2019年9月28日土曜日

【関西リハビリ鉄2019夏】JR和歌山線・桜井線105系撮影記 五條のひまわり

昭和43年製造、昭和59年改造かあ

吉野口から和歌山線についICOCAで乗っちゃった

■和歌山の105系電車の運行もあと数日か
JR和歌山線・桜井線(万葉まほろば線)を走る吹田総合車両所日根野支所新在家派出所(近ヒネ)所属の105系電車の運行もこの週末が最後(30日月曜日が最終日)と報じられている。あれだけ走っていた105系電車がいよいよ姿を消すというのは、にわかには信じがたいところもある。残り数日間の安全運行を願いたい。

さて、「姿を消すとは信じがたいところもあるけれど、後継の新車が走り始めたところを見ると、引退するのは本当らしい」と思って大和地方に足繁く通っていた8月上旬のある日、青い105系電車がひまわり畑のそばを走る写真を目にした。桜井線と和歌山線の王寺口ばかりに通っていた私には、ひまわり畑が線路沿いにあるということはまったく思い至らなかった。

もうググりましたよ、必死こいて。そうして、大和二見と隅田(すだ)のあいだ、五條市上野運動公園前にひまわり園があり、和歌山線の線路がそのすぐそばを走っていることを知った。そうして、畝傍ばかりに行くのに飽きて三輪と天理に行ったのに、あまりうまく撮れなくて自分に腕のなさに落ち込んだ翌週末に行ってみることにした。同じ絵柄ばかり撮る自分に飽きたのさ。

■五條にはなにがある
さて、五條市はどうやら、南和地区の中心地として古来より「吉野川(和歌山県では紀の川)流域に位置し、大和国と紀伊国を結ぶ交通の要衝として、また吉野山地への入口として古来より重視されてきた」(Wikipedia)ということらしい。駅名の表記は「五条」で町の名前の表記は「五條市」だ。いまは柿の生産が日本一であり、割り箸の製造、卸が盛んであるとか。そもそも、製材業が盛んであり、大和二見から紀の川ぞいまで貨物支線と貨物駅があって、そこから材木輸送を行っていたとも。

滞在していた松原市内から大和二見に行くには、五條市は「奈良県内で近鉄の駅が存在しない唯一の市」であるそうで、近鉄吉野線吉野口で和歌山線に乗り換えるか、近鉄御所から和歌山線御所駅へ徒歩連絡するか、近鉄長野線経由で河内長野に出て、橋本から和歌山線に乗る方法が考えられる。後者ふたつは試したことがあるので、唯一試していなかった「吉野口乗り換え」を今回は選んだ。いちばん簡単そうだから、いままで試していなかったのだ。

吉野口で近鉄の列車を降りたさいに、ホームでICカードリーダーにタッチして近鉄の降車情報をICカードに書き込んだのは忘れなかった。ところが、和歌山線との接続がよくて目の前にすぐに列車がいたから、そのまま乗り込んでしまった。

それのなにがよくないかって? 「和歌山線五条〜和歌山はICOCAカードなどのICカード乗車券はご利用になれません」というやつ。けれど、和歌山線の車内にはICカード精算用端末を持った車掌が巡回していたので、精算してもらうことができた。あの機械は携帯電話の回線で通信をしているのだろうか。

大和二見駅前はごくふつうの郊外の住宅地

上野(こうづけ)運動公園へまっすぐ歩く

あ、大和二見への帰りは上り坂やで

モビルスーツはヤマト王権では実用化されていたか

■上野運動公園に向かって歩くべし
列車内で運賃の精算をしてもらい大和二見で降りた。大和二見は奈良県内最南端の駅なんだって。駅舎は新しくなっていた。けれど、ここにはどう見てもかつての貨物線の跡と思しき空き地もある。往時はどんなところだったのか。いまとなっては、五條の町の市街地の外れに位置するらしく、駅前はごくふつうの郊外の住宅地といったところ。ありがたいのは、駅の目の前の国道24号線に出てすぐのところに、セブンイレブンがあること。セブン-イレブン五條二見店ね。広い駐車場とイートインスペースもあるよ。

むしろ、このセブンイレブンをすぎると、上野運動公園どころか隅田駅の先までコンビニエンスストアやスーパーマーケットはないんだ。五条駅方面に行かないとほかに食べ物は手に入らないからね。ただしカフェとうどん屋さんは途中にある。それ以外にスーパーマーケットは閉店しているので、気をつけて。

ひまわり園に行くにはこの国道24号をずっと隅田に向かって歩く。大和二見からは徒歩23分とひまわり園のアクセス情報には書いてある。まあ、2キロくらいだから歩けばいいのさ。

