2018年1月18日木曜日

【デジタルカメラ記事】太陽に(イメージセンサーとシャッターユニットを)灼かれて

このあと雲が切れた

■映画『太陽に灼かれて』とタンゴ『疲れた太陽』
 ソビエト時代から活躍していて、いまやロシア映画でも巨匠といっていいほどの存在感のある映画監督ニキータ・ミハルコフ。そのミハルコフの映画『太陽に灼かれて(原題:Утомлённые солнцем)』(1994年)*1はご覧になった方も多いと思う。この映画のタイトルは1930年代から40年代ソビエトで流行していたタンゴの名曲『疲れた太陽(Утомлённое солнце)』(1937年)を文法的に(ロシア語文法でいうところの被動形動詞複数に、英文法でいう受動態に語形変化したもの。動作主は造格)もじったもの。もともとの「疲れた太陽」は日没直前の光の弱まった太陽のことだが、原題を直訳すると『太陽によって疲れさせられた(消耗させられた)人たち』という意味になるこの場合の太陽というのはかの時代の(お察しください)。この曲はノルシュテインのアニメでも使われているのだそうだ(筆者は未見)。

 映画のタイトルのもとにもなったタンゴ『疲れた太陽』は、もとはポーランド・タンゴ『最後の日曜日(To ostatnia niedziela)』という。イェジー・ペテルスブルスキ(Jerzy Petersburski)が1935年に作曲したもので、ポーランドでヒット*2した。ソビエトでもたいへん人気があり、1937年以降にこのメロディにロシア語のまったくことなる歌詞がつけられ、曲名も変えられたものが3種類あるという。『疲れた太陽』はそのうちのひとつだ。ロシア語版Wikipediaを参照しながら書いているけれど、以前はこのことをくわしく日本語で解説してくれている合唱団のブログがあったはず。

2018年1月14日日曜日

【写真術の話】プラグインソフトなしでAdobe Photoshopだけで「フィルム写真らしく」する【実践編】

緑かぶりを与えてみたよ。彩度も落としてやや明るくねむく

■気が利かなくごめんなさい!
先日書いた「プラグインソフトなしでAdobe Photoshopだけで『フィルム写真らしく』する」というエントリーを、たいへんよく読んでいただいていることに筆者はたいへんおどろいた。とてもありがたい。

でももしかして、読んでいただいた方はプラグインソフトを使わないで露出とプリントに失敗したネガフィルムのような「不明瞭な絵柄」にレタッチをする具体的な方法を知りたかったのではないか、ということにおそまきながら気づいた。そう考えていたら思わず変な声が出た。遅いよ俺氏。気が利かなくてごめんなさい。

そこで今回は、私がふだん使う「不明瞭な絵柄」すなわち「ネガフィルムで撮った褪色しかけた写真ふうに仕上げる方法」について、フィルム仕上げふうにするプラグインソフトを使わず、Adobe Photoshop(以下、Photoshop)で仕上げる処理方法を説明したい。

筆者はLightroomではなくPhotoshop使いなので、ようは調整レイヤーとレイヤーマスクで仕上げて行くということだ。Photoshop Elementsでも同様の作業はできるはず。Photoshopを使うのは筆者が慣れているから。嫌になったら調整レイヤーを破棄すればいい。つまり、元画像に手をなるべく加えないということ。Lightroomもカタログファイルにパラメーターを書き込む形式なので、オリジナル画像に手を加えないでは済むが。

なお「調整レイヤー」と「レイヤーマスク」というものがわからないかたは、そこまでのくわしい説明は本記事内ではしないので、AdobeのヘルプページやPhotoshop本、いろいろなWebサイトで調べてほしい。自分で調べるほうが身につきますよ。

