2021年4月6日火曜日

【上信電鉄撮影記事】上信電鉄沿線観桜紀行 里山の駅にて続編


■翌日にもういちど出かけた
どうしても遠くに行きたくなって上信電鉄の終点に近い駅に出かけた日の翌日は曇り空で、天気予報では夕方から雨が降ると報じられていた。それなのに、前日に見た散り始める直前だったソメイヨシノのようすが気になり、さらには列車から見ていてほかにもまだ訪ねてみたくなった場所があったので、翌日にもふたたび上信電鉄に乗ってしまった。沿線の人出が少ないことを知ったら欲が出たのだ。前日にも高崎に泊まろうかと考えたものの、夜には在宅しないといけない用事があったので帰宅したのだ。

二日目は正午ごろに高崎に着いた。曇り空だとわかっていた。白い空を画面内に入れないことをつねに気にかけているので、曇りの日は日中にはあまり撮る気がしない。だから、薄暮をねらうのは前日同様だ。風景写真家は早朝に撮影したら日中に仮眠を取り、夕方にふたたび撮影するというのと同じようなものだ。

機材は前日の反省を生かしてオートフォーカスのAFニッコールレンズを持参した。前日は荷物を軽くするためにマニュアルフォーカス(MF)のニッコールレンズばかりを持ってきていた。だが、日没後の撮影ではLEDの構内灯を写したときに生じやすいデジタルゴーストとフレアがどうしてもいやだった。レンズフードの工夫やハレ切りでも画面内に映り込むLED照明から生じるフレアは防ぐことができない。最新のAFレンズでも同様なのだが。

■小さなお稲荷さんにまずはお参り
列車から見ていてソメイヨシノのみごとな並木もいくつか見かけたことも、この週末の収穫だ。SNSで見かけたことのあるソメイヨシノの名所はあそこか、なるほどな……とわかったので、そこへは来年以降に行くことにする。まず私が前日どうしても行ってみたくなったのは、列車から見える小さな稲荷神社だ。何種類かのヤエザクラも植えられていたのが目についた。

散り始めていた高崎商科大学前周辺のソメイヨシノの木々や、山名八幡宮の境内の木々などはもっとずっとめだってきれいだったし、田んぼのなかにあるこの稲荷神社と列車をうまく組み合わせて撮るのは私にはじつにむずかしい。でも、私は写真を撮ることよりも、この境内で過ごすことが好きなのだ。古い神社やお寺の境内でひっそりと咲いているサクラの木というものに心惹かれる。以前出したAmazonのkindle電子書籍『ぼろフォト解決シリーズ041 プロの撮影思考とテクニックを徹底解説する Nikon D7200で上信電鉄を撮る!』にもべつの時期に写した写真を掲載したことがある。そこでまずは最初にしばらくお邪魔しますとお参りをしてから、列車が数本行き来するのをこの場所で待った。

■前日に行った駅に再挑戦した
そのあと最寄り駅まで歩いて列車を待ち、下り列車に再び乗り込んで夕方にあらためて終点近くの里山の駅にたどり着いた。駅構内のソメイヨシノはどんどん散り始めていた。雨が降るともっと散ってしまうだろう。薄暮の時間のよいところは、散り始めの花がめだちにくいところ。花だけではなく、画面内にあるいろいろなものもめだちにくい。ただし、撮影時によく見えないともいえるので、不必要なものを写し込んでしまわないように注意は必要だ。



■雨が本降りになってしまった
そうして数本の列車を撮っているうちに雨がぽつぽつと降り始めて、傘がないといられないような雨脚になった。そこで、駅の待合室で雨宿りをした。前日にも来ているので同じ絵ばかり量産するのもおもしろくはないなあ、などと考えながら。今日のほうが昨日の反省を生かして構図をきちんと注意深く観察しているつもりだけれど、オレンジ色の乗降確認用ミラーの柱と構内灯の木製の柱の重なりがよく見えていなかった。




■上り方向へ移動することに
この駅でもっと暗くなるまで待ってもよかった。だが、上り方向にほかにも訪ねたい駅がある。なんといっても雨宿りにもあきた。そこで、完全に暗くなるまえにやってきた上り列車に乗り込んだ。来年以降は晴れている日にも来ることができたらいい。

それにしても、どうも700形電車のうち撮りたいと思っているコーラルレッドにパープル帯の上信電鉄リバイバルカラーをまとった第5編成(クモハ705-クハ705)とは、私は相性が悪いらしい。この日ははじめて高崎から乗ることはできたものの、その列車はそのまま下仁田に入庫してしまった。前日には動いていなかった。色合いが和菓子のようで好ましい第1編成(クモハ701-クハ701)も二日間とも動いていなかったしなあ。こればかりはしかたがない。そして、2018年夏2019年夏からいろいろな路線でパンダ顔の電車を追いかけるようになったことも感慨深い……いや、105系電車や107系電車のパンダ顔が好きだというわけではないけれどさ。

【撮影データ】
Nikon Df, D7200/AI AF Nikkor 35mm f/2D, AI AF Micro-Nikkor 60mm f/2.8D, AI AF Nikkor 180mm f/2.8D IF-ED/RAW/Adobe Photoshop CC