2020年10月17日土曜日

【カメラ機材の話】Sony α7IIに装着する「悪魔のリング」を増やしてM42レンズとニッコールレンズも使えるようにした話

RAYQUALのマウントアダプター

■どうしたんだろ。おかしいね……涙が止まりませんよ
 
昨年の秋からSony α7IIを借りている。当初はソビエト製レンズを装着するつもりでいた。ソビエト製レンズ「だけ」を装着するつもりだったというべきか。それが1年経って気づいたらニッコールレンズも装着できるようになっていた。

勝手にそうなるわけではないので、私がもちろんそうしたわけだ。 具体的にいうと、さいしょにまずコシナVoigtländer VM-E Close Focus Adapterを入手して、家のジャンク箱にあったLeica L-Mリングを介してLeica L(M39)スクリューマウントレンズで使っていた。それがいつのまにかM42-Leica MとNikon F-Leica Mのアダプターリングが増えている。

M42マウントレンズはソビエト製のものしか所有してはいないものの、世の中には世界各国で製造されたレンズがあまた存在する。そして、ニッコールレンズもα7IIで使えるようにしてしまうとは。便利なα7シリーズが欠かせなくなってしまうようになりかねない。恐ろしい。どうしたんだろ。おかしいね……涙が止まりませんよ。 

M42マウントのジュピター・オプティックス(ヴァルダイ)製
MC HELIOS-44M-6(МС ГЕЛИОС-44М-6)


■Voigtländer VM-E Close Focus Adapterを使いたい
説得力のないいいわけをすると、ミラーレスカメラの専用設計ではないレンズの最短撮影距離はいずれも長い。とくに、距離計連動式カメラ用交換レンズでは、Leica Mマウントレンズでも最短撮影距離は通常は70cm、Leica L(M39)スクリューマウントレンズでは1mだ。また、一眼レフ用交換レンズでもマクロレンズではない限りミラーレス専用レンズに比べるとやや長い。

そこで、ヘリコイド式マウントアダプターを使うことで最短撮影距離を短くするわけだ。接写リングを用いてもいいけれど、この方法のよさは荷物が増えないところ。本格的な近接撮影がしたいわけではない。なぜなら、それならばマイクロニッコールを使えばいい。「もうちょっとだけ被写体に近寄りたい」ことが多いので、その対処方法がこれ。

そうして、Voigtländer VM-E Close Focus Adapterを使うためにM42-Leica MとNikon F-Leica Mのアダプターも増えていったというわけ。なんといっても、近接撮影時には光学ファインダーよりも電子ビューファインダーのほうがだんぜん便利だ。そう思うと……あれですよ。正直いうとボディサイズの小さいことよりも、電子ビューファインダーであることと、Voigtländer VM-E Close Focus Adapterという商品があるからSony α7IIを使う気持ちになった。

マウントを変換するだけではなく機能を追加するマウントアダプターは私には「悪魔のリング」みたいなものですな。くわばらくわばら。なにかを召喚してその引き換えに魂を奪っていくのかもしれないな。

A-M切り替えのないレンズでも絞り連動ピンは押される

■Leica MならばLeica LバヨネットやNikon Zでも……うっしっし
とはいえ、アダプターはアダプターにすぎない。つまり、あとづけの接続機具でしかない。したがって、スマートさには欠ける。さらにいうと動作部分や接続部分の公差が大きいものを重ねていくとそれに比例して使用感は悪くなる。

つまり、がたつきはわずかには必要とはいえ、それが大きいものが重なると使いにくくなる。だからマウントアダプターを複数使用することは、本来ならば望ましくはないだろう。 さらに、内部反射防止対策がうまくなされていないマウントアダプターを使うと、乱反射(フレア)を起こす可能性もある。

そこで、Voigtländer VM-E Close Focus Adapterに取りつけるアダプターは反射防止対策が入念にされている宮本製作所のRAYQUALマウントアダプターを選んだ。それなりの価格はするが、きちんとしているところがいい。マウントアダプターは、いままでのわずかな経験から価格と使い勝手が比例するように私には思えるのだ。安価な製品を用いるならば、DIY精神を発揮して「自力更生」する必要があるというべきだろうか。

