2021年7月2日金曜日

【八高線撮影記事】金子駅とAPS-Cサイズセンサーカメラの恩恵


■上り方踏切にて列車を待つ
八高線金子駅に降りた日の話の続きだ。まず下り方の桂川街道踏切で列車を待った。だが、以前にも似た写真を撮っているのでおもしろくない。そこで、上り方の東逃水踏切に回った。自動車はときおり通るものの大型車は通行できないので、桂川街道踏切よりものんびりできる。

Nikon D7200に300mmを装着して450mm相当で駅を見ると、勾配が圧縮効果で強調されるのはいい感じだ。背景に空が入らないところも、曇りの日ならばなおいい。もし跨線橋を画面に配置するならば200mm相当から300mm相当くらいがいい。曇りの日はそういうわけで望遠レンズのほうが絵にしやすい。白い空は画面に入れていいことが少しもない。もちろん、写真の用途によるので、あくまでも「私には」だ。


■E231系3000番代にもずいぶん慣れた
ちょうど夕方のラッシュアワーの時間だった。金子駅は周囲に茶畑はあるものの、入間市の武蔵工業団地にも近く、駅周辺には住宅も広がっているので乗降客はそれなりにある。列車の到着前になると駅前に企業の送迎バスがやってくる。それから降りてあわただしく駅に向かう通勤客の姿を見かける。なかには居酒屋や立ち飲みで休憩しているみなさんも。今日もお仕事おつかれさま! と会社勤めをしていない私は彼らをうらやましい気持ちで眺めた。

やってきた上り列車はまずはE231系電車3000番代車だった。登場時はあれこれいったもののもうずいぶん見慣れた。むしろ209系3100番代車に乗るたびに「ずいぶん古くなってしまったな」と思わせるくらいだ。FRPの化粧板の傷みを見ると、平成年間に作られてメンテナンスが行き届かない遊園地の乗り物を連想してしまう。掃除の行き届かない観覧車とか、そういう感じ。




450mm相当で引きつけて撮る。踏切付近の機器箱や障害検知装置があるので、列車主体で撮るならばこの場所では短くても300mm相当になる機材がほしい。いまのJR各社の路線はどこでもそうかも。

■ハエ72編成がやってきた
すると、こんどは上り方向から川越行きの列車にハエ72編成が充当されてやってきた。来ればいいなと思っていたので大歓迎だ。もっとも、踏切警報機が閉まる直前に撮ることができるのはこんな感じで顔がはっきり見えないけどね。カラスが列車に驚いて飛んでいるのが写った。




ヲタのくせに、ダイヤをよく確認しないでいるので思いいたらなかった。この時間は金子で上下列車の交換をするわけではない。交換するほうが絵になりやすいかもしれない。

このあとの上り列車は209系3500番代車で、川越線内で見かけたハエ71編成がやってきたのは19時28分発の列車だった。さすがに暗くなりすぎてD7200+300mmの手持ち撮影はできずに見るだけにとどめた。武蔵高萩にいたらハエ71編成とハエ72編成の上下交換を見ることができたのかも。

そこで撮影はあきらめて、マミーマート金子店に寄ってから西武バス入市32系統で西武池袋線入間市に出て帰路についた。前回のエントリーでくわしく書いているのはそうやって実際に利用しているから。

そして南峯公会堂や加治丘陵を見ていると、自宅から遠くないのにいつもいつも遠出したように思える。その感覚がおもしろくてまた来たくなる。

これなんてiPhone 7 Plusですよ。
拡大して細部を見るとノイズ除去が塗り絵のように効いていて気持ち悪いけど。
それでもLightRoomやCamer RawでHEICファイルをいじってハイライトを飛ばさずに
各種補正をかけると「ぱっと見いける」感じになるのはすごいよな

■自分にはAPS-Cサイズが向いているのかも
この日はAPS-Cサイズ(ニコンDXフォーマット)の恩恵にあずかった。望遠レンズでの撮影が多い私には、なにかとAPS-Cサイズのカメラが手放せない。機材の軽量化が可能になるからだ。

