2020年5月25日月曜日

【2015年4月、秩父鉄道撮影記事】Nikon Dfで撮る雨の秩父路 その3


■シダレザクラが好き
2015年4月の秩父鉄道撮影記事の続きだ。今日はこれらの写真を見ながら考えた写真撮影のヒントについて書こうと思う。このときは毎週末いずれも冴えない空模様だったと書いているけれど、列車を情緒的に撮るなら晴れているかいっそのこと雨のほうが絵になる。ただし、記録的に車両の形式写真を撮るなら曇りが向く。いっぽう、花の撮影をおもに行いたいならば、しっとりした雰囲気に写せるのは曇りの日だ。陰影が濃く出ないからね。そして、私はソメイヨシノよりもシダレザクラのほうが好き。このシダレザクラも明るい曇りのほうが絵にしやすいと思う。

■露出はプラス補正
さて、ソメイヨシノもシダレザクラもといったサクラの撮影時の露出のコントロールには要注意だ。カメラや構図にもよるけれど、白や黄色などの明るい色の花は反射率が高いのでAE(自動露出)ではしばしば露出アンダーめに写ることが多いと思われるので、プラスの露出補正をしたほうがいい。花はたいていはハイキーに写すことが多いだろうから、+0.7から+1.0EVくらいの補正をかけたほうが明るく写る。マイナス補正でローキーに撮る花もかっこいいけど、それはそれ。


■部分的に切り取って大きくぼかす
サクラやウメ、スモモの仲間の花はみな花が小さく枝が太くて黒いので、私にはきれいに写しづらい。全体像を写してもその雰囲気のよさが描きにくいように思えるのだ。そこで、満開でたくさん咲いているのではなかったら、花は部分的に切り取るほうがいい。ぼかしにくいスマホでは情緒が描きづらいかも。きれいに花が残っていてたくさん咲いている部分だけどをねらおう。大切なのは黒っぽくて目立ってしまう太い枝を画面にできるだけ入れないことだ。

そこで私が用いるのは、望遠レンズで部分的に切り取り、絞りを開けてピントは1点だけにして思い切り大きなぼけを入れて写す方法だ。とくに前ぼけは花の形がわからないくらいにぼかすほうがいい。それも、逆光か半逆光でねらいたい。曇りの日はさいわいどの方向から撮っても逆光になる。




■マゼンタに補正しよう
もうひとつ、ソメイヨシノやシダレザクラなどのピンク色でも白っぽい花を写すときにはホワイトバランスにも注意したい。「サクラを撮ったけど白っぽく写っちゃう」という声をしばしば聞く。肉眼で見るよりも、あるいは我々がこうあってほしいと思うよりも、サクラの花びらは白いのだ。前述の花自体が小さいうえに枝が太く黒っぽく太いこともあるだろう。

そこで、花をわずかにピンク色に見せたいならば、ホワイトバランスをマゼンタ方向に補正してほしい。ポジフィルムで撮っていたころは自然風景のカメラマンたちはゼラチンフィルターでマゼンタを加えて撮っていた。いまのデジタルカメラならばホワイトバランスと「オート」や「晴天」「晴れ」などからマゼンタ方向の補正をするほうが簡単だ。RAWで撮って現像時にホワイトバランスでマゼンタを増やす方向に補正するのでもいい。曇りの日の夕方にソメイヨシノを撮るなら「WB蛍光灯」を使うのもありだ。


さらに、いつもいつもしつこく書いているように、白い空は画面に写さないほうがいい。画面に入れていいことがひとつもないかも。情報が何一つなく写真の主役ではないのにめだってしまうから。 そう思うと曇りの日は広角レンズは私には使い難い。35ミリフルサイズだとしばしば300ミリばかりで撮ることが多い。それで一日が終わるとぐったりしているかも。いかんですね。少しはお役に立てるだろうか。花に限らないけれど、被写体を目にしたら感激するだけではなく、気持ちを落ち着けてよく観察するのが大切なのだろう。

こうして5年前の写真を振り返ってみると……そういいながらもよく見えていないことがめにつく。いまならばもっとあれをああするなあ! というところがたくさんある。よかった、少しは進歩しているな、自分。いやいや、精進します。

【撮影データ】
Nikon Df/AF-S NIKKOR 24-120mm f/4G ED VR, AF-S NIKKOR 70-200mm f/4G ED VR, AI AF Nikkor 300mm F4S ED(IF)/RAW/Adobe Photoshop CC 2020