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| 貸切列車らしいモ161号が浜寺駅前から戻ってきた |
■午後からは消化試合の気持ちでいたら
ゴールデン・ウィークの5月3日から6日にかけて行われた阪堺電気軌道の「モ161形車臨時運行」は、前述のように午前中のみで、モ161形は我孫子道に入庫してしまう。
午前中の我孫子道入庫便を撮って私はすっかり気が抜けた。ようやく空腹であることに気づいたので住吉鳥居前まで下り列車に乗り、南海本線住吉公園駅に向かった。
ちょうど正午過ぎだし、正月や祭りの日ほどの人出ではなくても、観光客であちこちの店は混雑している。チェーン店ではない喫茶店にでも入ってみようかな……と思っていたところ、駅コンコース「ショップ南海」内の「てこや」(鶴橋粉舗てこや)のたこ焼きを見て、つい足を止めた。まだ雨も降ってはいないから、駅反対側正面の住吉公園のベンチで食べるのもいいか。
そうしてたこ焼きを包んでもらい、公園に持っていった。それにしても、最近の関西風たこ焼きの「外はカリカリ中はふわふわ」の「中はふわふわ」の具合はあずまびとの私には「ねえちゃん、このたこ焼き生焼けなんちゃう」と偽関西方言を使いたくなる(冗談です)。自宅で作るものはもっと中も固くする。舌をやけどしそうになるよな。おいしいからいいけど。
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| 「ねえちゃん、このたこ焼き生焼けなんちゃう」 |
そのあとは南海本線にふたたび乗って浜寺公園で降りて、駅前の「松露だんご」のお店福栄堂に寄って、松露だんごや「ちん電どらやき」、かしわ餅を買い、さらには浜寺公園旧駅舎にある「駅舎カフェ」に入ってコーヒーを飲んだ。
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| 南海本線浜寺公園旧駅舎は観光スポットに |
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| 駅舎カフェでコーヒーを飲んでのんびり |
帰りの新幹線は新大阪発19時台に座席指定をとってあった。それは、阪堺電車の撮影後に南海高野線や泉北線に行こうかな、南海本線もいいなあ、ひさしぶりの関西だからほかにも行ってみよう、などと思っていたからだ。ところが、雨が降り出しそうな空模様で、積極的に写真を撮りたいという気持ちにならない。集中力を使い果たしてしまったし。
そこへ、かの『地味鉄庵』の庵主おっとっとさんがご旅行の途中で、堺周辺にたまたまいるらしいことがわかった。お互い示し合わせたわけではないのに、なぜか二人とも堺周辺にいるというのはおもしろい。私のほうはこうして時間を持て余し気味だから、堺駅前でお会いした。
■総員第一種戦闘態勢!おっとっとさんを堺駅前で見送ってから、同じロータリーで客待ちをしていた南海バス布忍線「23系統 河内松原行き」に乗った。2018年と2019年に阪南中央病院に入院していたときによく利用した系統だ。阪南中央病院の眼の前を通るからね。用事もないけれど河内松原まで乗ってみるかなあ、堺東、阪和堺市、北花田、布忍駅筋で降りてしまったもかまわない。
そう思っていたところ、宿院の交差点で眼の前を緑色のモ161号が浜寺駅前方面へ向けて走り去るのを見た。
「はああ? なにそれ? 超聞いていないんですけど!」と字面だけ読むとギャルのような口調で独り言をいいそうになった。こんな列車が午後に走るとは公表されてはいなかった。
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| 宿院でモ161号が浜寺駅前方向に去る姿を見た |
この段階で時刻はまだ午後3時半だ。浜寺駅前方面へ列車が行ったということは、少なくとも我孫子道までは折り返してくる。これは、青雲モ162号だけではなく緑色の復刻塗装車モ161号を撮影できる千載一遇のチャンスだ。
これで午後の行程が瞬時に決まった。堺駅前から乗ったばかりのバスから、次の「大寺南門山ノ口前」で迷うことなく下車し、宿院電停まで戻った。
ところが、信号待ちのあいだに続行する浜寺駅前行き列車が行ってしまった。そして次の列車までは15分以上待つ。そうなると、モ161号を追いかけるにしても浜寺駅前の近くまではいけない。いま思えば堺から南海本線ワープを使えばもしかしたら石津あたりで撮ることはできたかもしれないが。
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| 後続の浜寺駅前行きをじりじりしながら待った |
せめて二つ下り方の御陵前まで行こうかとも思った。だが、一つ先の寺地町でカメラを構えることにした。よく考えたら、堺市内のこの大道筋(紀州街道)を走るモ161形を撮ったことがまだないから。
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| 吊り掛け駆動のモ355号が浜寺駅前から戻ってきた |
待っているあいだに吊り掛け駆動のモ355号も現れた。今日はもしかして運がいいのかもしれないぞ……30分ほどたった午後4時ごろになって、モ161号の緑色の車体が見えた。いやっほう!
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| 寺地町電停で撮った貸切列車のモ161号 |
■おっちゃんはふたたび住吉へ
寺地町でモ161号を撮ってすぐに後続の上り列車に乗った。まず、我孫子道の車庫のようすを観察して、もしモ161号が入庫していない場合は、天王寺か恵美須町まで行っているはずだ。最近だと恵美須町に行くことはなさそうだが。
列車から見ても我孫子道にはモ161号はいなかった。撮影続行だ。
阪堺線に行ったのか、上町線に行ったのか。どちらかわからないので、どちらから我孫子道に入庫しても通る住吉鳥居前で下車して、午前中にいた街路樹の下まで戻って撮影の支度をした。雨がだんだん本降りになってきたので、街路樹で雨宿りもしたい。
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| 1/160秒ならばLEDはぎりぎり欠けないみたい |
あいまに、モ505号とモ355号も戻ってきた。カーブで減速するところを1/160秒で追い写しすれば、LED表示が欠けにくいこともわかった。
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| モ355は再び浜寺駅前へ |
午前中に撮っていたころよりも空が暗くなり、雨粒も写るのでより迫力が出る。私が曇りの日の昼間はあまり写真を撮らず、薄暮を待つのはそういう理由だ。撮影条件が厳しいほうができあがったときのよろこびも大きいから。
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| イヌを散歩させる時間に |
■雨脚が強くなり始めて
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雨で濡れた路面を輝かせながらモ161がやってきた
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| 昼間の写真よりも気に入った |
だんだん空は暗くなり、雨脚も強まってきた。折りたたみ傘を出して差した。帰りの新幹線まで焦らないで済むうちに来てくれよ……と思いながら待っていると、待望のモ161号が上り方面から姿を現した。時刻は午後5時10分。まだ予約した新幹線にも間に合う時間だ。ヘッドライトの明かりが濡れた地面に反射するところもいい。
この列車はどこかの団体が走らせた貸切列車らしい。だからダイヤも公表されていなかった。時間つぶしをしながら沿線にいて撮影できたのは、ものすごい幸運だった。たまにこういうおもしろいことがあるから、写真をやめられないんだよな。主催者の方、阪堺電気軌道の皆さん、ほんとうにほんとうにありがとうございました!
連休中に遠出をしたのはこの1泊だけだ。だが、十分に楽しませてもらった。いい連休になったよ。
【撮影データ】
Nikon Df, iPhone SE3/AI AF Micro-Nikkor 60mm f/2.8D, AI AF Micro-Nikkor 105mm F2.8D, AI AF Nikkor 180mm f/2.8D IF-ED, AI AF Nikkor ED 300mm F4S (IF),/RAW/Adobe Photoshop CC