2019年12月14日土曜日

【西武多摩川線新101系電車】西武多摩川線の夜


■夜の鉄道はいいね
はや冬至も近くなり、一年のなかでいまがもっとも昼の短さを感じさせる時期になった。午前中も太陽が低いので、晴れた日も何かの影を気にする必要がある。そんなことを考えていて先日アップした自分の写真を見て思い出した。さいきんは、以前ほど夜の写真を撮っていなかった。夜の写真が好きで、一時期はよく撮っていたのに。そこでひさしぶりに西武多摩川線を日没後に訪ねた。おお、なんだかいい! 影の出方も気にしないですむのもいい。


しかも、よく通っていたころは夜の撮影でも苦労させられたのだ。というのは、そのころ使っていたカメラがD2Xだったから。世間のみなさんはもっと新しいカメラを使って苦労しないでいただろう。D2Xは何度か書いているが、ISO400まではいいけれど、それ以上は感度を上げたくないカメラだった。せいぜいISO640までだ。ISO800になると私には「非常用」だった。それでも使い続けたのはAF性能やぶれにくさなどの、カメラ部の作りがよく手放しにくかったからだ。それで、いまにいたるまで必然的に絞り値の小さい(開放F値が明るい)単焦点レンズばかりを用いることになった。もちろん被写界深度の問題もあるので、明るいレンズを用いても絞りを開くわけにもいかない。

この高感度耐性の向上という点に関しては、デジタルカメラはたいていは最新型であるほうが利点が大きい。一般的には、撮像センサーのサイズが変わらないならば、1画素あたりの開口率は画素数が増えると小さくなる。それは厳然たる事実だ。そこで、構造を裏面照射型にするとか、画素ごとのマイクロレンズの改良などにより、開口率が小さくなっても画素に入射する光量を維持しようという撮像センサーの設計がいまのトレンドだ。さらに、画像処理エンジンの処理速度や精度の向上、発熱しにくい回路設計の向上により、基本感度を電気的に増幅した場合に発生するランダムノイズに関しても「ノイズをより出さない&出してもよりうまく消す」技術に関しての進歩があるはず。それらがうまく組み合わせられればいい。こういう書きかたをしているのは、新しいけれど高感度耐性は前機種より向上しているわけではない、という機種もないとはいえないから。

2019年末のいまは、35mmフルサイズならば2,400万画素というのがそのあたりのバランスが取れているのだろう。標準であるといえるので、技術としてはすでに「枯れた」技術であるだろう。ただし、ダイナミックレンジも適度に広くてレタッチへの耐性もほどほどにあり、画像のファイルサイズも大きすぎずバランスがいいといってよさそうだ。


■ジョバンニ、黄色い電車が来たよ!
などと、列車の待ち時間にデジタルカメラの進歩に思いを馳せていた。職業病だ。そこへ、ようやくイエローとベージュのツートンカラーのリバイバルカラー列車同士の上下交換が展開された。ケンタウルスよ、露を降らせ! 


私自身は赤い電車のリバイバルカラーのほうが好きだ。けれど、新101系電車が新製されたときにまとっていたこの塗装が、新101系にはなんといってもいちばん似合っていると思う。古い駅プラットホームの屋根もわずかに写って、昭和50年代のような絵柄になった。

■沿線を徘徊しつつ
もっとも、背景の明るさは冒頭のカット程度に明るいほうが望ましい。そればかりはこれ以上粘っても写せないのであらためて訪ねることにしよう。そこで、電車に乗って白糸台を訪ねた。駅から降りて駅のまわりを一周し、三脚を立てて留置中の電車を敷地外から撮ったり、プラットホームからは手持ちでがんばってねらったり。



D2Xのときにはあれだけ苦労した夜の撮影も、カメラの高感度耐性の向上によってだいぶ楽になったものだなあ、とありがたく思った次第。ISO800やISO1,600の画質でも悪くないと思えるカメラなら、三脚を立ててスローシャッターを切るのでも失敗にしにくいからだ。もちろんそんなことは数年前から知っていたし、D7200でもISO1,600より低感度で撮ればいいだけだ。けれど、それを利用するのをどういうわけか忘れていた。夜の写真が好きだったのに、どうしてだろう。まあいいや。これから夜の写真もまたぼちぼちやってみようぜ。

【撮影データ】
Nikon Df/AI AF Micro Nikkor 105mm F2.8D, AI AF Nikkor ED 300mm F4S(IF)/RAW/Adobe Photoshop CC 2020