2017年12月29日金曜日

【東武鬼怒川線撮影記事】走れSL「大樹」! 鬼怒川線にて国鉄を味わいに行く


■鬼怒川の流れは絶えずして…… 
 冬晴れの日が連日続いていたのに、この日は日の出から太陽がほぼ終日姿を見せなかった。鬼怒川の河原にいるとなおさら冷える。ときおり雲の切れ目から太陽が顔をのぞかせても、すぐに隠れてしまうために気温が上がらない。どうせなら雪が降ればいいのにと思うほど。足踏みをしたり体を動かして河原に立っていた。寒い日になぜ河原にいたかというと、列車を待っていたから。東武鬼怒川線を走るSL「大樹」を撮るためだ。




 12月の年末に走るSL列車を撮ろうと思いながらいたある日、某SNSでSL「大樹」がクリスマスの週末にも走るということを公式エントリーから知った。そういえば、8月10日にSL「大樹」が走りはじめて以来、なかなか行く時間を作れないでいた。年末年始に秩父鉄道SLパレオエクスプレスが走るときには、自宅からもアクセスしやすい秩父に行くことが多い。あるいは、一昨年からは真岡鐵道に行くことも。とはいえ、それ以外の場所も知っておきたい。そこで自宅最寄り駅からから始発列車に乗り、東武鬼怒川線に向かった。思えば日光に行くのも鬼怒川線に乗るのも15年くらいぶりだし、それも観光で行ったことがあるだけで、列車を撮影するために行くのははじめてだ。そういえば……15年くらいまえに鬼怒川線に乗ったときは、350型電車が充当された急行「南会津」だった。あの頃は非鉄だったから350型電車であることを知らず、リクライニングシートのあるスペーシアではないのかと浅草駅でちょっぴりがっかりしつつ、急行「南会津」だなんてまるで国鉄のようなシブくて旅情あふれる列車だと思ったものだ。そのときもカメラを持って出かけたのに、列車をどういうわけか撮らなかったんだよねえ。

 話を戻す。始発列車に乗っても下今市から先はやはり遠い。そして、検索をかけてみると都心に出て北千住経由で行くか、大宮・栗橋経由で向かっても特急「リバティ会津」101号に乗らない限り、SL「大樹」1号の通過前には到着しない……というわけではないのだが、SL「大樹」1号の直前に走る307列車では、現地で時間の余裕がなさすぎる。そこで、往路は特急リバティにも乗ることにした。北千住から乗り込んでみるとまだ真新しくて快適だった。路盤がしっかりしているのか、どんな電車に乗っても東武鉄道線内を走る列車は乗り心地がいい。

■遠くから聞こえる汽笛と美しく整備された列車に感激
 そうして、8時半頃に鬼怒川沿いの駅に降り立ち、高得中岩河川公園にやってきて河原で震えていたというわけだ。鬼怒川線で列車を撮るのは私ははじめてだから、まったく沿線の状況がわかっていない。そこで、SL「大樹」公式Webサイトやあれこれ検索をかけて撮影地を考えてやってきた。鬼怒川線の撮影は私には完全に「アウェー」だ。そこで、グーグル・マップも見ていたものの、この場所には懸念材料があった。それは、道路橋(国道121号線中岩橋と自動車橋の新中岩橋)と鉄道橋(鬼怒川橋梁)が平行していること。正確に言えば、そのことはかまわない。撮影高度を工夫すれば国道を隠すことはできるだろうから。問題があるとすれば、中岩橋にある背の高い街灯(水銀灯)の柱がおそらく隠しきれないようでめだつのだ。高徳中岩河川公園の鬼怒川の河原から撮影された写真をWebであれこれ見ていても、この街灯の柱が見えるものが多い。どうしたものか。風向きがよく、煙がうまく上がると街灯を隠すことができるようだけど。

 寝不足と寒さで働かないあたまで、SL通過前に行き交う列車を見ながら必死に構図を考えていたところ、遠くから蒸気機関車の汽笛が聞こえてきた。河原からねらうと、列車が橋梁を渡るまで姿が見えないのだ。ただし、橋梁の上では速度規制がかかるのでよほどぼんやりしていない限りレリーズのタイミングを逃すことはなさそうだ。というわけで、第一便をなんとか撮った。掲載写真は街灯を入れないアングルをむりやり考えた。

