影するのでも、三脚を立ててライブビューで拡大表示を併用しながら撮影するし。

だから、業務で用いるカメラに関しては好き嫌いなどはない。光学ファインダーの画像に酔いしれている暇も、操作の感触にひたっている余裕もないしね。だから筆者自身も業務用カメラはミラーレスカメラにしていくつもりだ。これから書くことはだから、仕事とは必ずしも関係のない、趣味とか自分の精神衛生的上撮りためていきたい写真のためのカメラの話だ。「作品撮り」などというと、ちょっとおおげさな感じがする。

■趣味で使うものの話ね
そういう趣味の写真のカメラには、手触りとか感触とか、そういうなにか好きな要素が多くあるものを使いたいな、と思っている。趣味性といっても過言ではなさそうだ。ここ数年は、そんなカメラと遊ぶ気持ちを心の中から締め出してきた。さいわいなにかと最新カメラに触れる機会もあり、そういう場合にその絵作りや機能に感心しつつ、「では操作音や感触は」などといいたくなる気持ちはやや抑えていた。それにいまのカメラはもちろん、価格帯や対象によるけれど、わりと「機能以外の部分」もしっかりしているものが増えたのは事実だ。スマートフォンとの差別化をはかるため、あるいは画質や機能についての改良が一段落しつつあるあるからだろう。「機能プラスアルファの、趣味的な部分の充実についてもご対応をどうぞお願いします」とみんなでカメラメーカーにお願いし続けた結果かも。




そんなことを考えながら、ひまな時間にはNikon F2を棚から取り出して空シャッターを切ってはため息をついていたわけ。世の中にいろいろなカメラがあれど、ファインダーの見え方とか操作の感触について言い出すならば、知っているカメラのなかでもっとも好きで、いまでもほんとうはできるだけ使いたいのは私にはNikon F2シリーズだ。Fに似たデザインでもかなり現代的になっているところがいい。幕速を速めたぶん、「パシン!」と大きなシャッター音がするので、スナップショットなどよりもむしろ、お互いのテンションを上げながらモデルさんを写すとか、列車の走りを追うなんていう撮影に向いていると、個人的には思う。たしか、赤城耕一さんがどこかでそんなことを書かれていたはず。

むかしのあれはD80のころだったっけ。木村拓哉がニコンのテレビコマーシャルでやっていた、夜に自室でカメラの空シャッターを切って「かっけー」「やっぱいいわニコン」というあれ。私の場合はF2でそんなことを日夜している。というのは、いまのフィルムの値段を見ると、気合の入った写真をきちんと撮るぞ! というとき以外にはちょっと私には使いづらいから。F2を使うなら期限切れカラーネガフィルムなどではなくて、コダックポートラ160やエクタクロームE100シリーズ、あるいはイルフォードXP2スーパー、富士アクロス100IIなどのいいフィルムできちんと撮ってみたい。

■そう思っていていまごろになって



ずっとずっとそんなことを考えていて、昨年末にNikon Dfをえいやっと手に入れてしまったというわけですよ。ずっと入手しそこなっていたから。

ええと、いくつかいいわけをすると、マニュアルフォーカスニッコールレンズやDタイプニッコールレンズがとてもよく似合うカメラボディで、高感度の絵はいまでも悪くない。35mmフルサイズ一眼レフとしては小柄なほうでもあるところもいい。そしてなによりも、やっぱりこういうクラシックなデザインが好きだから。いままでの長い長い前置きをひとことで言い表すならば、趣味の世界では自分の気持ちに正直になろうと決めた。

とはいえ、2013年に発売されてから今年はええっと2020年か。画像処理エンジンで考えるとDfはEXPEED 3で、先ごろ発表になったD780はEXPEED 6だから……3世代前の機種だ。もう自慢にもならない、というよりも周囲の仕事仲間に失笑されております。人間とは不条理で非合理的な生き物なんじゃないですか(まるで他人ごと)。2018年から205系電車で103系電車を置き換えているJR奈良線みたいなものじゃないかな(意味不明)。

もっとも、D780の発売がもう少し前だったら、D780を手に入れていたかもしれないけれどね。そして、光学ファインダーの見えなどは、いまでも「D850がいいなあ!」と思うし。あーあ。ばかだなあ、私はほんとうに。でもな……DfはDfで、やっぱいいわ。