2018年12月29日土曜日

【2018年夏関西リハビリ鉄記事】桜井線・和歌山線国鉄型電車乗り&撮り記 その7.「今井町の魅力」

蘇武橋から桜井線を見る

■八木西口駅で降りて驚いた
る日、JR桜井線(万葉まほろば線)の畝傍駅に向かうために、近鉄橿原線八木西口駅で降りたときに、「今井町(いまいちょう)へはこちら」という案内が目に入った。

無知な私は、今井町にはなにがあるのかなあと思いながらも、最初はあまり気にしなかった。けれどある日、この乗り換えをしようと八木西口駅を出たとたん、目の前の鉄橋を桜井線の105系電車が通過するのを目にした。いい雰囲気だなあと思い、畝傍駅にまっすぐ向かうのではなく、桜井線の鉄橋下をくぐってみた。なにしろ、日中は上下ともに1時間に1本しか来ない桜井線の列車は通過してしまったのだから、時間はある。

そうして桜井線の下をくぐって飛鳥川にかかる蘇武橋のたもとで、腰を抜かさんばかりに私は驚かされた。目の前には、保存家屋が整然と再現された街が広がっていたからだ。それが、八木西口駅に案内のあった今井町だった。

蘇武橋はこんな橋。桜井線は画面右手を、撮影者背後には近鉄橿原線が走る





■独立独歩の自治都市
今井町については、橿原市のWebサイトへのリンクをここに貼っておくので、みなさんご自身でできれば検索をかけてもらいたい。というのは、私にはその成り立ちや魅力について語るのは力不足だ。それでもあえて概略を述べれば、橿原市の中心にあり、東西約600メートル、南北約310メートルの範囲に、500もの伝統的家屋が残されている地区だ。一向宗本願寺の進出により基礎が作られ、織田信長にも挑み、その後293年ものあいだ自治を保ち、商業の一大中心地だったという。

この街並みを見て驚かされたのは、理由がある。それは、東端を飛鳥川が流れ、それを越える橋梁が桜井線にあり、そこを何度も列車に乗って通過していたのに、私はこの街並みにまったく気づいていなかったからだ。桜井線の列車からも、あるいは近鉄橿原線の車窓からも今井町の街並みが見えるのは一瞬とはいえ、注意していれば見逃さないはず。思えば、私はいつもクモハ105の運転台直後から、MT55主電動機の唸り声を聴きながら、進行方向かあるいは過ぎ去っていく線路しか見ていなかったのだろう。

今井町は歩いてみるとタイムスリップしたかのような感覚さえ覚える。そんな素敵な街並みだ。さて、これを桜井線とうまく合わせて写すことはできないだろうか。そう考えて、まずは飛鳥川の蘇武橋から桜井線を写した。




そのうえで、歩いてみて……うーん、私の腕前だと桜井線とうまく合わせて撮るのは難しい。どこかのビルの屋上から写すことがもしできれば、素敵な写真になりそうだ。とはいえ、ここは歩いてみるだけでも、じつに気持ちがいい。この夏に気に入ってしまい、なんども通った。それでも、気に入ったカットはまだまだ少ない。



【撮影データ】
Panasonic LUMIX DMC-GX7 Mark II/LEICA DG SUMMILUX 15mm / F1.7 ASPH. LUMIX G 42.5mm / F1.7 ASPH. / POWER O.I.S./Adobe Photoshop CC 2019