2017年5月16日火曜日

【秩父鉄道PETIT撮影記事】たそがれどきの坂の下の駅


■ジョイント音と虫の声を聞きながらレリーズ
虫とカエルの合唱に耳を傾けていると、遠くから線路の継ぎ目が鳴る音が響き始める。そうして、三脚を立てているとはいえ望遠レンズを左手で押さえてから、そっとレリーズをする。列車がゆっくりと坂を下りてくるようす、あるいは駅に止まるようすをねらう。

■三脚のテストをしに行った
マンフロット三脚の修理が完了したので、そのテストを兼ねてひさしぶりに線路ぎわで長秒時撮影を試みた。さいわいほぼ無風だったので、望遠レンズを使っていても大丈夫だった。もちろん、ミラーアップをして3秒の露出ディレーを設定している。指先でふつうにレリーズしたカットはぶれが多かった。



■まだだ……まだ終わらんよ
じつにひさしぶりに列車を長秒時撮影でねらったので、あまり深く考えずになんども通ったこの場所に来て過去の自分の写真を忠実になぞってみたけれど、うーん……絵柄が同じすぎる。この場所もシチュエーションもよいのだ。

けれど、その撮影方法が過去の自分の写真と同じすぎだ。D7200で撮ったのははじめてで、D2Xよりもずっと高感度の絵も気に入ったとはいえ。さすがに、自分の写真の絵柄に飽きたよ。場所と撮り方のバリエーションを増やさなくちゃいけないなあ、強く思う。

■茨城のり子の詩を思い出して反省会
家に帰って茨木のり子の詩『自分の感受性くらい*』を思い出して、あらためて反省することしきり。「水やり」を怠ったのは私じしんの怠慢さだよな、と。

茨木のり子の詩『自分の感受性くらい*』:

ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて

気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか

苛立つのを
近親のせいにするな
なにもかも下手だったのはわたくし

初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志にすぎなかった

駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄

自分の感受性ぐらい
自分で守れ
ばかものよ

詩集「自分の感受性ぐらい」(1977)

【撮影データ】
Nikon D7200/AI AF Nikkor 300mm F4 ED, AI AF Zoom-Nikkor 80-200mm f/2.8D ED <NEW>/RAW/Adobe Photoshop CC(RAW現像)