道路沿いにモビルスーツらしいものが立っている。看板屋さんの自作のものらしい。これをすぎて、上野運動公園への入り口の案内に従って左に入ると、運動公園はすぐだ。そこからはA地区のひまわりが咲いているのが見えて……おもわず歓声を上げた。

見ごろだったのは上野運動公園のいちばん手前(A地区)の花

■花を撮るには「逆光は勝利」
歓声を上げたのは、まずひまわりがきちんと、そこそこの本数と密度で咲いていたから。そしてこれが肝心なのだけど、正午ごろに到着したにもかかわらず、まだお辞儀をしていなかったことと、花がこちらを向いていたこと。まだ咲き始めてから日が経っていなくて、しんなりと枯れていないのだ。これはとてもありがたい。

ちなみに、線路が順光になるのは午前中だ。けれど、私が到着したのは正午。そしてむしろ、午前中に着かないように途中でお昼も食べた。それはどうしてかというと、花は順光で写しても私には美しいと思えないから。朝夕の太陽の高度が低いうちならば、順光でも悪くない。でも、昼間はちょっと……。おまけに、順光では小さい絞り値にしてもきれいにぼけない。順光で半端なぼけで撮った花はどうも好きになれないのだ。だから私は花を写すなら逆光になる条件であってほしかった。

でもね、ひまわりはほら……完全逆光だと花が向こうを向いてしまうことがある。そうなると変なんだ。だから、「逆光であって花がこちらを向いている」「枯れてしぼんでいない」という状況がうれしくて歓声を上げたというわけ。

花を透過光で写せるから逆光は没問題

もっとも、線路のすぐそばにのB地区とC地区に花が咲いているときが撮影時期としてはベストだったろう。私が訪問した8月上旬ではすでに、線路沿いの花は咲き終わりで枯れ始めていた。すでに、しんなりとお辞儀をし始めていたので、そこでは私は撮らなかった。

あ、これはあとひまわりに限らないけれど、ほんとうは朝いちばんに撮らないと、夏場は花が乾いてしまってみずみずしく見えないからね。

■もっとずっと大きくぼかしたい
あとはまあ、花以外のものをどうやって処理するか。広角レンズで編成全体を収めている写真はよく見る。ただ私にはその撮り方はどうしても背後の山の送電線や背景の家並みが気になって望ましく思えない。緑の背景のなかに白や赤の家があったら違和感があって目を引いてしまう。できるだけ、主役以外のものは目立たせないようにしたい。そこで、あれこれ考えて持っていたレンズの望遠端300mmでなんとか花もぼかして、家並みも隠すことにした。

いままでは「サンニッパ」と呼ばれる300mm f/2.8のレンズがほしいと思ったことはなかった。それが、このときはじめて切実にほしくなった。ひまわりをもっとずっと大きくぼかしたい。かつてフォーサーズには、オリンパスにZUIKO DIGITAL ED 150mm F2.0という300mm f/2相当レンズがあり、このレンズは中国・深センではなく辰野工場で職人クラスの工員が「辰野クオリティ」レンズとして作っていた。工場見学に行って見せてもらったことがある。あのレンズがいまこそほしかった。そうなるとボディはフォーサーズ用レンズでも位相差AFが使えるOM-D E-M1シリーズのほうがいいな。

でも、黄色とスカイブルーの車体色はうまいぐあいに対比できていいのかも。国鉄型原理主義者みたいなところがある私としては、クリーム色にオレンジ帯の塗装のころがいいと思っていたけれど、和歌山支社地域色をはじめていいと思ったよ。

背景と花の咲く密度を……どうしましょうねえ

そういうわけで、花と列車でいろいろ隠すことに

サンニッパや4/3の150mm f/2がはじめてほしくなった

花をもっともっと大きくぼかしたい

ひまわりはきれいに写すのがむずかしいと思う

正午過ぎてからようやく空も青くなってきた

■お弁当を持って来たい映えスポットだった
ひまわり園には休憩所も設けてあり、親切にも和歌山線の列車通過時刻まで貼り出してあった。ひまわり園のみなさんの心遣いがありがたい。お弁当を持ってきてここでのんびり食べるのも楽しそうだ。インスタグラムにアップするのだろうなあ、あのひとたちは、なんて思わせるカップルや家族連れを見ながら、木陰でしばらく腰を下ろした。飲料自動販売機やお手洗いは運動公園にあるので、その点も心配はいらない。105系電車が走らなくなっても、ここに来てのんびりと過ごすにはいいかもしれないな。

【撮影データ】
Panasonic LUMIX DMC-GX7 Mark II/LEICA DG SUMMILUX 15mm F1.7 ASPH. /LUMIX G 42.5mm F1.7 ASPH.  POWER O.I.S./LUMIX G VARIO 45-150mm F4.0-5.6 ASPH. MEGA O.I.S./Adobe Photoshop CC 2019