■遠雷を見ながら
9月の台風シーズンのころに、上信電鉄の佐野橋のあたりを歩いていた。黒い雲がいちめんに見える。烏川は増水していてごうごうと音を立てて流れていて少しおそろしい。遠くの山のほうには稲光も見えた。
ときどき私は、自分は「鉄道を撮っている」というよりも、「鉄道を被写体として借りている」気持ちになる。そこを走る列車や、鉄道沿線を写実的に記録したいという思いもあれば、あくまでも列車や沿線風景を題材として、そこに写実性ではないなにかを描きたいという思いの両者があるからだ。
ときどき私は、自分は「鉄道を撮っている」というよりも、「鉄道を被写体として借りている」気持ちになる。そこを走る列車や、鉄道沿線を写実的に記録したいという思いもあれば、あくまでも列車や沿線風景を題材として、そこに写実性ではないなにかを描きたいという思いの両者があるからだ。