2018年9月1日土曜日

【2018年夏関西リハビリ鉄記事】「ウサギ号(ラビットカー復刻塗装編成)」を追え! 近鉄南大阪線沿線滞在記 その1


■クマゼミの鳴く頃に、「ウサギ号」に出会う
梅雨明けの頃のことだ。連日とても蒸し暑い。日の出の頃に鳴いていたクマゼミたちは、7時を過ぎるとさらに鳴き声を大きくする。アブラゼミのような騒々しさはなくても、暑さをより強く感じさせるかのようだ。

その頃私は大阪の病院にいた。病院は近鉄南大阪線の沿線にある。入院当初2週間は外出を禁じられていたものの、病室にいるのは気持ちがふさぐし、運動をするように言われていたので、起床後は医師の回診時間と食事の時間をのぞいて、ずっと屋上にいた。その屋上から、列車が急曲線を走るさいのパンタグラフのスライダーが擦れる音と、車輪のフランジが鳴る音を聞くことができた。だから外出できるようになったら、近くの駅で列車を見ようと思っていた。

あれは土曜日の昼前のこと。その日はようやく外出を許されるようになり、それなりに症状も安定したためにカメラを持って昼前にも歩いておこうと、最寄り駅から河内松原まで、数駅ぶんの散歩に出かけた。このあたりは優等列車停車駅である河内松原よりも上り方向であるために運転本数も多く、通過列車も含めてひっきりなしに列車が来るので、列車を眺めるにもあきない。このときも駅のすぐそばの踏切に立つと、すぐに列車がきた。けれどやってきた列車はマルーンとベージュの塗装ではなく……オレンジバーミリオンに白帯を巻いていた! これは、「ラビットカー復刻塗装編成」ってやつか! ウサたん、なんかカッコいい!



■関西鉄エントリーユーザー、まずは南大阪線に萌える
この「ウサたん、なんかカッコいい!」という感情は文字とおりの意味ではあるけれど、ちょっとばかり解説が必要だ。というのは、筆者は修学旅行と仕事の出張くらいでしか関西に来たことがなく、大阪環状線と東海道線以外は大阪市営地下鉄(当時)御堂筋線に乗ったことがある程度。ほかの私鉄にこの年になるまで乗ったことがなかったという、関西鉄超エントリーユーザーなのだ。大阪圏の地理や位置関係、距離感がまったくわからない。そのくらいの「ズブの素人」が、1960年代的な裾絞りのある近鉄通勤型電車に「シュッとしはってる」(←ナースたちのいいまわしをいただきました)と萌えていたところに、さらに走っていることは知っていたけれど、まさか見られると思ってもいなかったラビットカー復刻塗装をいきなり目にしての驚きがこもっている。うさうさ。それじゃあ、仮面ノリダーの「恐怖うさぎ男」か。以下、文中では筆者の興奮具合に応じて「ラビットカー復刻塗装」と「ウサギ号」「ウサたん」が統一されずに出てくるからね。

それにしても、はじめて目にする近鉄の路線が標準軌の奈良・京都線ではなく、狭軌の南大阪線というのもちょっとおもしろいかも。西武池袋線と新宿線の関係にたとえると、ちょっぴり新宿線のようであり、東武本線と東上線の関係でいうと東上線のような……。大阪都心から大和川を越えて松原市内に入ったあたりの車窓風景もまるで鷺ノ宮より上り方向の西武新宿線のようにも見えるし。下町的で。

■「ウサギ号」はこのあとも私を翻弄し続けた
出会いの印象がとても強烈だったことから、今後しばらくは南大阪線ならこの6020系6051編成ラビットカー復刻編成をねらいたい、と私は考えた。とはいえ、病人の頭に浮かぶことだからな。運用を調べて集中的にねらうというよりも、「運よく撮れたらよくね?」的な、わりとふんわりとした夢想だったのかもしれない、といまとなっては思う。とにかく、カメラを持って沿線に出るたびに「ウサたん来ないかなあ(ためいき)」と思っていた。藤井寺行き各駅停車に入っていればすぐにつかまえられる。吉野行き急行だとなかなか戻っては来ない。

ウサギ号はそんな私をあざ笑うかのように、ある夜は河内松原で目の前をぴょんぴょんと下っていき、またあるときは乗っていた上り列車の対向としてすれちがった。あー、なんか俺氏ウサたんにからかわれているのかも?(中二的な被害妄想)そう思っていたある日、夜の駅で目の前を通過していくようすをファインダー越しに目にして、思ったわけ。かんたんに捕まえられないところも魅力的なのではないか、と。まるで、不幸な恋愛をやめられないひとみたいなことを言っているね、私。



(つづく)

【撮影データ】
Panasonic LUMIX DMC-GX7 Mark II/LEICA DG SUMMILUX 15mm / F1.7 ASPH., LUMIX G 42.5mm / F1.7 ASPH. / POWER O.I.S./Adobe Photoshop CC 2018

0 件のコメント:

コメントを投稿