2020年6月9日火曜日

【秩父鉄道沿線PETIT撮影記事】Nikon DfにAI Nikkor 50mm F1.8Sをつけてひさしぶりの「電車散歩」


■秩父で自分の「試運転」
東地方もそろそろ梅雨入りしそうだ。ここ数日はそれでも日中に青空が広がっているのはやはり気分が明るくなる。もっとも、自分の住む地域の緊急事態宣言はとりあえず解除されたとはいえ、まだ県境を越えての不要不急の移動はさけるように報じられているので、用心してとくに土休日はまだ外出していない。朝晩にカメラを持って散歩する程度だ。

そんなおりに試写すべき機材も届いたので、秩父へものすごくひさしぶりに出かけてロケハン(撮影の下見)をした。ロケハン兼散歩というべきか。私の住むところからだと秩父ならば「県境を越える」ことにはならない。それでも、用心をして平日の午後遅くに出て少しだけ歩いただけにとどめた。


■観賞および撮影兼用デジタルカメラ
試写すべき機材とはべつに、自分の写真用にNikon Dfも持っていった。このカメラは私にはデザインとアナログな操作系が好ましく思えるのと、ずっと入手できなかったために、いままで所有したデジタルカメラのなかではとても強い愛着がある。そういうのを「こじらせる」というのかも。枕元に置いて触れながら写真の構想を考えていることさえある。私はこれでも仕事のひとなのに、いささかきまりが悪い。書いているくせにあれだけど。

検索でここにお越しになる方の大半が「D2X」でお越しになるようなので、いちおう断っておくと、D2Xはその信頼性は好ましく思えていたけれど、趣味性を感じたことはない。D2Xが好きな方にはもうしわけない。

いつもあれこれ書いてしまうように、Dfはたんに私のアナクロな好みに合うデザインだから好き、というひとことにつきると思う。スペックや使いやすさなどの合理性を問うべき道具ではないよね。非合理性をもっともらしく説明しようとするとますます話が長くなる。

もっとも、デジタルカメラは私には実用の道具なので、空シャッターを切って鑑賞するだけではなく、Dfでもちろん撮影もする。撮ってこそのカメラだ。ただ、家のなかと早朝の自宅周辺を散歩がてらに身近なものを撮るのばかりではなく、もう少しほかのものも撮りたくなった。それに、数年前にDfをお借りしたときは使い込んだけれど、昨年手に入れてからはまだ本格的には使い込んでいるわけではないから。




■写真が暗いよ
さて、平日の夕方から夜の西武秩父駅や秩父鉄道沿線にはまだ観光客が少ない。そりゃあそうだ。人出は数えるほどといってもいい。土日を意図的に避けてはいるけどさ。自分の写真をこうして振り返ってみると、人出の有無には関係なく、雰囲気の暗さに苦笑する。陰キャまる出しかよ。べつに落ち込んでいるわけではないけどなあ。元気いっぱいでエネルギーに満ちあふれているわけでもないか。

もともと、よほどの理由がないとハイキーにして撮ることはないからね。それでも、撮っているときはけっこうバイブスが上がっているんだぜ。いまどきふうの言葉遣いをむりにしてみたよ。



■AI Nikkor 50mm F1.8Sとの組み合わせがいちばん好き
さて、このNikon DfにはふだんはAI AF Micro Nikkor 105mm F2.8Dを装着してばかりだ。先日からお見せしている最近の写真もほとんど105mmだ。今回も道中はずっとその組み合わせであれこれ写していた。けれど途中からもう少し画角を広げたくなり、AI Nikkor 50mm F1.8Sにつけかえて、帰宅するまでずっとそうしていた。もう少し軽やかに写したくなった。

私にとってNikon Dfにいちばんよく似合うように思えるのは、いつもいつも書いているけれど、くどいけれど、マニュアルフォーカスのAI Nikkor 50mm F1.8Sだ。ほんとうにしつこくてごめんなさい。デザイン的に似合うというのはもちろん。それと、Dfはボディの厚みがあるので、やや大柄だ。大きいカメラに「パンケーキレンズというほどではないにせよかなり薄くて小さいレンズ」を装着した姿を見ると愉快に思うという、うまく説明しがたい好みがあるからかもしれない。アンバランスさに魅力を感じるからか。

そういえば以前、大西みつぐさんがあるときAI Nikkor 45mm F2.8Pをデジタル一眼レフに装着していたのを見て「かっこいい」と思ったことがあったのだった。

AI Nikkor 50mm F1.8Sはいまでも光学系がAI AF Nikkor 50mm f/1.8Dでも使われていて、むかしのカタログには「倍率による収差変化が少ないので、さまざまな撮影に使える」ともあった。以前は絞りによる描写の変化の大きいAI Nikkor 50mm f/1.4Sもしくは光学系が同じAI AF Nikkor 50mm f/1.4Dを好んでいたけれど、ここ10年ほどはF1.8Sを使うことが多い。AI Nikkor 50mm F1.8Sはわりと小柄でめずらしくもなく、おおげさに見えすぎない。でもけっこうよく写るところが好き。しぶい通っぽく見える道具なのかも。D2Xでも私はしばしば使っていたよ。

あれれれれ。私は以前から所有するボディのすべてにこのレンズを装着して楽しんでいるかもしれない。「AI Nikkor 50mm F1.8Sにもっともよく似合いそうだからDfを手に入れた」可能性もある。あぶないぞ。


【撮影データ】
Nikon Df/AI Nikkor 50mm F1.8S/RAW/Adobe Photoshop CC 2020