2024年1月26日金曜日

【東武野田線PETIT訪問記】『哀愁の町にリバイバルカラー電車が走るのだ』2024新春編


■「東武野田線詣(もうで)」を続けているのだ
昨年末に用事があってひさしぶりに東武アーバンパークライン……(以下、長いので「野田線」)に数回乗って以来、野田線が気に入ったのだ。ここに記事化していないが数回通っている。



とはいえ、乗りつぶし派では私はないから、大宮〜春日部〜柏の区間にしか乗っていない。柏〜船橋はいまだに乗ってさえいないというのは、自分らしくもある気がする(開き直り)。


■野田線が気に入ったわけ
2023年から2024年のいまになって東武野田線が気に入った理由は、東武博物館所属の8000系電車8111編成が南栗橋車両管区七光台支所(旧・七光台検修区)に貸し出され、動態保存車両でありながら毎日のように営業運転を行い始めたから。特別運賃などなしに、ごくふつうに一般の乗客を乗せているのだ。

大きな理由は上記につきる。だが、それ以外にも相当数を減らしながらも8000系電車がまだ走っていること、いかにも国道16号線沿いらしい東京近郊の景色がまだ多少は残されているところ、私鉄沿線らしいこぢんまりとした駅前商店街のある駅と、ほんの少し下町らしさ、いまひとつ垢抜けない感じと新興住宅地が交じるところ、単線区間もあるところなどが気に入っているから……だろうか。都会的な服装のひとたちと、地元サイコー! ダチサイコー! なソフト***ー(少し古い言い方)な方々が混じり合う感じもして、おもしろくもある。それこそすなわち、都市近郊そのものということだろう。

野田線は都市近郊、東京の外周東半分を走り、大宮周辺、春日部周辺、流山おおたかの森をふくむ柏周辺、そして船橋周辺の何箇所かで都心に向かう路線と交差するために、それらへの乗降客がおもな枝線(フィーダー)的な路線だ。全線を通しで乗る乗客はいないわけではないけれど、そう多くはなさそうだ。これらの要素から、どことなくJR桜井線(万葉まほろば線)を彷彿させる。どちらにも愛称名があるし。

野田線には大きな鉄橋がいくつかあるところも気に入っている。地方私鉄でも私は鉄橋でばかり撮っている気がするね。それは理由があって、画面をシンプルにするには鉄橋が私には撮りやすいから。ごちゃごちゃとした余計なものを画面に入れたくないのだ。

古めかしさが好ましい路線ではあるけれど近代化は進んでいる。あちこちで複線化工事と駅舎改良工事が行われている。2012年に好ましく思っていた七里駅はすっかり駅舎改修工事が進んでまもなく近代的な駅舎が営業開始する。
沿線は『哀愁の町』というよりも、写真家武田花の写真集のタイトルを借りれば『眠そうな町』ではある。それでも開発は進んでいる。


■震えながら列車を待つと
いつも同じ場所にきてしまうのは、適度に開けているところと駅から近いから。野田線にはもっと大きな鉄橋もあるのは知っている。ただほら……トラスの塗装が色褪せている感じがちょっと好きになれないでいる。影も車体に映りやすいし。

午前中で仕事を終えてしまったこの日、都心を出たときから風が強くて気温が低かった。空は真っ青なのは写真に写すといい感じだが、まだ太陽も低くて影も濃い。前回までは左岸側から撮っていたので、右岸に回った。列車通過40分くらいまえなのに、数人の先客がいておどろいた。

こんな寒い日の平日に列車を撮るなんて、もの好きもいいところですよね(オタクらしくお互いを褒め称えている)。そんなことを言い合いながら列車を待っていると、おめあての8111編成の数本前に、貴重な方向幕車8159編成が姿を現した。よしいいぞー! と思っていたら列車が橋の中央に差し掛かったあたりで、列車だけ陰った。

そんなことあるのかと、むしろ笑えた。他の皆さんとも「ファインダーを見ながら『プレビューボタンをうっかり押したっけ俺』と思いました」などとも。このときは、めずらしく私はシャッター速度優先AEにしていたから、正直いうと露出の急変はあまり関係なかった。どうもみなさんきちんとマニュアル露出モードで撮影しているようだ。そのほうが、露出が急変しない場合は確実ではあるのだが。


それから30分ほど待ち、あれこれとテスト撮影と露出の確認をするのにも飽き始めたころに、ようやく8111編成の上り列車がやってきた。今度は陰らないでくれよ! と念じて言葉にしないでいたから、日のあたりもバッチリ。



しかし風が恐ろしく強く、吹きさらしの河原にいるとカメラのバッテリーが冷えていき、みるみる使えなくなる。2台のLUMIX GX7 Mark IIを持ってきたので、交換電池6本をズボンのポケットに入れて自分の体で温めて、合間を見て交換していても電力消費が早い。何度も交換した。

8111編成の撮影後に、駅に向かう途中で下り列車も撮りたくなったので待った。だが、ふだんはおだやかな古利根川が白く波立つほど風が強く、河原で立っているのも一苦労したほど。カメラをどうしてもぶらしそうになるから、1本だけ撮って引き上げることにした。8111編成より先に上り列車として大宮に向かった8159編成も戻ってくるはずだけどと思いつつ。

■これからも探していこう


15時前に引き上げるなんて早すぎる。昔の自分ならそう思ったろう。ところが、この選択はまちがってはいなかった。強風によるダイヤ乱れが発生し、車両交換も行われたのか8159編成は春日部の留置線に入ってしまっていた。さらに、自分が乗っていた列車も線路内にバイク用のビニールカバーのようなものが飛ばされてきて、司令と連絡してから運転士がそれを取り除くまで抑止した。

後続列車で8111編成を追いかけたわけだけど、撮る気もなく七里で交換するようすを見送った。

おまけに、大宮で乗り換えた川越線も荒川橋梁の速度規制で遅れていた。さきほどの古利根川の河原でさえじっと立っていられないほどの強風だったのだから、ほかの場所で我慢して強風に耐えていても、うまく写せそうになかった。

野田線詣では今後も続けていくつもり。いつも行ってしまう鉄橋以外のほかの場所も探していかなくてはいけないね。そして、LUMIX GX7 Mark IIだけ持って撮影に行くのも身軽で楽しいと改めて思った。

好きなことは続けたい。仕事とはいえ嫌な思いばかりするのはよろしくないし、そういう我慢は自分はもうしないと決めた。自分に残された時間は有限なのだ。年末年始にそう決意したので、今年はそれ実行していくよ。

【撮影データ】
Panasonic LUMIX GX7 Mark II/LUMIX G 14mm F2.5 ASPH., LEICA DG SUMMILUX 15mm F1.7 ASPH./RAW/Adobe Photoshop CC