2018年12月31日月曜日

【2018年夏関西リハビリ鉄記事】懐かしい103系電車に会いに奈良線へ 最終回「宇治で夕立に遭った日」


■もう一度宇治へ
の夏の在阪療養生活の終わり頃に、JR奈良線の103系電車を見るためにもういちど宇治へ出かけた日のことだ。学生さんたちの夏休み期間とはいえ8月も末で、そろそろ台風もやってくるかという時期で、ただでさえ蒸し暑い宇治も、それ以前に訪れた日よりもずっと蒸していた。

宇治川の水辺に降りて以前と同じようにカメラを構えていたら、だんだん雲が出てきてあたりが暗くなってしまった。順光で撮るには雲が多いといまひとつ望んだ絵にはならないし、水辺で雨に降られるのは怖い。そこで、まだ早い時間ではあったけれど堤防に上がり、宇治橋を渡ると驟雨が降り出した。



以下、ホワイトバランスを5,000Kから「日陰」にして、アンバーとマゼンタをプラスして新海誠のアニメのような絵柄でお送りします。「ぼくたちのホワイトバランスが」「入れ替わってる!」という感じでしょ。なんてね。

■積乱雲と太陽光の戦いを目にしているかのよう
宇治橋からJR宇治駅方向を見ると、もくもくと積乱雲が立ち上っていた。そうして、宇治橋を渡りながら日没方向を眺めると、ユニチカ宇治工場の煙突のほうに「天使の梯子」(薄明光線)が見えた。なんだかすごい空模様で、それを見ているだけでも心揺さぶられる。そこで橋を渡って京阪宇治駅前のロータリーに出て、そこからしばらく空を見ていた。そこへ、ねらっていた奈良線の103系電車がやってきた。




前回写したシルエットの写真のときにも、眼前に広がる光景に息を呑む思いでいた。この夏に自分が雄大な夏の光景を撮影できるとは、春先からの体調悪化のさなかにも、大阪の病院に入院したばかりの頃にも、まったく思いもよらなかったからだ。だから、たとえ橋の上で雨に降られていても、積乱雲と太陽光のおりなすドラマを目にしている自分の幸運に、とてもうれしく思えた。

列車が通過してから撮った写真を再生しながら周囲を見回すと、ロータリーでバスを待ったり駅舎で雨宿りしているひとたちが、みないちようにスマホを空に向けていることに気づいた。彼らがスマホのカメラを向けるほうを見ると、空には虹がかかっていた。

自分が奈良線の103系電車を見るのは、きっとこれが最後になるだろう。けれど、その最後の日にしてはものすごくドラマチックだ。この日のことはずっと忘れられないでいる。これから先の人生でもいろいろな写真を撮り続けてあちこちに出かけることはあるはずだ。それでも、こんな空模様を目にする日はそうそうないだろうから。


2018年度中の更新は本エントリーが最後になります。いつもご愛読いただきほんとうにありがとうございます。みなさんと、そのご家族や親しい周囲の方々のご多幸をお祈りいたします。そして、来るべき新しい年が、みなさんにも私にもより実り豊かな年になりますように。

【撮影データ】
Panasonic LUMIX DMC-GX7 Mark II/LEICA DG SUMMILUX 15mm / F1.7 ASPH. LUMIX G 42.5mm / F1.7 ASPH. / POWER O.I.S./Adobe Photoshop CC 2019