2016年3月11日金曜日

【上信電鉄撮影記事】俺氏がぶどう色2号に塗装された新性能車にこんなに萌えるはずがない件


今年の冬は、首都圏では例年通りにたいした積雪もなく終わっていくようだ。昼間の気温が10°以上の日々が続くと、もはや積雪するとは思えない。そう思うと、冬を堪能できたかなという後ろ髪を引かれる思いもなくはない。めんどくさいやつだな、我ながら。

さて、上信電鉄詣でも思えばしばらく前のことだ。1月に訪れて私が萌えたのはもちろん、元西武車たちの活躍にであり、上信電鉄オリジナル電車の奮闘ぶりにでもある。ぜんぶ好きなのではないか、と言われたらそうだと答えよう。そのうえで、いちばんぐっときたのはおそらく、どちらの要素をも兼ね備える西武所沢工場製上信電鉄オリジナル電車である200形のデハ203-クハ304の姿だ。




一昨年春にだったか。上毛電鉄を訪問する際に高崎で列車から車窓を見渡していると(昭和の鉄道の聖地ともいえる高崎駅に東京方からやって来ると、JR東日本の115系電車や107系電車、旧型客車と上信電鉄の車両をかいま見ることができる。ここで車窓を見渡している人はテツですな!)側面に文字の書いてある茶色い電車に目が行った。すわ、ストか!? などと一瞬身構えたのは、スト権スト*を子どもの頃に見た昭和の人間のせいで、よく見たらアジ文字などではなく、毛筆の書体で「祝富岡製糸場世界遺産登録」とあった。レンガ色の車体にレンガを模した模様があったはずだったのが、茶色に塗り替えられたようだ。降りたい! という思いに駆られたもののぐっとこらえた。なにしろ、行先では本物の旧型電車(上毛電鉄デハ101)が走るのだ。

心のなかの中学二年生はいぜんとして成長の兆しが見られない私だが(もはや自慢だな)、リアル中二であったころであれば、カルダン駆動の新性能電車を茶色く塗って見せる行為は「偽レトロ」「なんちゃってクラシック」であると思い、興味をひかなかっただろう。それは、きわめてヲタ的な近視眼的な心情ではあるけれど、中学生らしい真面目さでもあったといえるのではないか。そしてなによりも、リアル中二の頃はまだ、ほんとうにもっと古い戦前の電車でさえ博物館入りせずに走っていた。だからまだ「古いものでも好きなものだけ」を選ぶことができたのだ。そんな時代に、リアル中二のくせに「ないものはないのだから、古っぽく見せるのだっていいじゃない、ねえ」などと分別を示すようだったら、あまりかわいげがないもの。


そんな時代から幾星霜。気がついてみれば昭和30年代に作られた電車ももうない。昭和40年代の電車がかろうじてあちこちで走っているといったところか。そして、年月は人も変えるものだ。かつて「『なんちゃってクラシック』なんていやだ」と思っていた少年は、いまや鏡の前に立つたびに、そこに映る白髪の混じった見知らぬおっさんの姿に恐怖するほどだ(おおげさだな)。あのころはまあ、そりゃ坊やだったのさ。

そんなわけで、ぶどう色2号に塗装されたデハ203-クハ204のコンビを一昨年春に目にしたものの、冷房装置未搭載であることから夏期は走らない。そのために、この冬になるまで走る姿を見ることも、乗ることもかなわなかった。年始に訪問して高崎で待っていたときにこの電車が来た時は、思わず胸が高鳴った。もう「なんちゃってクラシック」なんて思わないし、だれにも言わせない! (←お前だけだろ、そう言っていたの)そして、この地味な電車は単色やシンプルな塗装のほうが似合う。地味な電車の地道な活躍にこそしみじみと萌えるのだ☆。新幹線なんて、あんなものは飾りです。ラノベ風タイトルをつけた記事を書きながら、もういちど見に行きたくなってきた。

【撮影データ】Nikon D7200 /AI Nikkor 20mm f/2.8S, Ai AF Nikkor ED 300mm F4S (IF)/RAW+JPEG/Adobe Photoshop CC

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*スト権スト:昭和50年(1975年)11月26日から数日間にわたり行われた旧国鉄の国労が行った「国鉄スト権奪還スト」。その詳細や原因、結果については各自参照されたい。当時、京浜東北線沿線に住んでいた筆者は、母親に連れられて散歩にでかけたいつも電車を見る踏切でねだっても、いつまで待っても電車が来ず、やっとやって来た乗客を乗せない電車がいつもよりも相当速度を落として走り、その側面になにやら白い文字がたくさん描かれていたことを記憶している。「どうしてでんしゃがこないの?」「ストだからよ」という会話をした記憶もある。

【追記】上信電鉄を被写体にしたNikon D7200の解説本、Kindle電子書籍『ぼろフォト解決シリーズ』で近日発売いたします。乞うご期待!

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