2008年11月18日火曜日

【しなの鉄道2008年11月】「国鉄色を撮りに」(その2)

【はじめに】
本エントリーは旧ブログにて掲載していた、2008年11月18日付記事をもとに、加筆訂正したものです。筆者自身が国鉄型の車両を見たくなったので、記事を復活させます。記事のネタ切れなんだろ? ぶっちゃけ? と思われるかもしれませんが、そんなことはあ、ござんせんよ。リバイバルカラー電車について書いたリバイバル記事を続けます。

【前回までのあらすじ】
貧しいサラリーマン編集者である「私」は、「俺の非凡人たるゆえんは自己増大するロゴスだ」「人類はパンのために喜んで奴隷になるではないか」と、どこかで読んだことのあるような理論を駆使することなく、金貸しの老婆、じゃなくてしなの鉄道169系電車を撮りに出張翌日にやってくる。出戻りにわか鉄である「私」はだが、なんども絶好の撮影チャンスを活かせないまま。失意のあまり崩れ落ちるも「んじゃま、好きな写真を撮ればよくね」などと、持ち前の立ち直りの早さを見せる……。なんの話かわからないか。



千曲川橋梁では周囲の秋らしさを写真に収められず残念な思いをした。でも、思えばもともと季節感などを画面内に入れることよりも、車両のフォルムを活かすような写真に興味があるのだ。とはいえ、いまひとつ不完全燃焼だが、国道沿いを同じ道を戻るのもつまらない。篠ノ井まで歩くことにした。


またこれがね……。駅までは道を迷って1時間以上かかったのだから、二日酔いで撮影に行ってはいけないということは推して知るべし。いろいろぬかりすぎだ。とはいえ、道すがらに、りんごがたわわに実っているようすを見て、「長野だなあ」と思いながら散策したのだから、気分転換にはなった。

篠ノ井駅前に着いたものの、駅前に食事ができるお店がない……。地方の鉄道駅は起点となる駅以外はほんとうにもう……コンビニとホテルしかない。あきらめて西友で食べ物を買った。どうも、遠出をした感じがしない。

篠ノ井で上り電車を待つと、対向の下り列車にはまたもや169系S52編成。ロスタイムが大きかった。この電車の長野からの折り返しは戸倉入庫……。これから移動しても、行ける場所は戸倉までということになる。

やって来た上り電車に乗り込んで必死で撮影地を探す。屋代……でも、駅撮りは最終手段にしたい……などと考えていて、けっきょく戸倉まで来てしまった(まだ千曲駅は未開業だった)。でもこれが正解だった。戸倉の手前には斜面が迫ってきていて、紅葉を絡めて撮ることができそうだ。

列車が通過するまであと15分

よっしゃ! と気合いを入れて線路沿いの道を歩く。数人のファンに出会うが、あいさつをしても誰からも返事がなくとてもがっかりする。なんなのだろう、あれは。大人なのにねえ。シャイなの? はずかしいの? そして、引きのアングルを見つけて立っていると、あとから3人ほどやってきて、カメラを構え始めた。全員無言。

列車が通過するまであと5分

私は首からわりと大きなカメラを出して、スーツのままで畑のそばに立っていたから、けっこう目立っていたと思う。一声かけようとしたけれど、みんな目をそらすのでやめる。いまほど私は怖そうに見えなかったとは思うのに(いまは怖そうに見えるらしいw)。スーツでカメラを構えていて変だったかなあ。ま、にこにこしていなかったのはきっと私なのだろうね。ネイビーの色のビジネスおじさんスーツで、でかいカメラを構えてむっとしていたら、そりゃ怖いか。私自身はじつをいうとたいへんな人見知りなのだが、おじさんになったことと職業上必要に迫られて「明るいあいさつをする人格」を身にまとっているだけだ。

列車が通過するまであと1分

天気がどんどん悪くなり私の機嫌も悪くなる。やわらかい西日がかくれてすっかり曇ってしまった。忍法ホワイトバランス変更の術で色温度を変えた。そこへ、列車がゆっくりやってきた。追い写しで撮ることにして、連写を開始する。だいたいみなさんのレリーズのタイミングが同じで、思わずくすりと笑う。でも、自慢ではないが(半分自慢)いちばん最後まで追い続けたのはしつこい私だ。どうせならいろいろなアングルで撮っておきたいじゃないか。



さて、自分が撮影を終えてみると、横にいた数人のファンはすでに撤収していた。姿かたちも見えない。彼らは一言も言葉も発していない。もしかして……キツネに化かされたのかしら? 物の怪であれば人語が通じないのはやむをえないか。

【撮影データ】Nikon D2X・Ai AF Nikkor 50mm f/1.4D・ISO400・RAW(Capture NX2にて現像)・撮影地:しなの鉄道戸倉~屋代(当時、現在の戸倉~千曲)(2008年11月撮影)

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