2019年9月1日日曜日

【関西リハビリ鉄2019夏】南海高野線6000系撮影記 その1 堺東と住吉東にて


■南海6000系も撮ったよ!
「南海6000系電車ってあるやん。でもな、どうもうまく撮れへんのや。なんでかよぉわからんけど」という言いかたが正しいのかどうか、あずまびとの筆者にはいまひとつ自信がない。思わず「しらんけど」と書きたくなるほどだ。筆者がしばらく滞在していたのは南河内と泉州の接するあたりになりそうだけど、ネイティヴスピーカーじゃないから。河内弁と泉州弁だってちがいがあるはず。それに、年齢でも細かい言い回しがかわるはずだから。

まあ、そんなことはいいや。南海高野線の6000系電車を今年の夏はガツーン! と撮ってみようと思っていた。思っていたのだけど、どうもなんというか、完璧のペキっ! という仕上がりにならない。ようしらんけど。それでも、この夏の在阪療養期間中にときおり6000系電車にはカメラを向けたので、何度かにわけてそのようすをお伝えしたい。


■いまや貴重な1960年代デザインの片開き通勤電車
ここにお越しになるであろう大半のみなさんにはご存知であろう南海6000系電車は、1962年から東急車輛製造(現 株式会社総合車両製作所)で製造された高野線用の通勤電車で、南海では初のオールステンレス製車体を持つ。南海初どころか、そのころの日本にはまだオールステンレスの通勤電車は車体長18メートルと中型車に属する東急7000系電車と京王3000系電車しかなかったから、「初の20メートル車体の国産オールステンレス車」という言い方もできる。

1960年代の流行をいかして、やや丸みを帯びた正面デザインでヘッドライトはおでこに2灯ある。そして、側扉はもはや大手私鉄の車両ではめずらしくなってしまった片開き式だ。製造当初は車体は無塗装だったが、近年になってほかの車両と同様に紺色とオレンジの帯が入れられた。

1969年までに72両が製造されている。前述のように塗装の変更のほか、昇圧工事、冷房改造とそれにともなう台車の交換などのリニューアル工事はされたものの、制御装置などには大きく手を加えられずに、いままで1両も欠けることなく走り続けてきた。とはいえ、さびないステンレス車体とはいえ、すでに製造されて50年以上たつ。2015年の産経新聞の記事によれば、いちばん最初に製造された車両の走行距離は「最初に投入された「6001」号の走行距離はすでに588万キロに達した。来年(編注2016年)、600万キロの大台を越える見通しだ」と伝えている。「さびない鉄人」とは、産経新聞もたまにはいいことをいうもんだ。

車体はさびなくても、走行装置や電装品などは同じシステムの車両をまとめて抱えていて社内にストックがあるかもしれないが、いまや入手が困難なものもあるのではないか。そして、この電車は登場時は強力なモーターを持つ電車としても知られていたけれど、いまの主流は丈夫さはそこそこで、より軽量な車体にして消費電力の少ない電車になりつつある(安全基準と満たすとはいえ、私にはあまり好きな考え方ではない)。そこで、計画によれば本年の秋から2023年までに後継車両に置き換えられるとか。

あずまびとの筆者からすると、優美な1960年代デザインのまま、まとまった数が運用されているところに萌える……高野線の線路際に立つと、いまならたいして待たないうちに上下からさまざまな種別でやってくる。だからこそ「君が思い出になる前に」写真にうまくしたいのだ。







■かぶりかぶられ……うらないかよ!
ええまあ、わりとたくさん走っているんですけどね(ため息)。それをうまく活かせないのが筆者のだめなところ。たくさん走っていて、列車の運行本数が多いのはとてもありがたいのですよ。んじゃま、筆者の滞在先から通いやすい堺東の駅頭や、阪堺電車の撮影がてら帝塚山〜住吉東でねらってみると……対向列車に邪魔されたり信号機の柱の処理があいまいだったりして、うがあ! 自分の腕のいまひとつさがじつにはがゆい。正面の貫通路窓が大きい初期型の車両が来るときに限ってまたヘタクソである点もアレだ。チキンだなあ、自分。

より正確にいえば、うまく撮れないのは「こういう絵にしたい」という仕上がりの絵柄を脳裏にうまく描くことができていないのだろうから。それをはっきり決めてから、撮影地や時間を選んでいくのが写真家の仕事だもんな。

そしてさらに、そういう「こういう絵にしたい」という思いをうまく落とし込むことができるふさわしい撮影地をよく知らない、という情報の欠如もある。「ダイヤ上かぶられやすい場所」があることなどをよく理解できていないのが、まだまだ高野線はアウェイなのかもしれない。

などと書いても負け惜しみだけどさ。でもみてろ、負けないからな! などと思ってそれからもしばらくのあいだ私は線路際に立ってみた。このカメラのおっちゃんはひつこいんや。そんなわけで、しばらく南海6000系撮影記も続きます。






【撮影データ】
Panasonic LUMIX DMC-GX7 Mark II/LUMIX G VARIO 45-150mm F4.0-5.6 ASPH. MEGA O.I.S./Adobe Photoshop CC 2019