2020年5月24日日曜日

【2015年4月、秩父鉄道撮影記事】Nikon Dfで撮る雨の秩父路 その1


■もうすぐ出かけられるようになるのかな
い写真を見返したり、自宅内や周辺の写真を撮っていると、このところ毎回のように書いている。地方私鉄を撮るのにNikon Dfでどんな写真を撮っていたのだっけ……などと考えているから。そうしたなかで2015年4月にNikon Dfで撮った秩父鉄道の写真を見つけた。このときは借りた機材でその成果は拙著Kindle電子書籍『ぼろフォト解決シリーズ060 Nikon Df 脱・初心者マニュアル』『ぼろフォト解決シリーズ037 Nikon Dfで上毛電気鉄道を撮る! しみじみ鉄道写真家・秋山薫編』に収めた。どちらも月額読み放題制のkindle unlimited対応だ。もしよろしければ、ご一読いただけたらうれしい。

今回はそこに収めなかった写真をもとにエントリーを書く。あの年の4月は、春先のサクラが咲くころにはよくあるのだけど、週末ごとに天気が悪かった。上記の本の撮影のために秩父鉄道SLパレオエクスプレスを撮ろうと思ってでかけても、曇りか雨。蒸気機関車の煙は写るけどね。

■ページ構成を考えて撮影地を決めた
このときのおもな目的はもちろんSLパレオエクスプレスで、まず下り三峰口行き5001列車を確実に煙が出る場所で押さえた。そのうえで、午後の上り熊谷行き5002列車をどこで撮るか考えて、この駅にしたはず。というのは、横位置撮影ではないと見開きにできないので私たちが作っている本には使いにくい。それなのに下り列車は縦位置撮影をしたからだ。

そうして待ち望んだ列車を撮るのに、煙のことばかり考えすぎて画面下がやや窮屈になったあたりが、あいかわらずドジなのだけど。



■Nikkor-S Auto 55mm F1.2を持ってきた
Nikon Dfはボディ側の絞り連動レバーが可倒式になっているので、非AIニッコールレンズでも装着して露出計を連動させて撮影可能な、唯一のニコン製デジタル一眼レフだ。絞り優先AEも使用できる。私自身は非AIニッコールレンズは2本しか所有していない。

私が所有している非AIニッコールレンズのうち、Dfで使用できるのはNikkor-S Auto 55mm F1.2だけだ。偶然だけれど、ニコンイメージングジャパンの公開したイメージ写真にもあるのとおなじように、シングルコーティングで刻印が"Nippon Kogaku"とある初期モデルで、非AIボディ用絞り連動爪が三角形のものだ。Df以外のボディの装着すると、とくにAIレンズ用の絞り連動レバーを持つボディでは、そのレバーを壊してしまう。しかも、それ以前はAPS-CサイズのニコンDXフォーマットボディしか所有していなかったから、このNikkor-S Auto 55mm F1.2がデジタルカメラでどう写るのかを自分で確かめたことがなかった。

興味はあったけれど……古いレンズの描写を自分の写真にはなかなか有効にいかしにくいという思いもあって、積極的に試そうとそれまで思わなかったのだろう。それと、古いレンズだから高速連写を多用すると絞りに負荷を与えそうだ。

ねらった列車が去ってから試してみた。Nikon Dfボディとの大きさやバランスはよく合う。写りは絞ってしまうのは意味がないので絞り開放で撮った。それが以下の写真だ。





■それはそれでイイんじゃない
絞り開放でフレアっぽくパープルフリンジが出る。そのときは正直いうと「まあこんなものかもしれないなあ」と思い、数回装着しただけでやめてしまった。いまこうして見ると、これはこれで悪くはない。状況や被写体を選んで、クラシックな描写にしたいという意図がきちんとあるならいいのだろう。光源をできるだけ画面内に入れないとか、注意事項はたくさんある。おおむかしのピチカート・ファイヴの歌詞*を引用すれば「それはそれでイイんじゃない」というところ。

もっとも、最近はもうすこし現代的な写りをするAI Nikkor 85mm F1.4SやAI Nikkor 50mm F1.8Sが気に入っているので、これらとDfでふらりと出かけて撮ってみたい。現行製品であるAI Nikkor 50mm f/1.2Sにも興味がある。いずれにせよ、最新設計のZシリーズほどには絞り開放時や周辺部の画質がかなわないレンズ(微妙な言い方)でどう写せるか知っておきたいのだ。

ちがうな……いちばんやりたいのは「Dfと数本の単焦点レンズだけを持ってふらりと遠出」したいんだ。そういう、なんだか緊張感のなさそうに見える「徒然草」ふうに撮るような撮影をしたいんだよね。

*『エアプレイン』作詞・作曲 小西康陽

【撮影データ】
Nikon Df/AI AF Nikkor 300mm F4S ED(IF), Nikkor-S Auto 55mm F1.2/RAW/Adobe Photoshop CC 2020