2019年10月14日月曜日

【西武新101系撮影記事】「西武秩父線開通 50 周年記念セレモニー」開催。「101系記念列車」を撮る……池袋線内で

ありふれた高麗駅の日常の光景のように見えるけれど

■西武秩父線開業50周年記念列車にチョイ乗り
日の近江鉄道訪問記事のなかでも書いたように、本日10月14日(月・祝)に西武秩父駅で西武秩父線開業50周年を記念するセレモニーが行われたようだ。それにあわせて、すでに西武池袋線と西武秩父線、あるいは西武新宿線の本線から姿を消して久しい新101系電車のうち、登場時のイエローとベージュのツートンカラーをリバイバルカラーとしていま現在まとっている多摩湖線・多摩川線用ワンマン車245編成が、飯能と西武秩父のあいだを記念列車として二往復した。

当初の予定では、三連休の土日もふくめた三日にわたって毎日二往復する予定だった。それが、みなさんもご存知のように台風19号の襲来により、12日土曜日から計画運休が実施され、それにともなって記念列車も土日は運休となった。埼玉県内も各地で豪雨による河川の氾濫があり、西武秩父線でも倒木被害があったと伝えられているなか、おそらく13日(日)に必死の復旧作業が行われたのだろう。西武秩父線は14日(月・祝)から運行が再開されていた。245編成の玉川上水から南入曽を経て、武蔵丘への回送は12日(土)のうちに行われたようで、目撃情報がツイッターであがっていた。


まだあちこちの河川の氾濫やその後始末が終わらないところもあると報じられ、各地の被害状況もさかんに報じられているのを見ると、遊びに行くのもなんともためらわれる気持ちもあった。しかも、雨量が多くはないとはいえふたたび雨模様になるという天気予報も見ていた。だから、14日のこの記念列車を見に行くかどうか、じつはいろいろとためらいもあった。そうこうしているうちに、自宅を出るのが遅くなってしまい、私が飯能に着いたのは、ちょうど下り記念列車の第一便(5021列車 飯能11:14発)がちょうど入線するところだった。プラットホームはこの列車の入線を待ってカメラを持っているひとたちでいっぱいだった。

一眼レフをかばんから取り出して構える元気がなくて、そのようすを私はなんとなく眺めていた。そもそも、撮ろうと思っていた列車に乗るとはね。というのは、乗るつもりはなかったのだ。

けれど、せっかくやってきたのだ……と思って飯能から高麗まで数駅のあいだ揺られた。この電車は多摩湖線と多摩川線を、そしてこの春からは西武園線を日常的に走っているので、めずらしいとはもちろん思わない。それに、下回りが同一の4000系電車と10000系電車が飯能から西武秩父を毎日たくさん走っていて、走行音もまたなじみがある。だいいち、子どもの頃からつい10年ほど前まで、飯能から西武秩父のあいだを走る101系列電車にさんざん乗ったのだ。

それなのに、窓の外を見ると車体の黄色とベージュの色がちらりと見えて、ロングシートの3ドア車で武蔵丘車両基地を抜けていくのは「ひさしぶりだなあ」などと感じさせて、ついほほが緩む。なんだかんだいって楽しんだわけですよ。この10年ほど、多摩湖線・多摩川線用の新101系ワンマン車を西武秩父まで走らせてくれないかな、と私は思っていたのだから。それを実現してもらったのはやっぱりうれしいのだ。

あ、はっきりとキモい感じににやにやとは笑ってはいないはず……よう知らんけど。フォカヌポウ。

■高麗で待ってみたわけ
先日まで巾着田のヒガンバナが満開だった。それを見る観光客で賑わっていた高麗駅も小雨交じりの昼前となると、ハイキング客は少なくて、むしろいつものように地元のみなさんの乗り降りがおもだ。4両編成のこの列車はこの時間ではめずらしく混んでいるといったところだろう。

西武秩父線の開業記念列車なのだから、ほんらいならば吾野から下りの西武秩父線内で撮るべきだろうと思いつつ、私は高麗で降りた。正直いうと、空を見ていてあまり山中に行きたいと思えなかったのだ。いつもは美しい渓流である高麗川もまだ水量が多く、茶色くにごっていて河原に降りるのは危険だろう。それでも、町中を走るのではない絵を撮ろうと思って改札を出た。

イエローとベージュのツートンカラーの電車がひさしぶりにいるわけ

同じ音をさせる電車はいまでも走っているけどね

高麗で降りたのは、三菱セメントのかつての貯蔵施設が残されているから。かつては貨物駅があり、セメント列車が行き来していた。旅客列車の退避もしていたはず……というのは、それを私自身それを目にした記憶がないからこういう言い方をしているのだが。E851じたいは、現役時代に飯能や東横瀬貨物駅などで目にしている。ところが、各種旧型電気機関車やE851が貨物列車を牽引している姿を自分の目で目にしたことが残念ながらない。いや、覚えていないだけなのだろう。

西武秩父線は秩父への旅客輸送を目的とするだけではなく、セメント輸送を行うことも目的とされていた。その名残を画面に写し込むことができたらいいな、と思ったというわけだ。そこで、上り方の踏切で5030列車(西武秩父発12:08)を待った。

セメント輸送を列車でしていた時代があるわけ

ここは高麗だから池袋線なんだけどね

この抵抗器を見ると101系だなあと思う
思っていたような絵にはなった。とはいえ、これだけでは満足できないので次なる場所をめざす。高麗で降りたのは、そもそもその場所に行きたかったから。

