2023年6月21日水曜日

【西武狭山線撮影記事】「黄色い101系電車」だらけのひとり「西武狭山線大撮影大会」(2023年梅雨編)

245編成と249編成の2本がイエローベージュ塗装。
写真は249編成で、小手指車両基地から狭山線への1本めの送り込み回送

■西武狭山線の新101系はいまは「黄色い電車」だけ
いまはいちばん日中の時間が長い夏至だ。日没時間が遅いので19時ならばまだ明るい。もっとも、梅雨時で暗い空の日が多いからその恩恵を感じにくいかもしれない。

私はいまこの夏至の恩恵を享受している。それは、西武狭山線を走る新101系電車を、ベルーナドーム(西武ドーム)での野球開催日ではない平日ならば、薄暮のうちに撮ることができるから。

2023年6月末現在、小手指車両基地に所属している狭山線運用に用いられる新101系は、245編成、249編成、263編成の3編成。このうち、前二者はイエローとベージュの登場時の塗装をまとっている。そして、牽引車でもある263編成はご存知のように黄色一色だ。

つまり、狭山線運用にあてられている新101系はいまは「黄色い電車」しかいない。いまならば「『黄色い101系電車』だらけの大撮影大会」(どんどんどんぱふぱふぱふ!)ができるということだよ、ワトソンくん。昭和すぎる言い方ですまん。

新101系に塗られた赤電塗装は私は好きではあるし、側面の塗りわけを見ると雨樋位置の高い新101系には映える。地方私鉄に譲渡されて各社でまとっている独自塗装にも好ましいものもたくさんある。新製時には予想もしなかった姿で活躍している例もあって、それはそれで興味深いし、うれしくも思う。だから「むかしはよかった」とばかり言いたいわけではない。

だがしかし、新101系は本来は「黄色い電車」だ。そして、この意匠には意味がある。「応答性が高く効きのいいブレーキとカルダン駆動を備えた高性能車」という意味だ。従来のローズピンクとベージュの塗装の旧型電車とはおそらくは運用上の区別をしやすくすることと、イメージチェンジを兼ねて黄色く塗装された。101系以降の2000系、3000系、9000系が黄色い塗装だったのはこういう意味がある。

私は101系の登場時の塗装を覚えているし、それが似合ってもいたと思っている。だから、イエローとベージュのツートンカラーに塗られている姿が、私にはいちばん好ましい。もちろん、口うるさいヒヒジジイの戯言(ざれごと)と思ってもらって構わない。いうこともいちいち古いしね。

私は赤電塗装も、西武新101系の譲渡先の名称である近江鉄道900形『あかね』号や上信電鉄500形の塗装も好きだけど、私がより好きなのは新造時のイエローベージュということさ。たんに見慣れているだけかもしれない。

そして、2023年でもその姿を見ることや写真を撮ることができることをありがたく思っている。

西所沢4番線を通過していったん所沢へ回送する送り込み列車1本め
これも249編成。パンタグラフがあって抵抗器が並ぶ奇数電動車が好き

コーポレートマークが変わったり駅ナンバリングができたり
屋根の通風器もなくなっても
「昭和終わりから平成初期の西武鉄道の駅の典型例」みたい

■昼間は1運用だけだから
狭山線運用の新101系が「黄色い電車」だらけであることと、夏至にどういう関係があるのか。昨年も記したように、2022年のダイヤ改正以降は平日の日中は新101系は1運用しかなく、同じ編成が行き来するだけになってしまったから。新101系2編成が行き来するのは朝と野球開催日ではない平日の夜の比較的早い時間だけだ。

2編成が行き来する姿を撮るには、朝早くか夕方になる。私に撮影しやすいのは日没後だ。そして、狭山線の夕方の運用に新101系が入るのは、18時41分西所沢始発西武球場前行きから。次の18時55分発も新101系になる。くわしくは2022年6月20日づけのエントリーも合わせて参照されたい。それ以降の時間でまだ空が完全には暗くないというのは、夏至前後ということ。

