2012年5月18日金曜日

【西鉄貝塚線2012年5月】西鉄貝塚線に乗る(その1)



■博多に日帰り出張した
博多へ行った。もちろん仕事だ。香椎方面にあるとある企業を訪ねるというのがその目的だが、ついでに市内の得意先を数件回ってくること。そういわれて飛行機を予約した。そのころはものすごくブラックなくせに、文字の禁則処理もご存知ではない編集長のいる職場にわずかな期間だけ在職していた。しかも日帰りだ。


博多どころか、九州に行ったのも初めてだ。だから、博多市内の土地勘や位置関係がまったくわからない。けれどなんとか路線図を見ていてわかったのは、西鉄貝塚線とJR鹿児島本線が並走していること。貝塚線とは以前の宮地岳線か。そのころは吊り掛け駆動方式の電車が走っていたんだったよね。では、いまはどうなっているのだろう。

なんでも、貝塚線は600形電車が主だけど、1編成だけカルダン駆動化された313形の315編成が残っているという(当時)。600形も昭和37年製のかわいらしい電車だし、313形は昭和27年製の湘南形フェイス! しかも、西武701系のFS342台車と電動機でカルダン駆動化したというなら、西武ファンとしてはなおうれしい。

西鉄には子どものころから親近感がある。子どものころは野球にも興味があったから、西武ライオンズの前身は西鉄ライオンズだった、という知識もある。西鉄の特急電車2000形は色も前面のステンレスの飾りもなんとなく西武初代レッドアロー5000系に似ている。「西武鉄道」だって縮めれば「西鉄」だ(?)。

■昭和の鉄ヲタにとって博多といえば……103系電車1500番台と西鉄貝塚線!
そこで、訪問先に行くのにJRではなく西鉄貝塚線を使うことにした。まず、空港から乗った地下鉄ではJR103系1500番台車に遭遇した。懐かしい103系サウンド、でも車内は201系的デザインという東京首都圏の国鉄形好き鉄ヲタには不思議に思える電車だ。これを楽しみ、中洲川端で箱崎線に乗り換えていよいよ貝塚へ。


地下鉄で見たモーターカーには、見覚えのあるマークが書いてあった。「東京メトロ→福岡メトロ」。東京メトロから来た中古車なのだろうけど、遊び心がおもしろい。

■地下鉄から改札を出ると……おだやかな空気の漂う路線だった
いよいよ西鉄貝塚線に乗り換える。改札を通ってホームに行くといままでの都会の雰囲気とは一変した、なんとものどかな空気が流れていた。よく晴れた日にここのベンチでぼんやりしているのも楽しそうだ。隣の公園には、見たことのないプロペラ機が保存されている。英国デ・ハビランドDH.114 ヘロンというのだそうだ。


改札前に出店していたパン屋さんで買ったサンドイッチをほおばりながら、駅のホームで風に当たる。昨年から入院して病気休職していた人間が、まだまだ万全とは言いがたいけどとりあえずは飛行機に乗って日帰り出張できるところまでは回復した。そう思うとなんとなく感慨深い。……などと、読者には他人の感慨ほど疎ましいものもない。先を急ごう。
ホーム端から見ると、検車庫にいるのは……313形! 朝夕ラッシュ時のみ走ると何かで読んだので、いまは昼寝中のようだ。ちょうど昼休みなので、313形の前で体操をしている電車区の職員たちがいた。いいなあ、この雰囲気。




そこへ、600形電車がホームにトコトコとやって来た。この電車だってなかなかかわいいじゃないか。2両編成で前パンで。ホームにちょこんと止まっている姿がかわいい。そんなすぐそばをJRの電車がぶっ飛ばして行くんですが。 

■改札口で「こんにちは!」といわれたのははじめてかも
そして、はじめて乗った西鉄電車は駅員や運転士の雰囲気がよいことに驚いた。改札で「こんにちは!」なんてあいさつされたことははじめてだ。貝塚線はワンマン運転だけど、発車直前に運転士は車外で立って乗客が乗り込んだのを待っているのだけど、きちんと手を前にそろえて立っている。最近、西武鉄道でも車掌がそうしている。みなさん姿勢もいいしすごく礼儀正しくて気持ちがいい。


いやー、いいぞいいぞ。貝塚線。2両編成の短い電車が真新しい高架線をトコトコと走っていく。そんなギャップもまたかわいい。西鉄香椎で降りたら、駅前ではねこが道路に寝そべっている。商店街もいい雰囲気だ。高架化される前に乗ってみたかった。きっと、もっと雰囲気がよかっただろうから。(次回に続きます)

【撮影データ】Nikon D2X/AIAF Nikkor 35mm f/2D, AIAF Zoom-Nikkor 80-200mm f/2.8D ED IF<NEW>/RAW