2021年4月1日木曜日

【西武池袋線撮影記事】今年も春がやってきてLaview&『Shibuya Hikarie』号も走りまわる。そんなようすをAI Nikkor 85mm F1.4Sで撮る話


■YS-11FCロスに見舞われたということにしておく
思えば、このブログではうっかりしているうちに春が来てしまったかのようなことをいつも書いている。日差しの変化には気づいていても、毎年ソメイヨシノの開花とともに芽吹きがいっせいに発生するように感じてしまうから、春の訪れがあたかも突然のように思われるのだろうか。

さて前回のエントリーで航空自衛隊YS-11FCの退役について書いてから、筆者は予想以上の「YS-11FCロス」に見舞われている。姿を見ないことだけではなく、エンジン音が聞こえないことに軽い違和感さえある。自宅にいるとときどきロールス・ロイス「ダート」エンジンの音が聞こえることが15年ほどのあいだの「自分にとっての日常」だったからかもしれない。

そういう理由でブログのエントリーをアップする間隔があいてしまった、ということにしておこうっと。

■近隣の人が集うこともないような木々を愛でている
そうやってぼんやりしているあいだに、東京首都圏でもソメイヨシノが開花して散っていくようになってしまった。とはいえ、昨今のあれがああなのはあいかわらずだからため息が出る。どこか遠くのサクラの名所に出かけるようなことはやはり控えていて、散歩やサイクリングに出かけては、自宅近くにある人が集うこともないような場所にある木々を愛でて過ごしている。

つまり、あいかわらずということ。

もっとも、滑走路そばにはYS-11FCのラストフライト以降はひさしく足を向けていないし、ここ3年ほどは新101系電車をねらってソメイヨシノの開花の時期に西武多摩湖線沿線を歩いていたのに、今年は2月以来やはり出かけていない。そう思うと、私にとってはいろいろと好きで追いかけていた被写体が姿を消したことはショッキングなできごとなのかも。多かれ少なかれこたえているのかもしれないなあ。



■そうはいいつつ列車も少し
今年はそれでも、ソメイヨシノの開花の時期にはひさしく足を向けることがなかった西武池袋線の入間川橋梁へは何度も出向いて、花の開花の時期を探っていた。入間川の土手のサイクリングロードを走ることが気に入ったという理由もある。

そうして、3度めか4度めのタイミングで、思い描いていた絵柄で西日が差すなかを走るLaview(西武001系電車)の姿をとらえることができた。そういえばLaviewというカテゴリーもこのブログで設けていなかったことを思い出した。あれこれいいつつもこの車両の姿も見慣れたし、じっさいに乗るとNRA(西武10000系電車)よりも静かで明るく快適で、その点はおおいに気に入っている。ひさしぶりに「乗ることが楽しい」車両だと思う。


■流し撮りは光学ファインダーがあるカメラのほうが成功率が高いかも
入間川橋梁のこのアングルで流し撮りをするのはひさしぶりだ。この撮り方をするには以前からいろいろなレンズを試した結果、50mmの画角では橋梁の向こう側の背景を雑然とさせすぎるし、105mmの画角では周囲に余裕がない。だから、85mm相当が自分にとってはベストだ。望遠レンズのほうが流し撮りのヒット率が高くなるという理由もある。

サクラやウメ、モモの花は花自体が小さく、そのうえ枝が黒っぽいところが私にはどうもうるさく見える。順光で撮るなら満開のころの早朝から午前中がよくて、それ以外の時間帯ならば逆光、あるいは斜光線、さらには薄暮の時間に見るのが私は好きだ。そう思って日が傾いた時間に流し撮りで写したかった。架線や通信ケーブルも流し撮りならば多少はめだたなくさせることができる。

しかしこの撮り方は、橋梁に向かってくる列車を待ちながらソメイヨシノの木越しに動きを見計らう必要がある。手前の駅を出て橋梁の直前の曲線に列車が姿を現し、橋梁にさしかかるまでの時間は数秒間しかない。列車の近接を注意深く観察してからカメラを構え、数秒のあいだにタイミングと傾きに注意しながらレリーズをすることになる。だから、それなりに難易度が高い。そこで、今年は開花のタイミングをたしかめるだけではなくて、流し撮り自体の練習もしていた。数年前にD5600を借りて写したとき、あるいはNikon 1 V1Sony RX100IIIで同じことをしようとしたときには成功率が低くて自信を失っていたからだ。それ以前にNikon D2XNikon D4では流し撮りがうまくできていたから。

今年はNikon Dfで試みて……どうやら慣れのせいだけではなく、カメラのレリーズタイムラグの長さとの相性がありそうだと残念ながら思った。ミラーレス機やコンパクトデジタルカメラの電子ビューファインダーのカメラでは私には流し撮りの成功率がさがるようだ。うまく撮れないことをカメラのせいにしてはいけないけれど、流し撮りがしにくいカメラというものは存在するのだと思う。光学ファインダーを備えたレリーズタイムラグの短いカメラ、つまりミドルクラス以上の一眼レフカメラのほうが自分にはなにかと撮影しやすいということは否定できない。



この日はLaviewだけではなく、ひさしぶりに東急5050系電車4000番台4110編成『Shibuya Hikarie』号を目にすることができた。1編成しかないうえに、西武池袋線だけではなく東武東上線にも乗り入れるから、運用を確かめないまま埼玉県西部でその姿をとらえることができたのはかなりの幸運だ。2013年に登場してからもう8年ほど走っていて、西武池袋線と東武東上線のどちらでも比較的よく見かけはする存在ではある。10両編成なので優等列車運用につき、元町・中華街から飯能、もしくは森林公園まで行き来するので、運用範囲も広いぶんつかまえにくい。まじめに追いかけているわけではないのでまともに私が撮影できたことがなかった。だから、予期していない出会いはうれしい。なんといっても流し撮りもバッチリ決まったしね。

【撮影データ】
Nikon Df/AI Nikkor 85mm F1.4S, AI AF Nikkor ED 300mm F4S (IF)/RAW/Adobe Photoshop CC