■かの有名な「高麗カーブ」へ
それは、高麗を出た列車がセメント貯蔵施設跡のそばを通り、カーブしながら林を抜けてこま武蔵台ニュータウンの斜面の下を大きくカーブしながら走る「高麗カーブ」などと呼ばれている場所だ。高麗からは高麗3号踏切を目指して歩く。299号をシチズンマイクロの工場先の窯焼きピザのカフェ(カフェ日月堂)まで歩いて左折して祥雲橋で高麗川を渡るか、駅からニュータウンを抜けて武蔵台7丁目で斜面を降りる道を通るか、どちらからも行くことができる。ただし、ニュータウンを経由する道は駅から坂道を登る必要がある。このこま武蔵台ニュータウンは高低差があるからだ。たしか、西武山口線の新交通システム(レオライナー)はかつてこのニュータウン内にも同様のものを作る構想があったのではなかったか。

列車では何度も通ったことがあるのに、じつは私はここで列車を撮るのははじめてだった。というのは、この場所は下り列車をねらう場所だが晴れると日中は逆光で、中途半端な山陰になる。正面に日が当たるのは夏場の夕方だけだ。さらに、私が本格的に鉄道趣味に「出戻り」してからほどなくして、2010年3月のダイヤ改正で新101系電車は飯能以遠に定期的に運用入りすることがなくなった。4000系電車や10000系電車なら、いつでも撮れるのではないかという油断した気持ちもある。おまけに、ここまで来るといつも私は秩父まで行って、秩父鉄道を撮ることを優先してしまったし。

雨で光線状態を選ばないで済むなら行ってみるか。背景を白くしないように写せるから……もっとも、高麗駅でさきほどの5030列車を見送り、機材を片づけて急ぎ足で歩いてもだいたい20分くらいか。息を切らせて列車の通過5分ちょっと前にぜいぜいと到着してみると、アウトカーブのいい場所はもちろん、計画的に行動しているみなさんが占めていたので、おとなしくインカーブからねらった。第一便をここで撮るために早起きして朝のうちに来ようと思っていたんだけどね。それにしても、インカーブから撮ると背景が多摩湖線の狭山公園のように見える。新101系ワンマン車だからかも。

有名な高麗カーブなのだけど……多摩湖線のようにも見えるね
■めずらしく俯瞰してみる
飯能発13:14の5029列車を撮ってしまうと、もう当初の目的を果たしたつもりでいるので、すっかりお気楽モードだ。とはいえ、せっかくここまで歩いてきたのだから、もう少し別のアングルも探すことにした。晴れていて、水が濁っていなければ武蔵横手の先の高麗川の河原に降りたかった。

299号に出ず、ニュータウンの方向に行く道を歩いて、ニュータウンの一角に出る坂道を登ってみて、線路が見渡せることを知った。さらに散策路のような枝分かれする道を行くと、もっと線路を正面から見ることができる。さきほどの踏切にいて299号側に姿を消さなかったひとたちがみなそこからねらっているのを知った。なるほどな……。

しかし私はへそ曲がりで、そばに撮影者がたくさんいるだけで撮影をやめて帰りたくなるのだ。正面から見下ろすと私には架線がうるさく感じられたので、編成をぜんぶ入れることはすぱっとあきらめて、やや側面から見下ろした。

私は俯瞰撮影というものをほとんどしないのだ。列車が米粒のように小さく、家々が立て込んでいて「どこに列車がいるのかわからない俯瞰写真」が好きではないし、よほど晴れた日か空気が澄んでいないと俯瞰撮影をするよさがわからない。

あれ……カナヘイ号が15日まで池袋線を走るのは知らなかった

保育社カラーブックスに似たアングルの写真があった

今日は雨でやや霞んでいても、見下ろす高さが低いことと、霞んでいるのも悪くないし、緑を背に黄色い列車がめだつので、非常にめずらしく俯瞰で撮ってみたというわけだ。山のなかを走るところを撮ってみたかったし。「西武秩父線」ではないけれど、山のなかを走る西武電車はなかなかいいな……と思ったのが今日の収穫だ。そしてもちろん、こういう列車を走らせてくれた西武鉄道の関係者のみなさん、あるいは撮影地でご一緒したみなさんに心から感謝したい。どうもありがとうございました。

【以下は2009年10月4日のようす】

西武秩父駅に留置されたE31の3重連

この頃もすでにツートンカラーは「ひさしぶりに見る存在」だった

トレインフェスティバル終了後に通過した列車より

そう……ちょうど2009年10月4日に横瀬で行われた西武トレインフェスタ2009は開業40周年を記念して、西武秩父駅も利用してE31の展示が行われたり、横瀬と西武秩父のあいだを新101系271編成が走ったので、そのようすをよろこび勇んで撮りに行ったのだった。繰り返しになるけれど、あれから10年経ったとは。時の流れの早さにおどろかされる。それにしても、あのときはまさか10年後にも新101系電車を撮影できるとは想像しなかった。あ、もちろんありがたいのですよ。

運用入り翌日の秩鉄1007編成チョコバナナに西武秩父駅で遭遇した

そうそう。横瀬の閉場後に西武秩父駅に行ったら、そばを秩父鉄道1000系1007編成チョコバナナが流してきたんだぜ、あの日。西武秩父駅にいたヲタのみんなが私もふくめてあわてていたけれど、秩鉄の運用さんはぜったいにねらったと思うんだ。その伝統はきちんといまでも生きているようで、今年の11月2日に三峰口で行われる「ちちてつサンクスフェスタ2019」だって、いろいろと気になる文言があるもの。さすが、秩鉄!

【撮影データ】
Nikon D7200/AI AF Micro-Nikkor 60mm f/2.8D, AI AF Zoom-Nikkor 80-200mm f/2.8D ED <NEW>/RAW/Adobe Photoshop CC 2019