2024年10月3日木曜日

【秩父鉄道撮影記事】鉱石貨物列車臨時運休の日に5000系を追いかけて(その1)

列車が動く時刻になってもパンタグラフを下ろしたまま

■ヒガンバナのシーズンのうちに鉱石貨物列車が走るかも
X(旧Twitter)のタイムラインを見ていたら、10月1日に秩父鉄道の鉱石貨物列車が走り始めたらしい、という投稿がTLに流れてきた。

秩父鉄道の鉱石貨物列車の荷主である太平洋セメント熊谷工場は、3月と9月に定修(ていしゅう)と呼ばれる設備の定期修理を行う。その期間内は、鉱石貨物列車は運転されない。同社Webサイト「従業員の声」のページにこうある。

(ここより引用)
「定修(ていしゅう)」と呼ばれる定期修理。熊谷工場では年に2回、9月と3月の半ばから、それぞれ約1カ月間生産設備を停止し、定修でメンテナンスを行います。
(引用ここまで)

そういう事情があるので、鉱石貨物列車とソメイヨシノやヒガンバナとは組み合わせて撮影しづらい。最近の気候温暖化のためか開花が早くなり、3月に咲いてしまうソメイヨシノ、あるいは9月に開花するヒガンバナとはこの定修期間と重なることが多く、そうすると開花と列車が走り始めるタイミングが合わない。1990年代は4月にソメイヨシノが咲いていたから、ソメイヨシノと鉱石貨物列車を撮影することができたのだ。

ところが、今年は真夏の猛暑のためかヒガンバナの開花が遅くなり、日高市の巾着田の満開が10月1日から2日になると、同市観光協会のFacebookページにあった。自宅周辺のヒガンバナのようすからもうなづけた。しかも平日だ。

これはもしかして……秩父鉄道の鉱石貨物列車とヒガンバナの組み合わせが、ワンチャン撮影できるんじゃね……いやいや、大人だから「もしかしたら撮影できるのではないか」と思った。正確にいうと、そうひらめいてしまった。

■デキはパン上げせずスイッチャーは定位置に出てこない
夜中にそんなことを思いつき、そのまま寝つけずに自宅を出て、最寄り駅からの下り始発列車に乗った。往復料金の安さと行動を考えて今回も「東武鉄道×秩父鉄道 SAITAMAプラチナルート乗車券」を使った。私の場合、東武東上線寄居経由で行くならば、始発列車に乗らないと朝いちばんの三輪鉱山行き返空列車の送り込みに間に合わないのだ。

そうして、武甲山ふもとの駅に8時過ぎに降り立った。

三輪鉱山行き列車はすでに定位置にいた。その先頭にはデキ506と501がつながれていた。よおし! と思っていつものあの「湯乃澤橋」の刻印のある橋、三輪(みのわ)鉱山入口のあの場所まで急いだ。

気になることがあった。本来は8時半ごろには鉱山行き列車が登って行くはずだ。ところが、列車が動くようすが見受けられないのだ。思い返してみると、ふもとの駅構内にいる列車の先頭にいる機関車のパンタグラフが上がっていなかった。

9時半を過ぎても列車が動く気配がない。操車係氏も出てこないし、誰も機関車に乗り込まない。パンタグラフは下がったまま。

そうしているうちに、バイクに乗ってほかの撮影者の方が現れた。その方に「定刻を過ぎても列車が動かない」と話したら、駅までバイクで行ってようすを見てきてくださるとおっしゃって、ふもとの駅に向かっていった。

そのあいだに鉱山を見に行くと、三輪鉱山のあるじ的存在のスイッチャーD502はホッパーの下にいて定位置に出てきていないのが見えた。これはどうみても運休だろうと察しがついた。

「『湯乃澤橋』の刻印のある陸橋」まで戻ると、さきほどのバイクの方が戻ってきていわく、駅員さんにたずねたら、鉱石貨物列車は終日全線にわたり運休になったと教えてくれたとのこと。

わざわざふもとの駅までたずねてきてくれたその方にお礼をしつつ、運休ばかりは仕方がないと笑いあって別れた。

5003編成が1515列車で影森入庫。
ということはワンチャン撮れるんじゃね?

