2020年6月14日日曜日

【関西リハビリ鉄2019】畝傍の「駅ナカ」ザクロの木


■畝傍駅の建て替え計画
2020年6月14日(日曜日)づけの朝日新聞デジタルによれば、奈良県橿原市にあるJR桜井線(万葉まほろば線)畝傍駅の建て替え計画があり、JR西日本が橿原市に畝傍駅の現駅舎をゆずることを提案したという。同記事なかほどにはこうある。以下、引用する。

(引用始め)
「JR西日本によると、老朽化した駅舎の建て替え工事を検討していた。一方、市は、畝傍駅を含む中心市街地で、にぎわいをつくり出すための基本計画をつくった。これを受け、同社と市が協議し、駅舎を無償譲渡できる枠組みができた。同社は今年度中に譲り終えることを目指している。

市は駅舎を『歴史のある建物で魅力がある』と評価し、地域交流や観光の拠点になると期待する。券売機や改札口など駅としての機能を最小限残したまま、民間の運営で駅舎を活用できないか検討を始めた」
(引用終わり)

橿原市役所WebサイトにもJR畝傍駅の駅舎及び駅周辺の活用に関するサウンディング調査の実施についてのページがある。



畝傍駅は皇紀2600年である1940年(昭和15年)に建造され、皇族の橿原神宮や神武天皇陵参拝に用いられたために貴賓室のある木造の大きな駅舎だ。

もっとも、いまとなってはほぼ並行して走り大阪都心部や京都へ直通できる近鉄大阪線・橿原線大和八木駅と同橿原線八木西口駅に比べると利便性はやや劣るといわざるをえない。そのためか乗降者数もいまでは周辺の近鉄駅と比較するとたいへん少ないようだ。市役所にも近く「市街中心地」の外れの住宅地に静かにたたずむ駅といっていいだろうか。

無人化され、最小限の機能改修はなされてはいて清潔には保たれているものの、下り高田・王寺・五条方面行き列車(2番線)に対してはバリアフリー対応がなされていないのを見ると、建て替えや改修は必要だろうと素人目にも思われる。それが、駅舎を残して改修する方向になるのならばよろこばしい。ここ数年来、JR桜井線は車両だけではなく施設も少しずつ整備されつつあるようで、その一環なのだろう。



■駅ナカにザクロの木がある
畝傍駅のプラットホームはやや高いところにある。改札口を通ると中庭のようになっていて、そこに設けられた階段を登って上り桜井・奈良方面行きプラットホーム(1番線)に出る。下り高田・王寺・五条方面(2番線)へは1番線にいちど出て、そこにある跨線橋を渡る。

その中庭のようになっている部分には植木があり、ザクロの木も植えられている。2020年6月現在のいまもあるかどうかは知らないけれど、少なくとも2019年8月上旬にはまだ存在した。赤い実が落ちていることもある。もちろん、食べたことはさすがにない。待合室のベンチやプラットホームのベンチに座って列車を待つのももちろんいい。夏休みには地元の高校生たちがおしゃべりをするために待合室にいることも。

私が好きなのは、プラットホームへの階段あたりに腰掛けてザクロの木や木漏れ日を眺めること。ご存知のように奈良盆地の夏はたいへん暑い。それが、木陰があると心なしか涼しげに感じられる気がする。なんといっても、駅のなかに木陰があるというのは楽しい。



■駅が好きだから通っていた
JR桜井線の桜井〜高田を走る列車の本数は平日には上下ともに1本程度しかない。なんどか書いているように、私は一昨年と昨年の夏に関西にそれぞれ2ヶ月ほど滞在して、自由な時間にはJR桜井線と和歌山線を走っていた105系電車を追いかけていた。近鉄で八木西口まで来て、歩いてこの畝傍駅に来てJR桜井線に乗り換えるということをよくしていた。

乗り換えが便利だからという理由ももちろんあったけれど、もっとも大きな理由はこの畝傍駅が気に入ったから。そのたたずまいが気に入って列車を待つあいだになんどもカメラを向けた。ただし、ハードディスク内を参照しても駅舎を真正面から写したことがほとんどないことがわかり、苦笑した。



■ザクロの木が残るとなおうれしい
いまの駅舎がもし残されるのであればそれはとてもうれしい。なんといっても、橿原市民や利用者のみなさんにとって便利で使いやすい駅になってくれればと希望する。ただ、もし可能ならば、沿線住民ではないひとりの鉄ヲタの勝手な希望であることは承知のうえで願うのは、あの「駅ナカのザクロの木」もいまもあって、今後も残ってくれれば、個人的にはなおうれしいということ。

町中の駅なのに大きな木が駅構内にあり、その木陰が気持ちよく過ごせるというのは、いまとなってはとてもぜいたくで貴重な体験ではないか。たいていの乗客のみなさんはザクロの木があろうがなかろうが関係なくて、スマホいじりをして過ごすのかもしれないけれどね。ともあれ、今後の動向を見守りたい。



私は昨年夏以来足を運んでいないので、またあのザクロの木の下で列車を待ってみたくなった。行くたびに昼食をどこか道中で購入してこの「駅ナカのザクロの木」の陰でとっていたものだ。真夏にしか行ったことがない。そのために、まるで「私の夏休みの思い出の駅」のように思えて、勝手な思い入れが強くある。


【撮影データ】
Panasonic LUMIX GX7 Mark II/LEICA DG SUMMILUX 15mm F1.7 ASPH., LUMIX G 42.5mm F1.7 ASPH. POWER O.I.S., LUMIX G VARIO 45-150mm F4.0-5.6 ASPH. MEGA O.I.S/RAW/Adobe Photoshop CC 2020

*いずれも2018年8月、2019年7月に撮影