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このあと雲が切れた |
■映画『太陽に灼かれて』とタンゴ『疲れた太陽』
ソビエト時代から活躍していて、いまやロシア映画でも巨匠といっていいほどの存在感のある映画監督ニキータ・ミハルコフ。そのミハルコフの映画『太陽に灼かれて(原題:Утомлённые солнцем)』(1994年)*1はご覧になった方も多いと思う。この映画のタイトルは1930年代から40年代ソビエトで流行していたタンゴの名曲『疲れた太陽(Утомлённое солнце)』(1937年)を文法的に(ロシア語文法でいうところの被動形動詞複数に、英文法でいう受動態に語形変化したもの。動作主は造格)もじったもの。もともとの「疲れた太陽」は日没直前の光の弱まった太陽のことだが、原題を直訳すると『太陽によって疲れさせられた(消耗させられた)人たち』という意味になる。この場合の太陽というのはかの時代の(お察しください)。この曲はノルシュテインのアニメでも使われているのだそうだ(筆者は未見)。
映画のタイトルのもとにもなったタンゴ『疲れた太陽』は、もとはポーランド・タンゴ『最後の日曜日(To ostatnia niedziela)』という。イェジー・ペテルスブルスキ(Jerzy Petersburski)が1935年に作曲したもので、ポーランドでヒット*2した。ソビエトでもたいへん人気があり、1937年以降にこのメロディにロシア語のまったくことなる歌詞がつけられ、曲名も変えられたものが3種類あるという。『疲れた太陽』はそのうちのひとつだ。ロシア語版Wikipediaを参照しながら書いているけれど、以前はこのことをくわしく日本語で解説してくれている合唱団のブログがあったはず。