2024年1月4日木曜日

【上信電鉄訪問記2024年1月】年始は上信電鉄700型第5編成撮影から


■からっ風吹く西毛路訪問
気がついたら2024年を迎えて三が日も終わった。今年の年始は元日から大災害と大事故もあり、新年の祝賀のあいさつもしづらい気持ちもある。それでもこういうときこそ、読者の皆さんと自分自身に、健康と充実した穏やかな暮らしができるようにとお祈りしたい。

私は年末年始の多忙のあいまに正月休みを取り、業務やボランティアの作業を休んだ。年始も多忙であることがわかっているので、精神的な疲労回復に努めたかったからだ。

そこで、数年前から行っている年始の上信電鉄訪問を今年も行うことにした。昨年の春から遠出をしていなかったから。好きなカメラとレンズを持って、完全に趣味の撮影だけが目的の遠出を久しぶりにして、リフレッシュしたくなった。

■お正月も700形が大活躍
上信電鉄の始発下り列車が高崎を出る5時半ごろは、あたりはまだ真っ暗だ。なにしろいまはまだいちばん日の出が遅い時刻で、都内でも6時50分台に日の出を迎えるはず。1月2日の下り始発列車に乗っていた乗客は私を含めて3名だけだった。私以外は高崎駅前で「オール」の飲み会をした若者のようだった。


数駅先で降りて下車駅を見下ろす場所に立った。東の空がわずかに明るくなり始めたころに、上り始発列車がやってきた。充当されていたのはコーラルピンクにパープル帯の700形第5編成だ。かつての上信電鉄リバイバルカラーを模している。昨年の年始にようやく撮影できた列車だ。

上信電鉄は「1000形電車において昭和50年代の鉄道車両斜めストライプ塗装発祥の地」となった路線であり、ラインカラーや斜めストライプ塗装の印象が強い電車には、ずいぶん垢抜けない色合いだとは思う。けれど、700形には予想外に似合うとは思うし、上信電鉄の独自性を感じるから私はこの塗装は好きだ。細いラインであるところにセンスのよさがある気がする。


駅構内や踏切構内灯にピンク色が照らされるとめだつのもいい。冬枯れの景色にも映える。

■「西毛路を走る国電」も馴染んだかな
このあと、この第5編成には何度も遭遇した。高崎からすぐに折り返してきたし、もっと遅い時間に下り方向にいるときにも出会った。この日は6000形や7000形は動かず、500形も第1編成は検査入場して編成がばらされていて、700形がもっぱら縦横無尽に活躍していた。だから、撮影しているあいだに何度も遭遇し、移動に用いたのもすべて700形だった。貴重な自社発注の電車は早朝に250形を見ただけ。

そしてそのたびに相変わらず思っていたわけだ。「107系(700形)のMT54主電動機とブロワ音は何度耳にしても『国電』だよなあ」と。JR移管後に165系の主要電装品を流用して作られただけだということは知っているのに。

それでも、700形電車としていまや西毛路にもすっかり馴染んだ気がするのは、たんに私が見慣れただけか。


■貴重な「電車らしい電車」かも
慧眼な読者のみなさんにはおわかりだろうが、JR線内で活躍していたときには私には107系は「ハズレ電車」だった。たまにしか乗らないわがままで近視眼的な鉄ヲタの私は、115系1000番代のほうが好きだったからね。地元で通勤通学されている方にはロングシートの107系のほうが乗降もしやすくてよかっただろう。

それでも2024年(令和6年)のいまとなっては、VVVFインバーター化改造もされずに重厚な音を出して走るこの電車は「昭和の電車らしい」貴重な存在であろうと思えるようになってきた。実際には「平成の電車」だが。

そして、ちょっと古いカメラとレンズばかりを使い、ちょっと古い電車を写すことが好きな自分には「ちょうどいい存在」になったように感じるといったら、上信電鉄700形に失礼かな。

そうなると現金なもので、いまの私には700形はとても好ましく思える。乗ると旅情を感じさせる電車になったというわけだ。いまや、お隣の上毛電気鉄道が東京地下鉄03系を導入する時代だものね。




【撮影データ】
Nikon Df, D7200/AI Nikkor 28mm f/2.8S, AI Nikkor 85mm F2S, AI AF Nikkor ED 300mm F4S (IF)/RAW/Adobe Photoshop CC