2019年9月25日水曜日

【関西リハビリ鉄2019夏】JR和歌山線・桜井線105系撮影記 櫟本再訪



■あたかも陶芸家が失敗作を壊すような
「ワシの出したい柿の色はこんなんやない!」などといって、陶芸家が窯から出したばかりの自作の陶器を割る……などというものは、「食パンをくわえて授業に遅刻して走るドジな女の子」と同じくらい、ほんとうには存在しないものらしい。ようしらんけど。

それでも、この日私は桜井線(万葉まほろば線)三輪(みわ)から巻向(まきむく)まで歩いて撮りながら、そんな「想像上の陶芸家」の気持ちだった。途中の踏切でやってきた227系電車を写しても「ちゃう! こんなんやない!」(がちゃーん!)と。もちろん、心のなかでそんなようすを思い浮かべていただけだけど。みんな、夏のせいだ……ではなくて、私の「絵心の引き出し」がとても小さく、同時に少ないんだと思い知らされたわけだ。

蒸し暑さと自分の写真の腕のなさにあまりにいやになったから、撮影をあきらめて巻向から天理まで電車に乗った。

■忽然と現れる都会
桜井線に乗るたびにいつも天理駅の前後で驚かされる。それは、線路が高架線を走り道路とは立体交差するようになり、駅もJRは2面4線ときゅうに規模が大きくなるから。駅前も都会のそれだ。そして降りてみても、駅前には小さい子どもなら大はしゃぎしそうな遊具があり、駅の高架下には授乳室を備えた待合室もある。前後の駅とことなり整然とした都会の駅なのだもの。何本もの列車を停泊させられる留置線もある。近鉄駅もけっこう立派だ。

筆者が桜井線にこうして乗っていた日はまさに天理教のこどもおぢばがえりの期間で、市内あちこちの天理教の施設でさまざまな催しが行われているようだった。近鉄駅をのぞいたら、団体臨時列車用の18200系「あおぞらII」が停まっていた。

中華料理店に入ると、「遠くからようこそ」ととても親切に対応されておどろく。住心地がいいところなのかもしれないな、ここは。天理ラーメンを食べる元気はないので、冷やし中華を頼んだ。ふだんは酥は好きではないのに、むしょうに酸っぱいものがほしくなったのだ。そうしてしばらく休んでから行軍を再開した。そこを221系電車が走ってきて、予期していなかったのでやや! とおどろく。思えばこれもこどもおぢばがえり向けのいわゆる「天理臨」なのだった。


■石上踏切で情報交換
けっきょく、天理から歩いて先日撮った石上(いそのかみ)踏切にやって来た。前回は櫟本(いちのもと)から歩いてたどり着いたけれど、ちょうど駅間くらいでどちらから歩いてもたいして変わらないね。そこへ、221系の返却回送と思しき列車が現れた。


この日は夏休み期間になったせいか、2名ほどの先客がいた。昨年夏も桜井線と和歌山線に通っているけれど、じつは日中に「同業者」に会ったことがほとんどなかったので、ちょっとおどろいた。早朝の4連を撮るとかではないと、みなさん来ないのかと思っていた。

でも、ここで同好のみなさんに会えたのは幸運だし正解だった。情報交換ができたからだ。なんでも、午前中は京都の117系による天理臨も走ったということ。7月31日の天理の「第63回おんぱら祭奉納花火大会」には奈良線103系も桜井線に乗り入れるということ、そして、天理駅前にレンタサイクルがあるということを聞いた。わお、さいごのそれむっちゃ知りたかったやつやん! 

私からはお返しに、最寄りのコンビニは西名阪道の天理インター前のセブンイレブン天理インター南店(石上踏切より徒歩15分程度)ですよ! なんてことは教えられたけれど。お役に立てたかなあ。






この日は常磐顔は1本だけしか遭遇できず、しかも湿度がとても高い明るい曇り空だった。なんともしまらないなあと思って、上下1本ずつ撮って桜井線から撤退してしまった。この、昼間の白っぽいとろーんとした空のもとで田んぼの中にいても、絵にならないからさあ。ま、こういう日もあるさ。

石上踏切でお会いしたみなさん、いろいろとご教示ありがとうございました。

【撮影データ】
Panasonic LUMIX DMC-GX7 Mark II/LEICA DG SUMMILUX 15mm F1.7 ASPH. /LUMIX G 42.5mm F1.7 ASPH.  POWER O.I.S./LUMIX G VARIO 45-150mm F4.0-5.6 ASPH. MEGA O.I.S./Adobe Photoshop CC 2019