2016年11月1日火曜日

【カメラ関連記事】35mm判換算「28mm相当レンズ」のこと


■みんな28mmが好きだよな
35mm判換算28mmというのは、いまとなってはめずらしくもない焦点距離だ。だが、むかしから「広角レンズの代表的な焦点距離」とされている。デジタルカメラのキットレンズの標準ズームは広角端にも28mm相当になるものが多い。

むかしのベテランであれば、50mm標準レンズのつぎに入手するのは広角レンズならば28mmだったろう。ズームレンズが主流になった1990年代にも、50mmレンズと28mmレンズは単焦点レンズでも用意されていることが多かったのは、根強い人気があるからなのだろう。そのためか、いまでも各社には28mm相当になるレンズが各種用意されている。

28mmの焦点距離はうまく使うと広角レンズらしい遠近感の強調をえることができ、けれどくせの強さをそう感じさせない。というところに人気の秘訣があるのではないか。じっさい、28mmより広くなると上手な使いこなしはむずかしくなるように思える。画面の四隅をよく観察しないと、意図しないものを画面内に写し込んでしまうからだ。

■最近まで私は28mmをうまく使えなかった
筆者もむかしから28mmレンズを持っていて、なにかと手元に集めてしまったくせに……正直にいうとここ最近までうまく使えなかった。いやその、いまだって「28mmならまかせろ!」というような自信はそうない。昔よりゃあうまく使えるけどさ。



広角レンズのおもしろさとは、たんに広い範囲が写ることではない……などということは、ここに来てくださるお仲間のみなさんには、釈迦に説法だろう。たとえば、広いところを広く写すというのは、あまりおもしろく仕上がらない。むしろ、被写体にぐっと近接してよけいなものを排除していった結果、遠近感も強調されていてシンプルに画面構成ができているほうがおもしろいように思える。




■好きなレンズはいくつかあるけれど
自分で使ったことのある28mm相当レンズのうち好きなものは、35mmフルサイズであればむかしのAI Nikkor 28mm f/2.8S(現行表記。むかしの言い方だとAI Nikkor 28mm F2.8S)。最短撮影距離は0.2mと近接でき、直線のゆがみがない。ソビエト製レンズだとORION-15 6/28。小さいこととなかなか解像感が高いこと、こちらもゆがまないこと、周辺光量がぐっと落ちることもいい。もっとも、いまやこの2本は35mmフルサイズボディを所有していないので、ながらく使えないでいる。それに、35mmフルサイズボディを使うならAF-S NIKKOR 28mm f/1.8Gに興味がある。だからこの2本は私にはもはや思い出の品というにすぎないな。

【2024年3月追記】
2019年秋にNikon Dfボディを使い始めてから、AI Nikkor 28mm f/2.8Sは趣味の写真、あるいは業務以外の写真では現役復帰させた。むしろ、いまとなってはAI Nikkor 35mm f/1.4SやAI Nikkor 20mm f/2.8S、あるいはAIAF Nikkor 24mm f/2.8Dよりも使用頻度が高い。ゆがみが少なく20cmまで近接でき、外形寸法もAI Nikkor 50mm f/1.4Sとほぼ同程度であるところもいい。

Orion-15 6/28はソニーα7IIに装着すると小ぶりで楽しいが、画面周囲の色づきと流れが気になるのでほとんど使っていない。ソニー以外の35mmフルサイズミラーレスボディを入手したら使いたい。

1 NIKKOR 10mm f/2.8はNikon 1 V1のころは「薄型レンズキット」として売られていた。解像感はそう高いわけではなく、手ぶれ補正機構(VR)も備えていないので、もしかしたらズームレンズの1 NIKKOR VR 10-30mm f/3.5-5.6 PD-ZOOMのほうが扱いやすいかもしれない。あえて10mmを所有しているのは、非純正のスリットフードをつけた姿が好きだという理由だ。そのくせ、筆者は1 NIKKORレンズは50mm相当になる18.5mmばかりを使ってしまうので、あまり出番がない。

LUMIX G 14mm/F2.5 ASPH.もボディに装着するとその小ぶりさが楽しい。GX7シリーズやGX8といったフラットボディだけではなく、LUMIX GシリーズやGHシリーズ、OM-Dシリーズにも似合う。なかなかよく写るなあと感心させられる。II型のシルバーをブラックボディに装着するのも楽しそう。GX7 Mark IIに装着して楽しんでいる。

28mm相当といえばSIGMA dp1 Quattroもすさまじい解像感と独特の階調再現が楽しい。19mm F2.8 DNもきっといいのだろうけれど、Foveonセンサーで使うとそのよさが生きるはず。

■元気いっぱいではないと広角レンズは使いこなせないかもね
28mmに限らず広角レンズは自分の足で被写体に近づいていって画面内をよく見ながら整理しないと、おもしろく使いこなせないというのが私の得た結論だ。漫然と広い範囲を写し込むのはちっともおもしろく仕上がらない。

だから、元気いっぱいではないと被写体にぐっと近接できず、効果的に用いるのはむずかしいと考えると、筆者はもっと元気を出さないと。いやその、ちと風邪が……などといっていてはいけませんな。体調管理も仕事なのだ。

【追記】そういえば、東独Pentacon SixマウントのMC Flektogon 4/50というレンズもあった。あれもゆがみの少ないいいレンズだった。絞り機構が壊れやすいところ、そして、6×6で使えるボディはほぼ壊滅したところが残念。あ、中判の広角レンズなので解像感が高いわけではないので、35mm判で使ってあまりいいとは思えない。

【撮影データ】
Panasonic LUMIX DMC-GX8/LUMIX G 14mm/F2.5 ASPH./RAW+JPEG(作例1から4。うち1はフィルター効果:トイフォト、4はフィルター効果:レトロ。ほかはフォトスタイル:ヴィヴィッド)
SIGMA dp1 Quattro/WB:日陰(A:10、M:10)/サンセットレッド/RAW+JPEG(作例5)