2013年10月5日土曜日

【秩父鉄道1000系撮影記事】スカイブルー1001編成、夜の駅にて。そしてAI Nikkor 35mm f/1.4Sと1Nikkor 18.5mm f/1.8についてあれこれ


SL運行時期や観光シーズンの日中の人出が嘘のよう

■35mmレンズについていろいろわかった
先日来から、気になって自分のカメラのファインダーの見え方やレンズの絞りによる描写をあれこれ試し、過去に撮った写真を見返していて、興味深いことを知った。


私が好きなニッコールの35ミリレンズのうち、AI AF Nikkor 35mm f/2D(以下f/2Dと略)とAI Nikkor 35mm f/1.4S(以下、f/1.4Sと略)(*1)を比べていて、新しいf/2Dは明快な描写をするレンズだと思っていたのに、画面全体に均一な解像感を得るためにはf3.5以上に絞らないとけっこう「ほわほわ」であること。

いっぽう、f/1.4Sは絞り開放ではハイライトがにじむ、ピント合わせのしにくいレンズながら一絞りでかなり明快になることは体験的に知っていたとはいえ、f2.8での描写はf/2Dよりも私の好みかもしれないこと。

そして、私の所有するD7000のオートフォーカスは、中央部分のフォーカスエイド機能は位相差AFでもきちんと測距できることもわかった。ただし、ミラーの調整は以前自分で行ったので、出荷状態のままではない。追い込むことできちんとする。むしろ、ファインダースクリーンの見た目だけであわせるには、私の目では後ピンにしがちであることも知った。D7000をもう少し信用しても大丈夫だった。


■自分の道具の特性を知っておきたい
35ミリレンズの話に戻せば、所有するf/2Dもf/1.4Sも点光源が画面内にあるとデジタルゴーストが出てしまう。これはしかたがない。とくに、15年ほどまえに手に入れていてニコンスーパーインテグレーテッドコーティングではなく、レンズ構成枚数の多いf/1.4Sはもうやむを得ない。こうなると、新しく発売されたAF-S NIKKOR 35mm f/1.8Gの描写も気になる。というのは、夕方の駅で列車を見ることが好きだし、薄暮の町の灯りが灯る頃が好きでしばしば写真を撮るのに、よけいなゴーストに邪魔されたくないからだ。

さて今回アップするもののうち三峰口駅ホームに停車中のカットは、1001編成の引退間近にf/1.4Sで撮ったものだ。ボディはD2Xなので、ISO感度は400くらいが常用したい感度アップの限界だ。だから自ずと絞りは開き気味になる。正直にカミングアウトするとアップしたカットも後ピン気味で、輪郭強調を少し強くしてお見せしている。

■Nikon 1シリーズは輪郭強調を弱めるほうがいい感じ
とはいえ、画面内の解像感が均一になればいいというわけでは必ずしもないだろう。それ以外はNikon1 V1に1Nikkor 18.5mm f/1.8(*2)で撮っている。以前も書いたようにデフォルトだとNikon1は輪郭強調が強すぎるように思えて、コンデジ風のパンフォーカスの絵になってしまいがちだ。こちらは輪郭強調を1段階弱めて、なるべく絞りを開いて撮るほうが「一眼レフライク」な絵になりやすい。Capture NX2で歪み補正とビネットをいじればカンペキ。つまり単焦点レンズであまり絞らずにRAWで撮ること。

にじむようにボケていく描写も浅い被写界深度も、立体感を演出する味つけと考えたい。その選択をあれこれ考えるのも趣味の写真の楽しさだろうから。 

影森から乗客が増えたのを見届けて御花畑で下車

■秩鉄の古い駅舎にはオールドレンズが似合うかも
秩父鉄道の夜の駅のようすはクラシックな駅の作りのためか、こうした絞りを開けるとちょっと甘いレンズでうまく撮ると、ノスタルジックな雰囲気を描写できるのではないか。そんなことを考えた。あとは、そういうレンズでもピント合わせを正確に行ってブラさないで撮ることができるように、自分のスキルを鍛えること。写真術の鍛錬にも終わりはないね。

*1 「AI AF Nikkor 35mm f/2DとAI Nikkor 35mm f/1.4S」:2010年ごろから表記の統一が行われた。NIKKORとNikkorで大文字小文字の混用もあり、カタログ表記などの校正がたいへんなので統一しようと表記を変更したと聞いた。最近の製品はズームレンズでも「Zoom-Nikkor」ではなく「NIKKOR」となっている。本稿でもともに現行商品なので、現在の表記で示す。昔の言い方でいうとそれぞれ"AI AF Nikkor 35mm F2D"と"AI Nikkor 35mm F1.4S"だ。

*2 「1Nikkor 18.5mm f/1.8」:AF-S DX NIKKOR 35mm f/1.8Gの類似の光学系を持つ50ミリ相当レンズ。6群8枚(非球面レンズ1枚)という構成は同じ。Nikon1ではこのレンズばかり使うほど気に入っている。もちろん私見ではあるがNikon1こそ明るい単焦点レンズが向く。このレンズを使ってこそ「一眼レフライク」な描写を得られるというものだ。Nikon1シリーズユーザーで「どうも絵がいまいち」と思っている方はお試しあれ。別売バヨネットフードはあまり素敵に見えないので、大昔にJupiter 3 50mm F1.5用に買った八仙堂のφ40.5ミリのスリット入りメタルフードを着けている。レンズ自体の素っ気ない外観がカッコよくなる。

なお、基になったらしいDX 35mm f/1.8Gも外観はそっけないレンズだが、ちょっと絞ると現代的なヌケのよさがすばらしい。わり安価に流通しているところもいい。こちらもDXフォーマットユーザーにはキットズームなどよりも、熱烈におすすめしたい。

【撮影データ】
Nikon D2X, Nikon 1 V1/AI Nikkor 35mm f/1.4S, 1Nikkor 18.5mm f/1.8/RAW