2018年1月14日日曜日

【チラシの裏】プラグインソフトなしで「フィルム写真らしく」する【実践編】

緑かぶりを与えてみたよ。彩度も落としてやや明るくねむく

■気が利かなくごめんなさい!
 先日書いた「プラグインソフトなしで『フィルム写真らしく』する」というエントリーを、たいへんよく読んでいただいていることに筆者はたいへんおどろき、そしておそまきながら気づいた。とてもありがたい。でももしかして、読んでいただいた方はプラグインソフトを使わないでレタッチをする具体的な方法を知りたかったのではないか、ということに。遅いよ俺氏

 そこで今回は、私がふだん使う「ネガフィルムで撮った褪色しかけた写真ふうに仕上げる方法」について、フィルム仕上げ風にするプラグインソフトを使わず、Adobe Photoshop(以下、Photoshop)で仕上げるその処理方法を説明したい。筆者はLightroomではなくPhotoshop使いなので、ようは調整レイヤーとレイヤーマスクで仕上げて行くということだ。Photoshop Elementsでも同様の作業はできるはずだ。Photoshopを使うのは筆者が慣れているから。嫌になったら調整レイヤーを破棄すればいい。つまり、元画像に手をなるべく加えないということ。Lightroomもカタログファイルにパラメーターを書き込む形式なので、オリジナル画像に手を加えないでは済むが。

 なお「調整レイヤー」と「レイヤーマスク」というものがわからないかたは、そこまでの説明は本記事内ではしないので、AdobeのヘルプページやPhotoshop本、いろいろなWebサイトで調べてほしい。自分で調べるほうが身につきます。


 *調整レイヤーとレイヤーマスクについてあえて簡単に説明すれば、Photoshopの特徴は読み込んだ画像そのものに手を加えていくだけではなく、その画像の上にアニメのセル画のように「レイヤー」(層)を重ねて処理ができるところにある。そうしたレイヤーのなかでも明るさ、彩度、コントラストなどの調整を行うことができるレイヤーを「調整レイヤー」、そうしてそれらの調整を画面全体ではなく、画面内の一部分にだけ行うよう(一部分にのみ効力を発揮するように)レイヤー上に作るマスクを「レイヤーマスク」という。レイヤーマスクでもいいし、クイックマスクを使うのでもいいけれど、とにかく「部分的に処理できるマスクを使えること」がPhotoshopを使ううえで大切なことだ。

こちらはアンバーの色かぶり

■どういう仕上げにするかあらかじめ決めておく
 レタッチに限らず、撮影自体も理想的にいえば同じなのだけど、まずは作業の前に「最終仕上げをこうしたい」と明確に描いておくほうがいい。それを決めないでPhotoshopでいじりながらああでもないこうでもない、なんだかおもしろくできたからこれでいいかあ、という作業方法では、なかなか作業を終えることができず、しばしば「レタッチをやりすぎる」危険性があるのだ。ともあれ、はじめのうちはなんだかおもしろくできたからいいかあ、でもいい(あくまでもはじめのうちはね。そして趣味ならば)。慣れてきたらむしろ、「ああいう仕上げのために撮影時からこう設定しておこう」と決めていこう。

 そこでまず「処理する方向」をおおまかに決める。今回は「ネガフィルムで撮った褪色しかけた写真」にするので、具体的には「やや色あせて明るく彩度が落ちている」「アンバーっぽく仕上げる」がおもだ。そこで、RAWデータで撮影した写真をできるだけフラットに色みを浅くやや明るめに現像しておいた。ホワイトバランスもふだんの筆者は日中の青空を強めるために5,000K(ホワイトバランス:晴天、もしくは太陽光では、5,200Kから5,400K程度)にしていることが多いが、現像時に6,500Kから7,500K(曇天、曇りから晴天日陰、日陰程度)にアンバーを強めている。注意すべきは、現像時にコントラストと彩度をつけるのではない。
 
 また、シャープネスは掲載例では撮影時のままにしているが、インクジェットプリントを行う場合は、むしろ現像時にすべてオフにしておき、レタッチ終了後に弱めにアンシャープマスクやスマートシャープをかけるほうがいいだろう。ネガプリントらしい雰囲気を作り上げるには、シャープネスは弱めのほうがいい。アンシャープマスクを強めにかけると一気に「デジタル臭い感じ」が強まって、めざしている雰囲気を壊してしまうにちがいない。

■粒子と周辺光量落ちを作る
 Photoshopで各画像を展開してからはまず、粒子と周辺光量落ちを作る。粒子は「フィルター」→「ノイズ」で「グレースケールノイズ」で加えている。プリントアウトするならばノイズはあまり多めに加えないほうがいい。ここではWebで見せるだけなので、画像のピクセル数をリサイズするので、半径7ピクセルと大きめに加えた。この効果をさらに「ノイズをフェード」して、調整している。このときは拡大率100パーセントで見よう。場合によってはアンシャープマスクでノイズを強調すること、かつてあったようにRGBからLabにチャンネルを変換してLチャンネルにのみアンシャープマスクをかけるのもいいだろう。ノイズとシャープネスは不自然にならないようにしたい。