2018年1月7日日曜日

【写真術】プラグインソフトなしでAdobe Photoshopだけで「フィルム写真らしく」する


■「高彩度+ハイコントラスト vs ゆるふわ」戦争はいぜん終わらず
写真には大きくわけて絵作りに関して、2つの潮流があるのではないか、ということを最近強く思っている。この潮流はいつからあるかはわからないけれど、自分が写真術というものを意識し始めた、少なくとも1990年代から存在するものだ。いや、写真術が誕生したときからあると考えるべきなのかな。

どういうことかというと、「高彩度+ハイコントラスト」な「あざやかでくっきりはっきり」した絵作りをする流派と、やや彩度を落とし、ハイキーな露出で不明瞭でさえある絵作りをする流派が存在するとでもいおうか。

あくまでも私個人の認識だと、フィルム時代であれば、前者はフジクロームベルビアと偏光フィルターを用いて風景写真を撮るどちらかというと年齢層の高いユーザーに多く、後者はカラーネガフィルムを用いて場合によっては自家製プリントを行い、日常を描くような作家活動をする写真家、あるいは写真学生に多く、どちらかというと若い人たち向けのおしゃれな広告写真にもこういう仕上がりがなされているように思える。当時、これらカラーネガを使う写真はたしか80年代のアメリカの写真家の「ニューカラー」というムーブメントの影響だと言われていたように思う。ここでは、いささか乱暴であることは承知のうえで、これらを「明瞭な絵柄」と「不明瞭な絵柄」という二分をしてみたい。

その後2000年ごろに流行ったトイカメラブームでも、どちらかというと若い人たちに「よく写らない絵柄」つまり「不明瞭な絵」が好まれたはずだ。HOLGAやダイアナカメラ、あるいはLOMO LC-Aを用いたこれらはおそらく、日進月歩で絵作りも改良されていったスマートフォンのカメラやデジタルカメラがどんどん「明瞭な絵柄」を吐き出す道具になっていったことのアンチテーゼなのだろう。

映像機器ができるだけ手軽に「明瞭な絵柄」を生み出せるようになるのは道具の進歩としてはもちろん正しい進化なのだ。けれど、よく写りすぎることがあると思わせるのは私でも理解できる。

2018年1月6日土曜日

【東武鬼怒川線撮影記事】6050系2パン車にしびれた日


■「受動的東武ファン」ですみません
趣味活動において「積極的」「消極的」、あるいは「能動的」「受動的」などという言い方はおかしいとは思う。それでも、あえて用いるのは自分自身の東武鉄道への向き合い方を見ると、どうみても積極性や能動性が欠けているから。東上線系統はわりとよく乗るし車両も好きだ。そして、利用するたびによく整備された路盤をどっしりと走る列車にとても好印象を抱いている。

2018年1月4日木曜日

【上毛電気鉄道撮影記事】晴れのち雪。デハ101を見ながら震えた日


■からっ風を浴びながら
東武伊勢崎線足利市駅を列車で通りかかるといつも、車窓から渡良瀬川にかかる古いアーチ橋(中橋)が見える。いつも気になっていて、列車から降りて歩いてみたいと思っていた。そこへ、上毛電気鉄道(以下、上電と略)の大胡電車庫(大胡列車区)で「新春イベント2018」が行われるというこの日に自宅から始発列車で上電沿線に向かっていたところ、経路ナビゲーションサービスでの経路検索結果には「東武伊勢崎線足利市駅で下車し、JR両毛線足利駅まで徒歩で移動して乗り替えろ」とあった。

2018年1月2日火曜日

【ごあいさつ】2018年もどうぞよろしく……と元旦の多摩川で189系電車を撮りながら


■いつもご愛読いただきありがとうございます
親愛なる読者のみなさん、などという呼びかけは筆者が好きな翻訳小説のようですが。このブログに足を運んでくださるみなさんに、年末のごあいさつもしないまま年を越してしまいました。そこで、遅ればせながら新年のごあいさつをさせてくださいね。新年あけましておめでとうございます。読者のみなさん、そのご家族やパートナー、親しくされているまわりのみなさんのいっそうのご多幸とご健康をお祈りいたします。もちろん、私やあなた自身の成功も。素敵な一年にしていきましょう。