日没後でも私は撮ることができると自負しているけれど、薄暮の時間に写せることができるならば、その姿も見たい。

上下交換をねらってみたけれど
この場所から列車が並ぶ姿を撮るには運も必要かも

■AdobeのAIノイズ軽減機能を頻用している
暗い時間の撮影では私は35mmフルサイズのNikon Dfを持ち出す。ISO3,200くらいまでで、十分な光量を得ることができるならば、高感度ノイズは気にならない。画素ピッチが大きく、ダイナミックレンジが広いので、撮影後に明るさを大きく変更する意地の悪いRAW現像をしても、画質劣化が少ない。

そして、この春にAdobe PhotoshopとLightroomに搭載されたAIノイズ軽減機能もフル活用している。私のように暗いところで写真を撮りたがる人間には、非常に強力なツールだ。

私の鉄道撮影では望遠レンズを使うことが多く、露出アンダーになってでもできるだけ高速のシャッタースピードを選ぶことが多い。手ぶれと動体ぶれを防ぐためだ。手ぶれ補正機構のないレンズばかり使うしね。そして、絞り開放で使うよりも少しは絞りたい。そうやって得たカットを無理やり現像することが多い。そうなると、通常のノイズリダクション機能では高感度ノイズがそれほど改善されないことが多かった。

AIノイズ軽減機能はそれを大きく改善してくれるのだから、非常にありがたいツールというわけだ。画面を明るくする現像をしやすくするから、結果としてダイナミックレンジが広くなったように感じられる。そこが私には最大の恩恵だ。

西武球場前行き列車が遅延したものの、ねらっていた感じに列車が並んだ。
そしてやはりパンタグラフのある263編成を主に撮るのが好き。
空が明るい時期ならパンタグラフを空に抜いてめだたせることができる

この場所で下り列車を引き寄せようとすると
どちらかが遅延しないと撮りにくいのかも

■イエローベージュを撮りに行っても263編成を撮ってしまう
さて、小手指車両基地と白糸台車両基地のあいだでは、数ヶ月おきに車両の入れ替えを行っている。2022年のいつだったか、狭山線にはイエローとベージュのツートンカラーの編成が走っていたことがあった。

2022年1月

2022年1月

それなのに、2021年2月に263編成が転属してきた直後と、赤電塗装が2編成いた時期にはあれほど撮っていて、イエローベージュの塗装が好きだといいながら、狭山線では本格的に追いかけていなかった。

理由は思い出せない。自分の撮る絵柄がいつも似ていることに、飽きたのかもしれない。どの編成がいつ多摩川線へ行き、戻ってきたのかも記録していなかった。野球開催日ではない平日ダイヤを調べることもしなかった。

そう思っているあいだにイエローベージュの編成が多摩川線に行ってしまった。だから、その「リベンジ」という意味で、今回はしばらく狭山線をひさしぶりに訪ねてみよう。そう思ってこの数日通った。

これからも、いままで試みなかった撮り方を身に着けていきたい。新しいことを自分に課していかないと、脳が活性化できなくてよろしくはないからね。

そういいながら、たくさん撮ったつもりでいた263編成を見ると、ついそちらも追いかけてしまう。自分でも笑ってしまうね。だって、パンタグラフがたくさんある全電動車の263編成はカッコいいのだもの。走行音も大きくて加速も早い。4両編成で2,400kwも編成全体の出力がある全電動車で、通常の4両編成の倍の力があるだけあるなあ……なんて。

もっと明るい時間にも撮っているのに
「光がよく回っているなあ」と思ってまた撮る。
そういうところが我ながらオタクっぽい。荷物もいつも多いし

【撮影データ】
Nikon Df/AI AF Nikkor 180mm f/2.8D IF-ED,AI AF Nikkor ED 300mm F4S (IF)/RAW/Adobe Photoshop CC