■眼の前で5000系が入庫するのを見て
ふもとの駅に戻り、改札で駅員になにげなく鉱石貨物列車の運転状況をたずねてみた。すると、ベテラン駅員氏は「昨夜、急遽運休になったんだよ」と苦笑しながら教えてくれた。理由などはくわしくたずねなかったのでわからない。業務の取材ではなく趣味で来ていたから。あくまでも推測だが、熊谷工場の定期修理の不備かなにかだろうか。

寝不足で始発列車に乗って秩父までやってきた。そして、思い描いてきた撮影ができないことが10時半過ぎの武甲山ふもとの駅で確定して、少し迷った。「東武鉄道×秩父鉄道 SAITAMAプラチナルート乗車券」は東武東上線と越生線全線でフリー乗降もできる。だから、東上線末端区間で来るときに乗った東武8000系電車のオレンジ&ベージュのリバイバルカラー車81107編成を追いかけることにして、はやめに帰宅しようか。

そんなことをぼんやりと考えていたら、5000系電車5003編成(1515列車)が上り方向から到着し、乗客を降ろしてから入庫した。出庫の時間は正確にはわからないが、これを今日は追いかけるのもいい。さいわい天気はよいのだし。

「東武鉄道×秩父鉄道 SAITAMAプラチナルート乗車券」で来たから、ふかや花園〜三峰口のフリー乗降ができる。平日だから、武甲山ふもとの駅より下り方向には行かないほうが列車本数も多く動きやすそうだ。そこで、沿線のようすを観察しながら上り方向へ向かった。

移動しながら列車から武州原谷貨物駅のようすを見た。すると、デキはいるもののパンタグラフを下ろしている。スイッチャーD304の出てこずに検修庫のなかにいた。だめだこりゃ。

「あの名作アニメの配信を僕はまだ観ていない。」という気持ち

武州原谷でもデキはパン下げ留置中。D304はクラの中

■5000系は2編成が稼働!
東武東上線との乗換駅である寄居まで行かず、気を取り直して荒川の渓流で有名な駅で降りた。往路で見ていた風景を探してあれこれ歩いた。線路沿いでヒガンバナの咲くところはないわけではない。だが、光の当たり方、架線柱との関係などを考えると私には列車とうまく組み合わせにくい。

ヒガンバナはあちこちでさかり

道端にちょろっと咲いているくらいが素敵だと思う

撮影に飽きて暑さにも疲れ、線路沿いにある神社の境内の日陰で休んでいた。すると、下り列車に5002編成が充当されて駆けていく姿が見えた。

なんだと。これならば、今日はうまくいくと5000系は2編成走るかもしれない。そう思って暑さと眠気でかなりぼんやりしていた目をさました。時刻表を眺めて運用を考えた。SLパレオエクスプレスや鉱石貨物列車とことなり、運用パターンがいまひとつわからない列車を推測しながらの撮影はひさしぶりだ。2014年まで走っていた1000系電車を追いかけていたときには、あたりまえのようにとっていた行動なのだが。

そうやって、運用をにらんで考えてから、影森から出庫してきた5003編成をまずは撮った。1532列車だった。よく考えたら5月にもここで同じ構図で5003編成を撮ったことがあった。まあいいの。なによりも、自分の読みと列車の運用パターンが一致して、がぜんやる気も出てきた。

暑さにまいりながら待っていたら
5003編成が1532列車として出庫してきた

よし、今日は5000系を撮るぞと決めた

(つづく)

【撮影データ】
Nikon Df/AI AF Micro-Nikkor 60mm f/2.8D, AI AF Nikkor 180mm f/2.8D IF-ED, AI AF Nikkor ED 300mm F4S (IF)/RAW/Adobe Photoshop CC 2024