2024年6月10日月曜日

【東武野田線PETIT撮影記事】オレンジ&ベージュの8111編成と方向幕残置の8159編成に出会ったのだ

 

■大宮を通るときにふと思い出した
交通の要衝である大宮駅を通過する機会が私には非常に多い。昔からお世話になっている主治医の勤務先が高崎線沿線にあるから、あるいは私が埼玉県南部在住でJR高崎線や北陸新幹線、上越新幹線、および東北新幹線を利用するのに大宮が便利であるから。もしくは、都心よりもやや近い繁華街であるからといった、いろいろな理由がある。

大宮駅で「カメラを出していたこと」は数多くある。だが、正直にいうと「写真を撮ることを目的に大宮駅に出かけたこと」はない。大宮総合車両センターがあり、高崎線と宇都宮線の分岐する駅でいろいろな鉄道車両を見ることができることは知っていても、いわゆる「駅撮り」をふだんの私はしないから。最近はめずらしいJRの車両、正確にいうと、自分の好みの車両に遭遇することも減っているから、なおさら「大宮で駅撮りするなど考えたこともない」というところだ。

10年ほど前ならば189系やゆうマニ(リゾートエクスプレスゆう専用電源車マニ50 2186)に遭遇したり、15年ほど前には早朝の上野着の寝台特急を見ることもあって、おもしろかったのだが。「ホームライナー鴻巣」の国鉄特急形車両ももう昔の話だもんな。

そして、大昔から何十回以上も東武野田線の車両を見ながら、大宮駅であえて撮ろうと思ったこともなかった。8000系でもミンデン台車の初期型を高崎線の列車から見ながら「いいなあ」と思っていたくせに。

数日前、高崎線沿線で用を済ませた帰り道のことだ。上り高崎線列車に乗っていた。大宮到着直前に、ふと東武野田線を走る東武博物館所有の動態保存車8111編成のことを思い出した。最近もまた動いているらしいことを数日前に知ったから、かもしれない。そこで、野田線の運用をチェックしてみて……10分程度待てば8111編成が大宮に到着することがわかった。

撮影の帰りではないが、AI Nikkor 50mm F1.8SのついたDfボディは持っている。日は沈んだがまだ残照で明るい。それならば、撮ってみようじゃないかホトトギスというわけだ。

■野田線ホームに行こうとして
東武野田線のプラットホームは1面2線で広くはないから、あそこに行ったらうまく撮れそうにはない。駅から出るには時間がない。JRホームから見るとどうなのだろうと思い、京浜東北線ホームに行ってみた。すると、乗務員の乗降用の台とその保護フェンスはあるものの、そう悪くはない。

ほんとうに来るのかな……と思っていたら、区間急行柏行きの表示をさせて8111編成がやってきた。東武野田線の電車の方向幕でこの「柏」という漢字一文字しかない駅名を見ると、むかしから私はなんだかうれしくなる。説明しづらいが「いかにも野田線らしい行き先」を見ている気持ちになるからだ。もちろん、常磐緩行線にも柏駅があるのは知っているぞ。

ほら、漢字一文字の駅名はめずらしいから……ほかには、東武伊勢崎線に「県(あがた)」駅があるし、埼玉県内の京浜東北線に「蕨(わらび)」駅があるか。



■対向ホームに8159編成がやってきた
野田線ホームは1面2線しかないが、始発駅でもあるので到着した列車は10分程度停車して折り返すようだ。8111編成も停車時間が10分ほどあり、そのあいだに先に停車していた60000系電車が出発していった。その対向ホームに次は何が来るのだろうかと思っていたら……方向幕残置車の8159編成がやってきたときの筆者の驚きを推察しなさい。

「方向幕のある8000系が来たりして。ハハハ」

と思っていたら、ほんとうに来たのだ。これはもう、思い込みでもなんでもいいから「俺氏の電車運マジ強え」と思うことにする。おそらくは東武野田線の「中のひと」たちのおかげだよね。七光台の運用さんが仕込みをしてくれたというのか。ありがたいありがたい。

到着してから15分程度でこういうものに遭遇できると、朝から沿線で貼りついているような気合のある方には申し訳ないよな。それに、電車に関することがらだけでツキを使ってしまっていいのか、少々心配にはなるが。



■また8111編成を追いかけるか
そういうわけで、15分程度寄り道しただけで8000系を撮ることができた。東武8000系といえば先日、秩父鉄道ATSを搭載した2R車の8506編成が廃車になってしまったそうだ。今後は秩父鉄道線内の回送運転においては8000系電車でも自走させず、秩父鉄道所有の電気機関車に牽引させるということだ。秩父鉄道ATSを積んだ8000系2R車はもうほかにはないはず。

だから、8506編成と1ユニット抜いた8111編成で秩父鉄道線内を回送以外で走ってくれたらうれしいという望みは、もうかなえられなくなった。こればかりは仕方がないな。

2024年にもなると1980年代の鉄道車両もすでに立派な「古い電車」になりつつある。東武8000系も確実に少しずつ姿を減らしている。そして、地元の西武鉄道でも車両の置き換えが本格化しつつある。東武博物館所有の8111編成もいつまで動態保存してくれるのかは不明だ。だからこそこれまで以上に、思い出したらすぐに撮りためていこうとは思っている。

よく考えたらこの日は帰り道を急いでいなかったのだから、8111編成に乗ってみてもよかったかな。東上線から引退する直前に乗って以来だから、もう15年ほど前だもんなあ。

【撮影データ】
Nikon Df/AI Nikkor 50mm F1.8S/RAW/Adobe Photoshop CC 2024