2023年5月8日月曜日

【JR八高線撮影記事】太陽と月の位置予測アプリ「サン・サーベイヤー」を使い列車でハレ切りをしながらシルエットを撮る話

河原は水遊びとバーベキュー客でいっぱい

■入間川橋梁の日没方向と時間のことを思い出した
連休期間中にはあいかわらずのように自宅周辺でのんびりしていた。そんな天気のよかった連休前半のある日に、八高線入間川橋梁のことを思い出した。正確にいうと、この時期の日没方向と列車の通過時間のことを思い出したのだ。2年前にも記事にしている。

入間川橋梁は下流側に位置して並行している阿岩橋から見ると、午前中は順光で午後に逆光になる。その日没方向が季節によっては画面内に太陽が入る場所になる。そして、30分ごとの列車のやってくるタイミングと自分の好きな構図でうまく合った経験があるのが、ちょうど4月下旬から5月上旬だ。そのことをふくめて「思い出した」のだ。

だてに、平成初期からこの場所で撮っているわけではないぜ。なんちゃって。

■サン・サーベイヤーで見てみると
さっそく午後遅くに自転車で入間川河川敷の自転車道を走った。風が心地よい。天気のいい連休だから河原のあちこちでバーベキューやピクニックを楽しむひとたちがたくさんいるところもいい。私も楽しくなる。

そうして現地に着いて阿岩橋にてカメラを構えた。河原にこんなにバーベキュー客がいるなんて。そばの駐車場には、おそらくは自治会のボランティアの誘導係の方がいて、幟まで立っている。なるほどねえ。

そんな平和な光景を見ながら、太陽と月の位置を予測するアプリ「サン・サーベイヤー」(リンク先はAndroid版の『デジカメWatch』での紹介記事。iOS版もあり筆者はiOSで使用中)のARビューで確認すると……18時過ぎに太陽が橋梁の上にさしかかることがわかった。フル版は有料だが、風景写真を撮る写真家ならばスマホに入れておくと便利だよ。

よしきた。あとは、このタイミングで列車が来るならばいい。そこで、それに備えてあれこれと準備しながら待つことにした。

「ソーラ・レイ・システム、ゲルドルバ照準でスタンバイ」
「825発電システムのムサイ、下がれ! 影を落とすと出力が下がる!」
などと不穏なセリフを思い出すのはガンダム世代のおっさんだから

■レンズフードは純正よりも長く
画面内に斜光線や太陽が入ると、私にとっては好ましくはないフレアとゴーストが出る。私の持っているレンズはいずれも古いから。ナノクリスタルコートってなにそれおいしいの、というようなレンズだからね。いま考えたら、三脚とハレ切り用のアンブレラを持ってくればよかったのに、軽装で来たくて忘れてしまった。

まず、レンズフードは過去のエントリーにあるように思い切り長くした。マニュアルフォーカスのAI-Sニッコールレンズよりは逆光に強いDタイプAFニッコールレンズではあるが、極端な強い光ではどうしてもフレアとゴーストは出てしまう。そして純正フードでは長さが足りない。

AI AF Micro Nikkor 105mm F2.8Dにはキヤノンゼラチンフィルターホルダー用フードを4枚、AI AF Nikkor 180mm f/2.8D IF-EDには72mm偏光フィルター用レンズフードHN-13とむかしケンコー(現ケンコー・トキナー)が出していたシートフィルターホルダーにとりつける⌀82mmのねじ込み式レンズフード(ケンコープロシェード)を追加している。さらに、それぞれに自作のフレアカット板も追加した。

そんなことをしながら、あいまにいろいろと写して待った。

AIAF180mmには⌀86mmのHN-13を
86mm-82mmステップアップリングでAF-2にねじこみ。
さらにケンコーの⌀82mmの旧製品フードで延長

横田に降りるC-130J。周辺光量落ちは現像時に足した。
「そしてここからが本題ですが、自衛隊はこのタイプのC-130を、装備していない」
なんちゃって

草木を撮るのも逆光や斜光線がいいのよ

順光で撮るのはおもしろみがないもの

■究極のハレ切りは光源に近いところで直射光を切ること
レンズフードをどれだけ長くしても、画面内に強い光が直接入るような状況では、フレアやゴーストは防げない。本来は、光源にできるだけ近いところでハレ切りをするのが理想なのだ。

そう考えていて、もしかして橋の欄干でハレ切りができるのではないか……! すわ俺氏天才か! と思って試してもみた。ところが、橋の欄干にはわりと光沢があって、レンズの下の部分がかえって反射してしまうことも。天才じゃなかったなあ。フレアとゴーストが出やすいiPhone 7 PLUSでやってみたのが以下の感じ。

橋の欄干でハレ切りできるかな

レンズの下の欄干が反射するからだめぽ

そこで、180ミリに切り替えて画角を狭くしてまずはしのいだ。ただ、空のグラデーションにどうしても無理がある。ゴーストも出ている。

画角を狭くするとしのげなくはない。
ただし、空のグラデがあれだしゴーストは出ている

■太陽がねらっている位置まで沈んできた
そうこうしているうちに、太陽が意図している位置にまで沈んできた。画面内に太陽がバッチリ入る。このまま撮ると太陽を隠すことができないので、ゴーストも写し込むことになる、とゴーストがささやいた。もちろんちょっと盛っている。あとは、列車がねらいどおりの時間に来てくれたら……!

太陽がいい感じになってきたぞ

そうしたら、列車はきちんと定刻に現れたわけですよ。そして、運よく列車でハレ切りすることができたので、フレアとゴーストも防ぐことができた。やったぜ!

もう数分列車が遅いともっとよかったけれど、これはこれで

日没後も楽しい

日没してしまえば重いレンズフードは不要だ。だから、軽装にして流し撮りも試した。カメラを動かさない撮影ばかりしていると、被写体に動きがなくてつまらなくて。いやむしろ、自分が体を動かしたいだけかな。

【撮影データ】
Nikon Df/AI AF Micro-Nikkor 60mm f/2.8D, AI AF Micro Nikkor 105mm F2.8D,AI AF Nikkor 180mm f/2.8D IF-ED/RAW/Adobe Photoshop CC