 それにしても、鬼怒川橋梁をゆっくりと走るSL「大樹」を見て私はひどく感激した。機関車のC11、東武ATSを積んだ車掌車、青い塗装のままの14系客車、そして後補機のDE10のいずれも美しく整備されているさまにすっかりしびれてしまった。車掌車がついていてもさまになるじゃない。花上さんをはじめ、東武鉄道の「中の人」たち、さすがにツボをおさえているなあ。JRマークがないこともあって、国鉄っぽさ満載だ。

■3往復をどこでねらうか
 このSL「大樹」は鬼怒川線の下今市〜鬼怒川温泉の12.4kmを30分ほどかけて走る。走行距離が短いので、さすがに列車で追いかけることは無理だが、下今市と鬼怒川温泉でそれぞれ機関車の方向転換と入れ替えを行うなどして1時間半近く停車するうえに、一日3往復するので、列車利用でも撮影場所を移動しながら撮ることはできる。とはいえ、この「アウェー」の感覚をつかみたいことから、私は結局一日中ずっと下車駅から上り方向に一駅行ったその駅間をずっと歩いて往復していた。第二便(SL「大樹」2号)はそうして、砥川橋梁でねらうことに。さきほどの高徳中岩河川公園から歩いて20分程度だったろうか。途中にローソンもあり、川のたもとにはSL通過時刻を標示してあるラーメン屋、野菜直売所もあるから、列車利用で徒歩でも食事にもお手洗いにも困らない。

 この砥川橋梁も国道121号線がそばに平行していて、道路橋から撮影できる。上り列車の編成を入れるべく構えている先客の方が2名ほどいらした。編成全体を入れるといろいろうるさいな、と私は思い今度は機関車だけをねらった。というのも、道路橋から見ると手すりがあり、あまり引き気味でねらうと背景にラシュモア山が(以下略)。それにしても、この場所では煙は出るのかなあ、と思っていたものの、けっこういい煙の出方でうれしくなった。そして、車内はヲタではないひとたちで盛況だったのもうれしい(ヲタにだけウケるのでは困るのだ)。秩父でもそうだけれど、機関助士もお客さんも、車掌もみんな手を振ってにこにこしているところもすてきだ。スペーシアのお客さんも手を振り返してくれたけどね。


 かくいうヲタ先生(私のこと)はここでようやくSNSの公式ページや公式Webサイトに、クリスマス装飾がなされると書かれていたことを思い出した。少しはそれを意識して機関車を大きく撮るか、と思いふたたび新中岩橋に戻った。ただし、こんどは橋梁を越えてくるところを真正面からねらうためだ。鉄道橋と道路橋が平行している利点はこういうねらい方をするには享受できるなあ。というわけで、第三便(SL「大樹」3号)は望遠レンズで真正面から。


■第四便の場所に迷いに迷って


 ここまですべてのカットで、列車が橋梁の上を走るところばかりをねらっていることに気づいた。それはもちろん、電化路線であり架線柱がめだつ鬼怒川線内ですっきりと列車をねらうことができる場所は、もっぱら橋梁の上だからという理由でもある。そう思うと別の場所でもねらってみるかなあ、と思いながら上り方向の駅まで歩いた。

 歩いたのですけどねえ。いまひとつしっくりこなくて。いい感じの勾配には先客もいらしたし。いま思えば、さらに下今市方に歩けばよかったのだろうけれど、結局さきほどの砥川橋梁まで戻ってきた。第二便を撮る際に道路から見ていて、河原からうまく道路橋を隠すことができはしないかと気になっていたからだ。そうして道路橋の反対に回ってみると、河原に降りないでいても列車で道路橋を隠すことができる場所を見つけたので、第四便(SL「大樹」4号)を待った。

 この時点で15時前だ。空はますます暗くなるし、なんといっても寒い。そして、SL「大樹」はさらに一往復走る。5号が下今市発16:32、鬼怒川温泉着17:08。6号が鬼怒川温泉発18:09、下今市着18:43だ。日没が16時半ごろのいまの時期では、下今市を出るところをねらうにしても暗いだろう。とはいえ、ものは考えようというべきで、SL列車を走らせるほかの路線ではイベントでもないと見ることができない「夜のSL列車」を見ることができるともいえる(こういう考え方を「オプティミスト」といいます。悪くいうと「ヲタ的」とも)。さすがにこれ以上川のそばで待つのは寒いし飽きたので、どこかに移動して夜の列車もねらってみるか。(続きます)

【撮影データ】
Nikon D850/AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR, AF-S NIKKOR 70-200mm f/4G ED VR, AF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VR/RAW/Adobe Camera Raw/Adobe Photoshop CC 2018

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