2019年9月11日水曜日

【上信電鉄撮影記事】上州路は激変の最中なり


■1年半ぶりにようやく上信電鉄へ
風到来の季節になると、どういうわけか上信電鉄を訪ねたくなる。はじめて訪問したのも確か9月の終わりのたいへん暑い日だった。そういう理由ではないにせよ、ひさしぶりに上信電鉄を訪問した。最後に行ったのは昨年の年始だったから、1年半とちょっとの時間が流れていた。そのあいだに、使用している車両についていえば上信電鉄は大きくさまがわりしてしまった。


まず、2年ほど前にJR東日本から購入して自社で少しずつ改修工事が行われていた107系電車6編成12両のうち、3月からはR7編成がクモハ701-クハ751としてクリームと緑の新塗装が施されて走り始めた。3月末からはR13編成もクモハ702−クハ752として、ジオパークトレインのラッピングをまとって運用を開始している。

そして、ついに9月11日からはR15編成が第3編成(クモハ703-クハ753)として群馬サファリパークのラッピング(いわゆるホワイトタイガー。シマウマではなくて)をまとって走り始めた。最近ではJRの車両が私鉄に譲渡されることはめずらしくはなくなったとはいえ、同じ県内で用いられていた車両が12両と大量に譲渡されたのはとても目を引く。



■元西武701系列は上州から引退間近
新しく車両が増備されるということは、列車の運転本数が増えるのではないのでなければ、置き換わる車両があるということを意味する。しかも、6編成12両もの導入ということは、部品取り用の車両があっても5編成10両と、いままでの所有車両の大半を置き換えることが意図されているはずだ。じっさい、JR107系電車の導入は西武鉄道より譲渡されて長年走っていた150形の置き換えを意図したものであったようで、私が来られないでいるこの1年半ほどのあいだに、150形のうち151-152編成(元西武411系→401系)と155-156編成(元西武701系、ジオパークトレインラッピング)はすでに廃車され、解体されて搬送される姿が目撃されてインターネット上でも報じられていた。さらに、ホワイトタイガー塗装の150形第2編成(クモハ153−クモハ154、元西武801系)は700形第3編成の竣工にともない、9月23日(月・祝)で営業運転を終えると上信電鉄から発表されている。

冷房改造がなされた20メートル3扉で2両編成を組むことができる抵抗制御の新性能車というこれら西武701系列は上信電鉄にたいへんマッチしたのか、1992年から1996年に上州の地にやってきて以来、ずいぶんながらく用いられてきた。上信電鉄の自社発注車両とも仕様がよく似ていたために、保守点検もしやすかったのだろう。

107系電車はさらに、在来車のうち非冷房の200形も置き換えるのではないかと私は勝手に予想しているので、150形と200形の活躍を見ておきたかった。1年半以上も訪問があいてしまったのは仕方がないとはいえ残念だ。

■走りは「国電」そのもの
そこで、ここのところ2度ほど時間を作って上信電鉄を訪ねた。どちらの日も700形は702-752編成しか動いていなかった。まあ、700形は今後どんどん増えていくのだから、あせることはない。むしろ、新塗装になった在来車のデハ252-クハ1301が動く姿を目にできたのがうれしい。

とはいえもちろん乗ってみましたよ、702-752編成にさっそく。佐野のわたし〜根小屋を走る702−752編成の姿を見た第一印象は「国電や!」というもの。そりゃあ、JR107系電車なんだから「国電」なのはあたりまえなのだけど……なんといえばいいのかなあ。上信電鉄はもともと、国鉄型の車体長・車体幅を持つ車両が入線可能な地方私鉄としては立派な設備を持つ鉄道でありつつ、自社発注車や西武鉄道の譲渡車を使い続けてきたわけでしょう。国鉄・JRのデザインとはことなる電車が走る鉄道だったのに、たいへんどっしりとした、いかにも国鉄(またはJR)という雰囲気の元JR車が走ってきてですね……足回りは元165系だから、ああ、MT54主電動機だわ! という音を響かせて。150形の主電動機の出力も120kwと同じ*なのに、風洞がことなるせいなのか、あれの音はMT46のようにやや甲高い。だからこう、「国電っぽい音」をさせて現れたわけですよ、702-752編成が。ぜんぜんわかりやすい説明になっていないけれど。



