2024年6月22日土曜日

【上毛電気鉄道懐かし記事】京王3000系=上電700型抵抗制御車の主電動機

AF-S NIKKOR 24-120mm f/4G ED VR

■Nikon Dfで撮っていた上毛電気鉄道
10年ほど前にNikon Dfを借りて上毛電気鉄道沿線をよく訪問していた。Kindle電子書籍でNikon Dfのハウツー本を『ぼろフォト解決シリーズ』として2冊出すためだ。現在もまだ販売しているから、ぜひお買い求めいただきたい(いきなり広告)。月額制読み放題サービスkindle unlimitedにも対応している。



本稿は何も広告を赤裸々にしたいわけではない。ふとしたことで上毛電気鉄道700型について調べていて思い出した前掲書のための写真を再現像して、春の沿線はいいところだな……と懐かしんでいる。大胡電車庫でのイベントに関連してデハ101号が運行されるたびに訪問していたが、残念ながらコロナ禍でイベントもあまり行われなくなったこともあり、たしか2019年以来ごぶさたしてしまっている。

AF-S NIKKOR 70-200mm f/4G ED VR

AI AF Nikkor ED 300mm F4S (IF) 

■上毛電気鉄道700型のことを調べていて
上毛電気鉄道700型電車はご存知のように京王3000系のうち抵抗制御の比較的初期に製造された車両だ。2両編成が全8編成導入された。

すべてが先頭車(制御車)だが、その当時、京王3000系のうち京王に残されて譲渡できる先頭車がすでに払底していたために、第5編成(715編成)、第6編成(716編成)、第7編成(717編成)は中間車にオリジナルの先頭部分とよく似せた普通鋼製の運転台ユニットを取りつけて先頭車化改造がなされている。改造車は正面窓下に銀色で無塗装の通風孔蓋がなく、正面窓間の「鼻筋」がめだたず、この左右窓の間隔がほんのわずかに広く感じられる(見まちがいかもしれないがいつもそう感じる)。だから見分けは簡単につく。

AF-S NIKKOR 70-200mm f/4G ED VR

AI AF Nikkor ED 300mm F4S (IF) 

■TDK806シリーズ主電動機はのちの国鉄MT46主電動機なんだってさ
その上毛電気鉄道700型の走行性能を見ていて「直巻電動機TDK806/3-C(100 kW)」という文字列に気づいた。あれ……東洋電機製造のTDK806シリーズ主電動機は、上信電鉄200形、250形、1000形、6000形にも使われていて、国鉄MT46によく似たいい音を立てるよな、ということに。

そう思って検索をかけてみると……このTDK806シリーズ主電動機は小田急3000形SE車に採用されてからまもなく国鉄に採用されてMT46となり、改良されて上記の上信電鉄の各形式だけではなく静岡鉄道300形、1000形にも使われているのだそうだ。

抵抗制御の京王3000系が原型である上毛電気鉄道700型だけではなく、北陸鉄道8000系もTDK806主電動機だという。界磁チョッパ制御の後期型ではなく抵抗制御の車両が譲渡に選ばれたのも興味深い。その当時の譲渡先でのメンテナンスのしやすさのためなのだろう。もっとも、上毛電気鉄道は京王重機整備に車両整備を外注しているが。北陸鉄道には京王3000系の車体だけ譲渡された7700系もあり、こちらは架線電圧600Vの石川線用で主力の7000系電車と同様に揃えられているが、MT54もしくはHS-836-Frb主電動機であるもののやはり抵抗制御だ。

こういうことを知ると、上毛電気鉄道700型がいまさらながらずっと好きになってきた。我ながら変なことを言っている自覚はある。この春に東京メトロ03系が800型として導入されて700型のうち3編成を置き換える計画だというから、うかうかしていてはいけない。

それにしても、上電700型は何度も乗っているのに、その主電動機に気づきもしなかったのは我ながらうかつすぎる。

AF-S NIKKOR 70-200mm f/4G ED VR

AF-S NIKKOR 24-120mm f/4G ED VR

■どうしていままで気づかなかったのか
私は何も鉄道関連の音を収集するほどの熱意があるわけではない。それでも、乗っている車両の主電動機の音は聴き入るタイプだ。上毛電気鉄道700型は起動時にいい音がすることは乗るたびに思っていた。だが、まさかMT46主電動機の原型であるTDK806であることに気づかなかった。

MT46を使っていたかつての秩父鉄道1000系電車はその走行音が好きで乗りに行っていたというのに。上信電鉄でも250形や6000形に乗る機会があって録画できる道具を持っていて可能ならば録画するほどなのに。参考までに秩父鉄道1000系と上信電鉄6000形の動画を貼っておく。




なぜ気づかなかったのか。それはまず、書籍やウェブサイトで上電700型の走行性能についてきちんと調べていなかったから。まずはこの「知っているつもりで調べない」ということの弊害は大きい。

私は訪問先の鉄道のことは必ず下調べをするし、何かを書くにも必ず参照できるものを探す。それでも見落としがあるということだ。だから、最初から調べもしないと、その書きものの内容がどれほどいい加減になるか、想像できるのではないか。もともとの知識のなさはやむを得ないが、知識を得ようという努力を放棄するのはつまらない。

こうしていまになり、YouTubeなどで走行音をアップされている皆さんに感謝しながら700型の走行音を聴いてみると……どうも上毛電気鉄道ではあまり速度を出さない区間が多いためか、主電動機を高速域になるまで力行させないのではないかという気もする。それでも、勾配のある区間ではたしかにいい感じの高音域の音も出ていて、たしかにMT46に似ている。私はもしかしたら、移動中にいつも居眠りしているのかもしれない。

そして、おそらくは冷却用の風洞の構造などがMT46とはことなるために、発する音色がMT46とは必ずしも同じではないのではないかと思う。

それはともかくとして、ひさしぶりに上毛電気鉄道沿線を訪問してみたくなったから、いまさらながらでも主電動機に気づいてよかった。MT46系列の主電動機はもはや絶滅寸前なのだもの。

AF-S NIKKOR 24-120mm f/4G ED VR

【撮影データ】
NikonDf/AF-S NIKKOR 24-120mm f/4G ED VR, AF-S NIKKOR 70-200mm f/4G ED VR, AI AF Nikkor ED 300mm F4S (IF)/RAW/Adobe Photoshop CC 2024