■遠くからターボプロップのエンジン始動音が聞こえてきた
航空祭も終わり、冬至が近づくにつれて日照時間がますます短くなっていたある日の夕方のことだ。風が強くて遠くの富士山もよく見えた。この日はRW35側に着陸する飛行機が見えたので、入曽多目的広場に向けて歩くことにした。
とはいえそう気合が入ってもいなかったから、持っていく機材はLUMIX GX7 Mark IIとLUMIX G 42.5mm F1.7 ASPH. POWER O.I.S.とLUMIX G VARIO 45-150mm F4.0-5.6 ASPH. MEGA O.I.Sだけ。リュックに入れて歩き、RW35エンドと富士山が見える場所にたどり着いた。
夜間訓練飛行の日ではあったから、何かあるとは思っていた。だが、とくに何かを期待せずにしばらく待ってみたところ、どうも遠くからターボプロップのエンジン始動音が聞こえた。それも、少しずつ近づいてくる。C-130か、あるいはもしかして……と思っているうちに灰色の機体が離陸していった。YS-11EBだ。
YS-11EBを撮りたいと思っていても、夜間訓練飛行に予告は出ない。だから、この遭遇はチャンスだ。そう思い離陸したYS-11EBが戻ってくるのを待った。
■みるみるうちに空が暮れていく
風が強くじっと立っていると足元から冷える。だから足踏みをし、露出のチェックを何度も行った。太陽がどんどん沈んでいく。GX7 Mark IIはそう高感度耐性があるわけではないし、LUMIX G VARIO 45-150mm F4.0-5.6 ASPH. MEGA O.I.Sを絞り開放で使ってもF5.6だから、あまり暗くならないでほしい(自分勝手)。
AdobeのAIノイズ除去を使うことを前提で感度を上げ、同時に流し撮りにすることを考えた。そうやって空が暗くなるのをやきもきしながら待っていたら……YS-11EBが戻ってきた。富士山の周りを黒い雲が覆い始めたものの、まだ山の形が見える。やったぜ。
■EC-1も姿を現した
YS-11EBがもう一周してくるのを待ち、富士山を画面に入れてもう一度撮った。私は予備カットもほしくなるような人間だからね。予備カットもなんとか撮ることができたと感激しているまもなく、もっと滑走路に近づいて撮るために撮影場所を移動した。そしていつもの場所でさっそく一枚。
空に明るさがかろうじて残っているから、もう一周待とう。そう思っていたらターボプロップではない大きなジェットエンジンの音が聞こえてきた。予期していなかったEC-1だった。
そして、YS-11EBをもう一度撮った。今日はなんだかすごくついているぞ。
■誘導灯を入れるカットをねらって
さすがに暗くなってきたので、真横から動きを止める撮影は難しい。そこで、多目的運動場の誘導灯をシルエットにして画面に入れる方法で撮ることにして、あらためて撮影場所を移動した。風に揺られながらEC-1が着陸した。
あとは、YS-11EBだ。YSはスピードが遅いので待つあいだにますますあたりが暗くなっていく。じりじりと焦るような気持ちで待っていたら、ようやくYS-11EBが姿を現した。夢中で連続撮影をしてみると、YS-11の灯火がうまく写っているカットを撮影できた。ねらってもなかなかうまく撮れるとは限らないから、ものすごくついている。
そしてあたりは完全に暗くなり、YS-11EBも着陸した。たまにこうして短時間でうまく撮影できてしまうことがあるのは、おもしろく思う。カメラはいつも持ち歩かないといけないな。そう思うから、いつまでも写真をやめられない。
Panasonic LUMIX GX7 Mark II/LUMIX G 42.5mm F1.7 ASPH. POWER O.I.S., LUMIX G VARIO 45-150mm F4.0-5.6 ASPH. MEGA O.I.S/RAW/Adobe Photoshop CC 2024, AIノイズ除去