足回りはそのままのはずだから、乗ってみても走りは両毛線や上越線で乗ったことがあるおなじみの107系電車そのものだし、このところJR線上から急速に姿を消しつつあるMT54主電動機の電車の音だ。なんとなく、DT21/FS342のコイルばねの電車よりは揺れが少ないかも……それでも上信電鉄だと揺れるけれど……。150形はMc1-Mc2と全電動車だったのが、700形はMc-Tcと1M1Tで編成全体の出力は半分になる、と思って少し心配(?)していたら、よく考えたらいまの200形も旅客列車として運用される場合は1M1T、それもMT46系列の主電動機だから、大丈夫なのだろう。最高速度も60km/hくらいだし。千平を出て不通渓谷のあたりの勾配で空転して主電動機が「ぐおーん!」とうなったのは耳にしたけどな……。なにしろ雨の降り始めだったから。

はじめて知ったのは、107系はいわゆる電車らしいタイフォン(警笛)ではなく、もっと笛の音色のする警笛を備えているということ。JRのE231系電車にもある、「汽車」っぽいあの音ですよ。そいつを鳴らして走る姿はかなりぐっときてしまった。700形、いいですなあ。元西武車が好きなのに、その敵役も悪くないんだわ、これがまた。

今日はうまく説明できないことがらばかり書いているなあ。

■下仁田まで702編成に乗ってみた
佐野のわたしから下仁田行きの下り列車に乗ったのは夕方の日没の頃で、車内は下校する高校生諸君と定時で退勤したらしいサラリーマン諸氏で満員だった。私はモーターのついている車両に乗りたいので、2両目(高崎方)に行き、途中の吉井あたりで最後尾の運転室後ろが空いたので、それからは南蛇井までずっと去りゆく景色を見ていた。空の残照があたりを赤く染め、暗くなるにつれて彩度が落ちていく。途中で夕立も降った。こういう景色を揺れながら走る列車から眺めているのは、じつに旅情を感じさせていい。それにしても……桜井線と上信電鉄は似ているなあ。先月まで桜井線や和歌山線でやっていたのと結局同じようなことをしていることに気づいて、笑ってしまう。なにしろ、しょっちゅう桜井線の沿線に出かけて、夕方の高校生の下校時間に最後尾の車両、それもモーターのついているクモハ105から車窓を見ていたから。どちらも、地方路線用に1M方式に改造されて正面窓の周りが黒いパンダ顔だし。

下仁田に着いたときはあたりは真っ暗で、そしてひどい土砂降りだった。数人に減った乗客はみな駅の待合室で迎えを待っていた。土砂降りの下仁田駅前の雰囲気も、ただ気まぐれにやって来ただけの私にはすごくよかった。もっとも、運賃を精算してもらってから、数分後に出発する上り列車に飛び乗ってしまったのだけど。


だって、上り列車はホワイトタイガーの153-154編成だったから。下仁田から高崎までがっつり乗ったよ。乗るだろ、そりゃ。

150形の主電動機の出力も120kwと同じ:元西武701系はST形戸閉装置とバーターで、当時の国鉄からMT54相当の主電動機(日立製作所製の中空軸平行カルダン駆動方式の日立HS-836-Frb)とDT21台車相当(住友金属工業製FS342)の装備の使用を許可された

【撮影データ】
ソニーα7II/Jupiter-12 35mm F2.8, Jupiter-3 50mm F1.5/RAW/Adobe Photoshop CC 2019

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