デジタル一眼レフの黎明期に登場したAPS-Cサイズというイメージセンサーのフォーマットは、35mmフルサイズではセンサー製造時に歩留まりが悪く、どうしてもコストがかかるからというわけで、仕方がなく登場した規格であるようにいわれていた。シリコンウエハーを露光するのに、製造するセンサーのサイズが大きいとウエハーからとることができるセンサーの数が少なくなると聞いたことがある。さらにはセンサーサイズが大きくなるとカメラも大型化して、結果として製品が高価になりすぎる。35mmフルサイズセンサーを用いたカメラは35mm判のフィルムカメラと同じサイズにはできないうえに、ずっと価格が高くなりすぎるとも。だから、APS-Cサイズとは、デジタル一眼レフが普及する時期には、小さいイメージセンサーを使う機種をまず開発していくのはやむをえないという理由で登場したはずだ。

それが、いまとなると「APS-Cサイズは35mmフルサイズよりも大きくはないところが便利」と思えるのようになったのはおもしろい。APS-Cサイズはやむを得ず生まれた規格などではなく、じつは予想以上によく考えられているのではないか。2021年のいまでもAPS-Cサイズフォーマットはけっして、エントリーユーザー向けカメラだけのものではないはずだ。

Nikon Z fcはそう思うと興味がわく。「Z」の前後に半角アキが入るので注意されたい。半角アキを入れないと「半角アキを入れろよデコ助野郎」といわれるかもよ。おめェもボスになったんだろぉ? この瓦礫の山でよぉ! じゃねえ。とにかく、俺自身は半角アキを入れないやつにはそう言っているね。Nikon New FM2よりもひとまわり大きい程度というボディサイズもいい。もちろん、あのデザインが好きだ。

ここ1年ほど35mmフルサイズを使っていると、私にはどうもぼけが大きくなりすぎるし、機材としても大柄に思えることが少なくはないから。Dfが好きで使っていてもそう思う。正直にいうと、フルサイズにはちょっぴり疲れることがあるのだ。どうすればカジュアルに使うことができるかと考えて、レンズが重くない組み合わせを考えてきたのだが。APS-Cサイズを長く使ってきて慣れてしまったからだと思うものの、加齢のせいだったら残念だなあ。しっかりしろ私。

その点、Z fcはボディサイズがNew FM2より少し大きい程度だ。D500やD7500に用いられているイメージセンサーと画素数が同じに見えるし、いまの画像処理エンジンならば高感度耐性もそう悪くないはず。いいぞいいぞ。

特設サイトなどを見ると、Z fcは絞り環がほしいなどと「忌憚のない多数のご意見」をする私をはじめとする口うるさいニコ爺向けカメラではない。むしろニコ爺は来ないでというプロモーションをしている。外観がたんにレトロなだけだ。価格帯などを考えると、むしろニコンにいままで興味を持たなかったユーザーに、カジュアルに使ってほしいという機種なのだろう。だがニコ爺の私も機会があれば、手に入れていまよりももっと軽やかでカジュアルにいろいろなものを撮ってみたい。「絞り環」だ若者に嫌われるような口うるさいことをいわないで。ニコストップにあるようないまどきっぽい写真を撮ってみたい。いやほんとにマジで。

このところずっとZ 50が便利そうでいいなあと思っていたのだ。Z 50もZ fcにも大きなレンズは似合わないだろうし、マウントアダプターであれこれするよりもシンプルに「Z fc 28mm f/2.8 Special Edition キット」としてNIKKOR Z 28mm f/2.8(Special Edition)を組み合わせて、42mm相当で持ち歩くのが私としてはいちばん素敵だと思う。APS-Cサイズのミラーレスカメラにはじめて興味が湧いた。

あと、AC部が作画しているPowderのNew Tribeのビデオが「AKIRA」へのオマージュにあふれていて、しびれる。まったく関係がない話だけどさ。


【撮影データ】
Nikon D7200/AI AF Nikkor ED 300mm F4S (IF)/RAW/Adobe Photoshop CC