 周辺光量落ちを作る方法はいくつもある。RAW現像時にカメラ内でレンズプロファイルを利用して補正したビネットの補正をオフにしてしまうのが、もっともかんたんだ。私は今回のRAW現像時にはビネットの補正をいかして現像し、Photoshopで「レベル補正」調整レイヤーで画面全体をやや暗くするレイヤーを作り、レイヤーマスクで境界線をぼかしてグラデーションを作りながら画面四隅だけを暗くするようにしている。このほうが、より細かい調整が可能だ。

 さらに筆者は画面四隅にだけ画像の流れ(ぼけ)を入れている。レイヤーを複製して「レンズぼかし」を加えたレイヤーを作り、グラデーションを加えて画面周辺のみがぼけるようなレイヤーマスクをかけ、最後に不透明度を調整してわずかに四隅がぼけるように仕上げている。このあたりは好みに応じて。

アンバーの色かぶりとノイズをやや多めに

赤い光線引きを作った

■色かぶりは「レンズフィルター」で作るのが便利
 やや露出アンダーきみのプリントをむりやり明るく同時プリントでしてもらうと、緑色や濃い茶色っぽい色かぶりが発生しがちだった。いまはわからないけれど、すくなくとも、デジタルレーザープリンターになる2000年頃より以前の同時プリントの機械では。また、褪色するとプリント全体の彩度が落ちて、黄色やアンバーの色がかかる。こうした色かぶりは調整レイヤー「レンズフィルター」を使うのが手軽だ。「色相・彩度」の色相をいじるのはほかの色みをねじってしまうことがあるので、筆者は使わない。もちろん、「べた塗りレイヤー」を作るのでもいい。このあたりは好みで。ただし「べた塗りレイヤー」を新規に作成したら、レイヤー属性を「乗算」にしておかないと絵柄にうまく重ならない。不透明度を調整して、色かぶりの濃度を決めよう。前述の「フェード」とこの不透明度の調整は、Photoshopでのさまざまなレタッチを不自然に見せない大切なツールだ。

 また、画面の一部分にだけ赤や黄色の色が乗ってしまう光漏れのネガからのプリントも同様に「レンズフィルター」や「べた塗りレイヤー」で作り、部分的に色を重ねればいい。色みのあるレイヤーを作ってレイヤーマスクを作成して、グラデーションツールで部分的に色みを乗せるようにすれば、ほーらそれっぽい(気がしませんか)。ここで大切なのは、この「色かぶりとの境界線をグラデーションで作ること」だ。境界線をぼかすのはぼかしツールでもかまわない。境界線をはっきり見せると、いかにも「ソフトでレタッチしました」というふうに見えると思うのだ。

 先日のエントリーではコマの重なりも作ったが、この「レンズフィルター」や「べた塗りレイヤー」などから同様に作ることができる。「コマの重なりの要素」を画面内の一部分だけに重なるように作ればいいだけだ。リアルに作るならば、ほかのカットを部分的にレイヤー属性「乗算」で重ねて不透明度を調整しよう。

 また、私は好きではないのでスクラッチ(フィルムの傷)を入れていないけれど、ペンツールなどで線を描いて、レイヤー不透明度を工夫しながら「白い線と傷」を作って入れれば、それらしく見えるはず。描画色「白」でそのまま線を描き入れるのではなく、不均一な線になるようにやわらかいブラシなどを駆使して白地に黒い線でも描き、ぼかしをいれてそのレイヤーをレイヤー属性や不透明度を調整しながら重ねるとそれらしくなりそうだ。実際に傷のあるフィルムからの余黒部分をスキャンして、「傷画像」を作っておくほうがリアルかも。








■大量にこの仕上げを頻繁に行うなら、プラグインソフトを買うほうがいい
 ここまでの作業を読んで「うわ、難しい」「めんどうだ」と思われた方、あるいは、大量に「ネガフィルムで撮った褪色しかけた写真」を作りたいという場合は、VSCO Filmなどのプラグインソフトを買ったほうがずっと効率的でいい。いま説明したことを簡単にソフトでやってくれる。私はさすがにこの処理を毎日するようなことはないので、いまはようす見というところだ。ノイズの追加以外は、レイヤーマスクを使って部分的に濃度や色みの変化を画面に加えているだけだもの。それに、Photoshopに慣れているしね。もっとも、レタッチというよりもコラージュをするようなPhotoshopに慣れている方から見たら、むすかしい処理をしていないことはおわかりいただけるはずだ(むしろ、おおざっぱですみません、というくらい)。みなさんのなにかの参考になればさいわいだ。

【撮影データ】
Canon EOS 6D Mark II/EF24-105mm F3.5-5.6 IS STM, EF70-300mm F4-5.6 IS II USM/RAW/Adobe CameraRaw/AdobePhotoshop CC 2018

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