さて、年末年始のごあいさつが遅くなったあいまに筆者は連日(みんな、ここ、試験に出るから赤線ね! 「れ・ん・じ・つ」「ま・い・に・ち」朝から)撮影に出ていました。元旦も、2日も多摩川で日の出を見ていました。考えたら、ふだんは「初日の出」なんて見に行ったこともないから、撮影しないといけないカメラが手元にある生活というのは、自分を怠惰にしないでよいのかも。

2017年12月30日土曜日

【東武鬼怒川線撮影記事】走れSL「大樹」! 夜の転車台にて


■夜汽車を撮るために
先日の東武鬼怒川線SL「大樹」撮影行の続きだ。上りSL「大樹」4号を砥川橋梁で撮ったのは15時ころだった。冬至すぎとはいえまだ明るい時間だ。いっぽう、SL「大樹」はさらにもう一往復する。下今市発16:32、鬼怒川温泉着17:08で、鬼怒川温泉発18:09、下今市着18:43ということは、冬至すぎのいまの時期は下今市を出発するのが日没とほぼ同じ時間だ。事前に計画的に行動するならば、日のあるうちの列車は撮影をして、日没後の列車には乗ってみるというのも楽しそうだ。次はそうしてみようと私も思う。

2017年12月29日金曜日

【東武鬼怒川線撮影記事】走れSL「大樹」! 鬼怒川線にて国鉄を味わいに行く


■鬼怒川の流れは絶えずして…… 
冬晴れの日が連日続いていたのに、この日は日の出から太陽がほぼ終日姿を見せなかった。鬼怒川の河原にいるとなおさら冷える。ときおり雲の切れ目から太陽が顔をのぞかせても、すぐに隠れてしまうために気温が上がらない。どうせなら雪が降ればいいのにと思うほど。足踏みをしたり体を動かして河原に立っていた。寒い日になぜ河原にいたかというと、列車を待っていたから。東武鬼怒川線を走るSL「大樹」を撮るためだ。


2017年12月22日金曜日

【上信電鉄撮影記事】上州ネギ味噌祭り! デハ204-クハ303混色編成ふたたび


■年末年始もいっちょうやるか
冬至、クリスマスも迫ってきて、いよいよ2017年も終わろうとしている。会社勤めのひとたちはあいさつ回りをしながら、休暇前の年末進行に大忙しだろう。かくいう私はといえば、自前の電子書籍のカメラ本のために借用をお願いしていた人気機種がようやく手元に届いて……年末年始は撮影だ。お、おう、やったろうじゃないのさ。

2017年12月9日土曜日

【航空自衛隊YS-11FC】YS-11FC 12-1160号機の夜間訓練飛行撮影ふたたび



■冬になっても夜間訓練飛行をねらう
冬至も近くなり、日に日に日没が早くなる。作業をしていてもあっという間に日没がやってくるので、いささか焦る。そして、夜間訓練飛行はほんとうに日没後に行われるために、この季節は撮りやすいとはいえない。それでも、飛行点検隊のYS-11FCが訓練飛行を行っているのを見ると、なんとか撮ってみたくなる。そうして、いつもと同じような絵を量産するというわけ。今日は12-1160号機が飛ぶ姿をねらった。

2017年12月8日金曜日

【鉄博PETIT訪問記】大宮にて


■平日夕方の鉄道博物館に行く
都心に急な用事があった日のこと。いくつかの用事を済ませると時間はもう15時過ぎだった。暗い曇り空が広がっていたので、どこかに出かけるにも遅い。そこで、ここしばらくごぶさたしていた、大宮の鉄道博物館(以下、鉄博と略)に行ってみた。前に行ったのはたしか震災前だったから……7年ぶりか。