2020年2月22日土曜日

【カメラ機材の話】AI Nikkor 85mm F1.4Sについてあれこれ思うこと(実写編)


■AI Nikkor 85mm F1.4Sだけであれこれ撮る
回はA3用紙に文字を打ったものを絞りを変えて撮影する簡易チェックのようすをお話した。その結果、どうやらこのレンズは「絞り開放では高周波の被写体の周囲にパープルフリンジが出て、フレアが淡くとりまく。周辺光量落ちも顕著に見られる。いずれもF2でかなり軽減される」という傾向がありそうだ。それをふまえて実写した作例をお見せしたい。

■すべて絞り開放で撮ってみた
いずれも、ボディはNikon Df。すべて絞り開放(F1.4)で撮影距離をいろいろ変えている。ピント合わせはファインダーだけではなく、暗くなったらライブビューで行った。いずれも手持ち撮影だ。マニュアル露出モードでの撮影がおもだが、感度自動制御を用いているカットと、シャッター速度調整を1/3ステップに切り替えているカットもある。

■いけね、現像時に色収差と周辺光量落ちのレンズプロファイルをあてちゃった
ファイル形式RAW+JPEG Large Fineで撮影してAdobe CameraRawで現像している。ピクチャーコントロールはCameraRawでの「カメラスタンダード」 だ。ホワイトバランスは4,760K。カメラ側で行なっているADLとヴィネットコントロールはAdobeで現像するためにキャンセルされてはいるはず。

あ、よく考えたら色収差と周辺光量落ちはAI Nikkor 85mm F1.4Sではないほかのレンズのプロファイルをあててしまったから……あは。あまり参考にならないかもしれないな。もっとも、パープルフリンジはマニュアル補正をしないと消せないけど……そういうわけで、これは「私のふだんの使用環境でどう写るか」のチェックに過ぎない。したがって、色収差補正や周辺光量補正をオフにした「完全に素のレンズの画質の厳密なテスト」にはなっていないことはご了承いただきたい。

1/250 ISO100

1/4,000 ISO100

1/125 ISO400

1/2,000 ISO100

1/100 ISO100

1/30 ISO800

1/40 ISO400

1/320 ISO400

1/30 ISO1,600

■レンズの欠点が出にくいように撮るクセがついているかも
いまどきの「古いレンズで撮った写真」ふうの、フレアがどーんと出たハイキーな写真はめったに撮らないので、そういうのを期待されていた方には申し訳ない。そして我ながら被写体があいかわらずしぶい。それでも、「思ったほどにフレアっぽくにじまない」というのがいろいろ写した感想だ。CameraRawでおおざっぱに補正してしまったというのを割り引いても、やわらかめによく写ると思う。

このレンズ、あるいは私の個体のように80年代の製品の欠点である、強い光源が入ると大きなフレアとデジタルゴーストが出るとか、画面四隅は絞り開放では点光源が三角形になるなどという欠点を出さない撮り方を無意識のうちにしているみたい。私はふだんはこのあとで業務の写真ではないなら周辺光量落ちを意図的に入れる。どんなカメラとレンズも使い方を工夫すればいい、というのが今回の結論かも。

それにしても、ここ2週間ほどむりやりAI Nikkor 85mm F1.4Sばかり使ってみて、少しは使い方が身についてきたかも。ほかのレンズもいっしょに持ち歩いていたけれど、私はあまりレンズ交換をしないのだ。装着しているレンズで絵柄を考えてしまう。横着なのだけどさ。そして、DfとAI Nikkor 85mm F1.4Sの組み合わせは見た目だけではなく、写りもけっこう気に入ってしまった。レンズを30年間所有し続けてきてよかった。

【撮影データ】
Nikon Df/AI Nikkor 85mm F1.4S/RAW/Adobe Photoshop 2020