2026年8月13日木曜日

【秩父鉄道2026年夏】夕闇迫る武甲山ふもとの駅でデキ303返空列車を待ち構えた話

 

■日没後に武甲山ふもとの駅へやってきた
勾配の下の駅でデキ105牽引返空列車を撮ったあとは、いったん上り方向へ移動した。デキ303牽引の返空列車はいまの時期では勾配の下の駅を日没後に通過する。だから、もっと上り方にある、交換待ちで停車する駅でもう少し明るいうちに撮ろうと思っていた。

だが、ひさしぶりに訪れてみたその駅であれこれ構図を考えていても、どうもしっくりこない。草が伸びたり踏切が変わって以前と同じ立ち位置では撮れなくなっていたり。あれこれ考えても決めあぐねているうちに下り急行列車が来たので、あきらめてそれに乗ってしまった。

こうなったら、すでにデキ105がいるはずの武甲山ふもとの駅で待ち構えることにしよう。そう思い、『急行秩父路』の6000系電車(元西武新101系電車)の走りを楽しんだ。

武甲山ふもとの駅には予期したようにデキ105がいた。さきほど、勾配下の駅で見送ったのだから、むしろいないと困る。パンタグラフはもちろん降りている。日が沈んであたりが少しずつ暗くなるなかで、明日の三輪線第一便として待機していた。


そのようすを写したが、そのままでは光が当たらない。周囲にある人工光源に照らされた部分がわずかに明るくなるだけ。それらをうまく使えないかと観察することにした。

■そばを走る列車を補助光にする
すると、この駅の留置線に入庫する電車の入れ替えが始まった。回送列車はすぐ隣の線路を走るわけではないが、いったん下り三峰口方へ行ってから駅構内に戻る。その際に室内灯をつけたままそばを走ってくれると、デキ105をわずかに照らすのがわかった。

さらに前照灯や尾灯がデキの正面を照らし出すことも。これをうまく使えれば、暗部の細部を描く補助光代わりになる。正直にいえば、数年前にこの場所でこう撮れることには気づいていたのだが、三脚を持ってきてきちんと実行できずにいたのだ。数秒間の露光時間が必要だからね。

■すっかり暗くなってから……デキ303もやってきた
デキ303牽引の返空列車がやってきたのは19時半ごろ。夏至ならともかく、8月半ばになるとあたりはすっかり暗くなってしまう。そして前照灯と周囲の輝度差が大きくて、周囲の露出に合わせると前照灯部分は大きく白とびし、前照灯に露出を合わせるとかなり暗い写真になる。しかも私の使う「サステナ機材」こと古いレンズとカメラでは、盛大なデジタルゴーストが生じてしまう。

だから、デキ303が前照灯をこうこうと光らせるようすはあきらめて、デキ105の列車の陰に隠した。

デキ303は停止位置までやってきて前照灯を消した。そして点検のために運転室の明かりを機関士氏が点灯させた。パンタグラフが上がっていて室内灯が点いているいまが、第一のシャッターチャンスだ。黄色い帯が室内の明かりに照らされて見えるから。

そうこうしているうちに、デキ303のパンタグラフを下ろして運転士氏がカンテラであたりを照らし、点検しながら降車していった。周囲はふたたび夜の闇に包まれた。

■乗車するつもりだった列車を補助光に
ここで撮影をやめてもよかった。写真には写っていないが、天気予報ではゲリラ豪雨の接近が報じられていた。武甲山の上で稲光が光るのも見え、そのうち秩父市の中心部のほうの空もぴかぴかと光り始めた。

そこへ上り各駅停車がやってきた。この列車の前照灯にデキたちが照らされるようすはどんなだろう、という興味がわいてしまい、撮影を続けた。


結果はごらんのとおり。上り各駅停車が好ましい補助光になってくれた。この上り各駅停車に乗って帰宅する予定だったのだが、列車を一本見送って正解だったのではないか。

私を置いて、乗るつもりだった各駅停車が羽生方面へ出発していった。

そうこうしているうちに、あたりにはにわかに冷たい強い風が吹き始めた。雨粒も混じる。あわてて機材を片づけて駅に向かった。駅に着いたまさにちょうどそのとき、大粒の雨がまるで滝のように激しく降り始めて、あたりの屋根を激しく鳴らしはじめた。あぶないところだった。今日はいろいろな「タイミングが絶妙」な一日らしい。

【撮影データ】
Nikon Df/AI AF Nikkor 180mm f/2.8D IF-ED/RAW/Adobe Photoshop CC 2025