2019年10月31日木曜日

【チラシの裏】写真術は科学なのだ


■「一眼レフ世代」だから
年から今年にかけて、ニコンZシリーズ、キヤノンEOS Rシリーズ、そしてパナソニックのLUMIX SシリーズとLマウントアライアンスのシグマfpの登場により、ソニーα7シリーズの独壇場だった「35ミリフルサイズフォーマット」のレンズ交換式ノンレフレックスカメラ(いわゆる、ミラーレスカメラ。以下、ミラーレスと略)の選択肢が大幅に増えた。先行したソニー以外はいずれもまだ比較的高価な製品が多いが、これも35ミリフルサイズでも普及価格帯の機種が早晩増えていくはずだ。日本国内ではすでに2018年の段階で、レンズ交換式ミラーレス機(APSサイズフォーマットやマイクロフォーサーズなどもふくめて)の出荷台数が一眼レフより多くなっているのだそうだ


筆者じしんも、EVF(電子ビューファインダー)を持つミラーレス機の便利さを日々体感していて、ミラーレス機はすでに欠かすことができない存在になりつつある。じっさい、筆者の業務の写真はハイエンド一眼レフである必要がないものばかりで、ミラーレス機で十二分に足りる。望遠レンズを装着して動く被写体をAF追従させながら追い写しや流し撮りをするような、見やすい光学ファインダー(OVF)を備えたミドルクラスからハイエンド一眼レフのほうが得意な撮影というのは、筆者自身の業務ではほとんど存在しないからだ。そういう撮影はなにかの作例の撮影ではないならば、趣味の写真撮影だけかもしれない。なにしろ、業務の撮影では一眼レフを用いても三脚を立ててライブビューで撮ることが多いし。

ミラーレス機でもたいていはうまく撮る自信が私はあるし、慣れるまでに時間がかかることもあっても、じっさいにほとんどの場合にきちんと思い描くような絵柄にできるもの。

そうなのですけれど、それでも一眼レフを持ち出して撮影するのが好きなのは、きっと私が「一眼レフ世代」だからなのだろうなあ。思春期のころに一眼レフ全盛時代を過ごしているので、たんに慣れているから、というだけだよね、おそらくは。


■適材適所という言葉を日々痛感するわけ
先日来より、友人から借用しているソニーα7IIにおもにソビエト製レンズをつけてあれこれと撮っていて、これは日々色々な発見を私にもたらしてくれている。じつにおもしろいのだ。ところが、借り物のカメラであるせいか、古いレンズゆえのさまざまな制約があるせいか、はたまたAPS-Cサイズフォーマットとマイクロフォーサーズフォーマットにすっかり慣れてしまったからか。おそらく、そのすべてのせいでひさしぶりの35ミリフルサイズフォーマットでの撮影に戸惑うことがある。

つまり……言いたくないけれど、じつにはずかしいことだけど……思ったようにうまく撮れないことがまだあるのね。ソニー純正レンズとかCARL ZEISSの最新レンズを使っていたらそんなことは少ないはずで、基礎が戦前に設計されたマニュアルフォーカスのレンズを使っているからなのだろう。光線状態や構図、絞り値や被写界深度にかんして、いいかげんに写すとじつにいいかげんに写ってしまう。逆光とか、画面端とかな、節子それちゃう……。

これは自分にとって乗り越えるべき壁だと思えば闘志もわく……のですけれど、けっこうストレスフルだ。つまりですね……「どんなカメラでも自分の思い描く絵柄に写す自信がある」とちょっと前に書いたくせに「ちっくしょー! 自前のあの機材だったらいま確実に撮れたのに!」と思わせることがまだあるから。



世の中にいろいろな機材があるのは、用途に応じて使いわけると便利ですよ、という意味なのかもしれず。そして、写真術もまた科学のひとつだと筆者は思う。状況が同じならば再現が可能であるという意味だ。つまりですね……その機材の描写の傾向を冷静に探りつつ、それを確実に再現できるように訓練を重ねていくべしということ。やみくもにたんに撮るだけではだめだ。どういう状況でどういう設定で撮ったのかを、撮影後につねにきちんと反芻していく必要がある。

簡単に言うと、注意深くたくさん撮り、そのつど反省点も洗い出していかないと写真はうまくならない、ということ。撮りっぱなしではだめだ。

ええ、そんなわけでカメラを二台持ち歩くことにしたよ、今日から。使うべきカメラと使い慣れているD7200とAFニッコールレンズの二台体制にする。こうすれば「いま撮れるはずだったあ!」というくやしい思いも減らせることがわかった。じっさい、D7200で撮ったほうは思い描いていた絵柄に簡単にできたもの。すでに、4年ほど使っているからね。そのくせ、D7200の光学ファインダーを見ながら指が「拡大ボタン」を探していることがあるので、我ながら笑ってしまう。光学ファインダーでは拡大できないってば、と思わず苦笑しながらファインダーから目を離してライブビューにして、拡大してピント合わせをするわけね。

でも、くやしいな。がんばります。負けるものか。何度も言ったやろ。このカメラのおっちゃんはひつこいんや。しらんけど。

【撮影データ】
Nikon D7200/AI AF Micro-Nikkor 60mm f/2.8D/RAW/Adobe Photoshop CC 2019