2017年9月18日月曜日

【秩父鉄道SLパレオエクスプレス撮影記事】『SL運行30周年記念号』を撮る


「野分」が秋の季語であるように、秋雨と台風は9月につきものだ。何度か大雨を繰り返しては気温が徐々に下がり、気がつくと晴れた日でも日中の気温が下がるように感じられると、本格的な秋の訪れを体感させるのだから。そんな、九州に台風が上陸したと伝えられて東日本でも大雨予想が出いていた日に、我らが秩父鉄道SLパレオエクスプレス『SL運行30周年記念号』が走った。もしや大雨で運休もありえるのではないかと危惧しながら、私は線路際で待った。

とはいえ、正直にいうと雨を待ち望んでいたと認めざるをえない。白い空が広がる曇りの日は絵になりにくいし、ある程度の雨量であれば気温が下がるだろうから。もちろん、土砂崩れや水害などは困るのだけれど。そうして傘を差し、機材を濡らさないようにしながら待ち構えていると……遠くの山々にこだまする汽笛が聞こえて、SLパレオエクスプレス5001列車がやってきた。やっほー、いい感じだぞ!



もちろん、5001列車は寄居で後続の1521列車に、秩父で1523列車に追い抜かれるので、それを利用して電車で追いかけた。そのつもりで撮影地を考えたくらいだから。秩父駅ではホームに列車が停まる直前に後続列車の車内から「オレンジ色の和服を着た短髪の男性」が12系客車のそばに立つのを見かけた。周囲の乗客のみなさんがおそらく同じことを考えたようで、にわかにざわめいたのがおかしかった。私も隣に立っていた乗客と目を合わせて「ですよね!」とうなづいたほど(意外とミーハー)。どうやらそのとき記念写真に応じていたらしいその短髪の男性は、おそらくかの師匠にちがいない。早々に切符が売り切れていた『SL運行30周年記念号』は、乗客として乗ってみるのもきっと楽しかったはずだ。

かくいう私は影森以遠では思い描いていた安谷川橋梁を越えた先の勾配区間のだいぶ手前に先客がいて、意図しないアングルを選ぶことになったけれど、それもまあいいや。



雨脚はそうひどくはならなかったとはいえ、降り止むことはない。まだ9月中旬の雨はそう寒くはないが、ずっと濡れていると気力を消耗する。そうなると不注意が怖いので、5002列車は雨宿りができるいつもの駅近くでねらった。煙が出ないことは承知のうえだ。というのは、この場所の線路際のススキが好きなのだ。

そして、5002列車もまた後続の1542列車で追いかけた(平日ならさらに1544列車でも追いかけることができる)。つい車内でうとうとしながら、自分に活を入れて目を覚まし、降り立った駅近くでカメラを構えた。そうしてやってきた5002列車をとらえることができて、思わずガッツポーズをした。すると、機関助士や乗客のみなさんと目が合ったので、はずかしさをごまかすためにもみんなに手を振った。おかげさまで、今日もなんとか撮れたよ! みんなありがとう! という気持ちだ。


それにしても、1988年春に運行を開始して来年で30年……。それにしてもあのころは、まさか、30年もSLパレオエクスプレスが秩父路を走り続けるとは思ってもいなかった。それは、SLパレオエクスプレスはたんなる「鉄道ファンむけの存在*」ではなく、気軽に乗って走る姿を楽しんで、という秩父の観光資源の重要な存在になることができたから、といえるのではないか。もちろん、走らせる側の苦労は並大抵のものではないだろう。秩父鉄道をはじめとする関係各位のみなさんにはほんとうにありがとうございます、という感謝の気持ちでいっぱいだ。

……などときれいにまとめようとしながら、思えば乗ったのは昨年夏以来ごぶさただということを思い出した。いっけね! 車窓から車内のみなさんの楽しそうなようす(車外から手を振ると振り替えしてもらえる確率が秩父はとても高い気がする)を見ると、たまに乗りたくなる。とくに、昼食後に5002列車にのんびり揺られながらアイスクリームでも食べたり、あるいは長瀞や寄居を過ぎたあたりからうたた寝などをするのはおすすめだ。ちょっとした非日常を体験できる客車の旅を楽しみたい。だいたい、12系客車だっていまや貴重な存在なのだ。毎週末に定期的に乗れるSL列車でもあり、12系客車でもあるのだから。「乗ったら撮れない」と考えるのではなく、乗るならべつの写真を撮ればいいのさ。

*鉄道ファンむけの存在:そもそも、私たち鉄道ファンは被写体として「ありがたく撮らせてもらっている」だけだということを忘れないようにしたい。

【撮影データ】
Canon EOS 6D Mark II/EF16-35mm F4L IS USM, EF70-300mm F4-5.6 IS II USM/RAW/Adobe CameraRaw

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