2010年11月18日木曜日

【東武東上線帰宅途上鉄】8111編成に乗る

写真は別の日に遭遇した8111編成

今年も冬物のコートが必要な時期になった。秋も終わりつつあり冬が顔を覗かせている。枯れ葉をさくさくと踏み鳴らしながら雑木林を歩くのは、こうして秋の終わりだとなんだか楽しい気持ちになる。

今年はなかなか寒くならなかったから横着をしてしまい、ようやく冬物のスーツに袖を通したばかりで油断をしていたら、冬にいつも気に入って着ていたコートが傷んでいるのに気づいた。しかたなく会社帰りに池袋の東武百貨店に行った。

その帰り、ぼんやり一階に降りて東上線ホームに目をやった。東上線に唯一残る8000系原型顔の8111編成がいたりして。ははは、まさかね。

止まっている8000系にはこう数字が打たれていた。

8111

はちいち……11? 

ほらー。ほんとうに原型顔編成だ! こういうときの勘はたいてい当たるんだよ。


さて、読者のみなさん。みなさんはロバート・デニーロとメリル・ストリープが出ている映画『恋に落ちて』を覚えてますか? たいへん陳腐な例えですが、駅のホームを見て私こと、紙袋を抱えたスーツ中年リーマンのきえふにいさんは、8111編成の停まる東上線池袋駅のホームに向かって、あたかも異性との待ち合わせに遅れているかのように衝動的に走り出しまして。

改札を越えたところで鳴り響く発車ベル。各駅停車はプラットホームが一番奥だ。「待ってくれ!」と念じながら最後尾のドアに向かって走る私。私の耳には単靴の踵がコンクリートを打つ音だけが響く……。車掌がドアを閉めようとしている。車掌が私に気づき、ドアを閉めるのを待ってくれたおかげで運よく乗り込むことができた。車内を見回し、大きく肩で息をする私。

ただし待っているのは、お互いに惹かれ合う、でもあくまでプラトニックな関係で「いつもの電車」でしか会えない異性などではなく、無骨で愛想のない顔つきの東武8000系原型顔のクハ8111なところがナンですけど。そんな異性がいまほんとうにいたらブログになんて書かないけど! 

帰り道をどうするかなんて考えもしないで、なんとか乗り込んだところで電車は発車した。衝動的に東上線に乗るなんて珍しい。でもこの車両は絶滅危惧種だ。あんなにたくさんいた8000系電車自体が数をどんどん減らしているうえ、運転室部分の形状を更新しなかった車両は東上線に1編成だけ。春までは2編成いたのに、すでに1編成が残るだけだ。

しかも、来月頭に南栗橋で行われるイベントに東上線からはるばる参加すると予告されているけど、秩父鉄道経由と手間をかけて本線まで運ばれる。それはつまり、廃車回送で南栗橋に行く「ついでに」イベントで展示するつもりなのではないか。どこかの元国有鉄道みたいに片道に客を乗せるほどあこぎではないようだが。西武でこのあいだ高度経済成長時代の花形電車がなくなったばかりなのに、お隣の東武でも事態は同じだ。

成増行きの各駅停車は駅間距離が短いので、少し走っては停まる。商店街と住宅地の合間を縫って走る。外は雨。東上線って、郊外だと昔からどっしりとした路盤のいい線路をすっ飛ばして快調に走る印象があるのだけど、雨に濡れる沿線を見ていると、都内を走る部分はなんともローカルムードがあふれる感じがある。だけど、成増を過ぎると再開発で複々線区間になって趣がかわる。

乗り込んだクハ8111の車内を見渡す。寄る年波は隠せない感じであちこち傷んでいる。あれ、ドア内側はステンレス無塗装ではなくクリーム色なんだっけ。

実はカメラを持っていない日に乗り合わせた。カメラはやはり常に持ち歩きたいと痛感する。この間写真家の大西みつぐさんがD7000にAi-Pニッコール45ミリシルバーを着けて持っているのを見て、小さい一眼レフに小さいレンズをつけるよさを改めて感じた。(彼は鉄道とはまったく関係ないけど、ニッコールクラブ顧問なんてニコン重鎮だし、写真家としてキャリアも豊富なのに、あくまでも身軽で気さくなカメラ好きな面がある素敵な人です)コンデジやマイクロフォーサーズのコントラストAFのモタモタ感はどうしても嫌だし画質もたいてい好きになれない。カメラはなかなか買えないからレンズを工夫してみるかな………。

そんなことを考えているうちに電車は成増に到着。そそくさと引き上げ線に行く姿を見送る。また会えたらいいね……。それにしても19時台で帰宅ラッシュも終わらない時間に、池袋~成増間で見た8000系はこの編成を含めて3本。西武池袋線はその時間に新101系は最大2本しか走らないから、それよりはまだ活躍しているかもしれないけれど……お別れはもう近いのだ。

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