なお、こうして一眼レフ用レンズをSony Eマウントアダプターでボディに直接装着するのではなくいちどLeica Mマウントに変換しているのは、そのうちにLeica Mマウントボディを手に入れたいからではない。いまのところは前述のようにVoigtländer VM-E Close Focus Adapterを使いたいから。そして、将来的にはLeica LバヨネットマウントやNikon Zマウントで使う場合にも、それぞれのボディ用のヘリコイドアダプターを用意すれば同じように使うことができるのではないかと思っているから。ははははは。ぬかりはないぜ。

絞り環のあるニッコールレンズでのみ使用可能

■Sony α7IIでMFレンズ使用時の設定
ついでに、といってはあれだが、Sony α7IIでマニュアルフォーカスレンズしか使わない私なりの「ファンクションメニュー」と「カスタムキー」の設定を以下に述べる。いまさらα7IIという感じだけど、ここ数年のSonyの商品展開はモデルチェンジして以前の製品の販売価格が下がっても売り続けることで、幅広い価格帯の商品展開をするところ。だから、α7IIも現行製品だからね。

重量級のレンズには向かないかも

この説明をするまえに述べておくと、α7IIIにはメニューで設定する機能のうち必要なものだけをもっとも浅い階層に設定する「マイメニュー」が設けられたようで、改良を続けているところは評価できる。プロサポートもできて、ユーザーからおそらくは「多数のご意見をちょうだいした」のだろうか。α7IIIはRAW+JPEGでJPEG画質のエクストラファインがようやく設定できるようになったそうで、そういうところもいいね。

それにしても、ボディ内のRAW現像機能をいつまでも設けないのは不思議だ。ついでに、ローガニストむけにヘルプ機能の搭載と文字の大きさの設定変更も可能にしてくださいな。 

この「マイメニュー」がないα7II世代の機種を使うこつは、設計した方にはたいへん申し訳ないけれど、「メニュー機能をできるだけ使わない」ことにつきる。つまり、ファンクションメニューと物理ボタンによるカスタムキーを活用するわけだ。ファンクションメニューはボディ背面にある「Fnボタン」を押すことで、そしてカスタムキーは物理ボタンに機能を登録しておき、それを押すことで必要な設定にアクセスできる機能。

私はα7IIではオートフォーカスレンズを使わないので、頻繁に設定変更を行うのはISO感度とホワイトバランス、そして手ぶれ補正を行うためのレンズ焦点距離の入力だろうか。これらをファンクションメニューに設定した。ISO感度とドライブモードは「コントロールホイール」の左右でも設定できるけどね。 

焦点距離入力もファンクションメニューに入れてしまう

そうすればレンズ交換時にもメニューに入らないですむ

そして、「カスタムボタンC3」は「ピント拡大」だ。これでマニュアルフォーカスでのピント合わせが便利になる。もし、人差し指で設定するほうが便利であればボディ上面でシャッターボタンそばの「カスタムボタンC1」または「C2」に設定してもいいだろう。このあたりはお好みで。少なくとも自分で覚えられる設定にしておこう。シャッターボタン半押しで拡大表示は等倍に戻る。 

♪おぼえていーますーかー。自分で設定したことー

等倍ではこう

5.9倍でもかなり見やすい

11.7倍まで拡大するとすごくよく見える

なお、冒頭の小見出しは『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』(1984年)の有名なセリフだ。ご存じない方はググってくれ……宇宙戦争と男女の三角関係の話だから。というか、アラフィフ以上ではないと通じないよな。そして、少年時代の私はリン・ミンメイ派で早瀬未沙派ではなかった。小学生にはミンメイはじぶんの気持ちに素直に行動をするけれど、未沙は立場を考えて気持ちをかくすところがよく理解できなかったからだ。

それがこうして未沙のセリフを引用する大人になってしまったのだからあれだ。ヤック・デカルチャー(ああ、おそろしい)。