2013年11月5日火曜日

【秩父鉄道1000系撮影記事】2008年9月、NikonF2を持って秩父へ行く

ニコンがこのところずっとじらし広告(ティザー広告)で「11月5日になにかを発表する」と予告していたのは、ニコ爺でなくてもデジタルカメラ好きのお仲間にはご存知の通り。アメリカ辺りからはだいぶ前から写真やスペックが漏れ伝わっていたけれど、とうとうそのカメラが「NikonDf」という名で、かつてのフィルムカメラF3やFEあるいはFAなどの1980年代テイストにあふれた、ダイヤルを中心としたデザインの35ミリフルサイズ(ニコンFXフォーマット)一眼レフであることが、正式に明らかになった。

 この、いかにもフィルム一眼レフ全盛期のデザインには多いに賛否両論があるだろう。発表会の様子を速報したデジカメWatchによれば、後藤哲朗氏が社内が二分するほどの騒ぎになったなどと語っている。そりゃあそうだろうな、と思う。このデザインで社内が完全に賛成するようだったら、ニコンという会社にちょっと失望する。けれども、ニコンではなければこういうカメラは作れなかったろうし(キヤノンはこういうことが絶対にできない。今後はわからないけど)、ニコンだからこそ求められているカメラでもあり(キヤノンユーザーはこういうカメラに興味はないのではないかな)、その葛藤はおそらく相当なものでもあったと思う。 


もっとも、2009年夏に企画がスタートし始めたというこのDfが登場しやすくなる環境は、内外から徐々に整えられていったとも思える。具体的にはスマートフォンの普及によるコンパクトデジタルカメラの市場縮小にともない、カメラメーカーは「伝統的なカメラらしい」製品に注力するようになっていった。そうして35ミリフルサイズ機の種類が増えているわけだし、あれほどフィルムカメラとの断絶をうたってきたオリンパスが、PEN EPシリーズを嚆矢に、とうとう電子ビューファインダー(EVF)のミラーレス機でありながら、ペンタプリズムを搭載した一眼レフのデザインを模したOM-Dシリーズを主力にしてきたように。富士フイルムのXシリーズもなんちゃってクラシックカメラデザインになりつつあり、ペンタックスK-7以降のK一桁シリーズも1980年代テイストデザインだ。

 ニコン自身の製品でいえば、Coolpix Pシリーズがだんだんアナログテイストデザインになりつつあったし(外づけ光学ファインダーが用意されたあたりから、おかしいぞと)APS-CサイズのCoolpix Aなど、これはどうみても「GRのGは後藤のGだと思ってください」(2006年カメラグランプリ2006贈呈式にて、後藤哲朗氏の言葉)の具現化ではないのか、と思っていたところ。まったく新しいマウントのNikon 1シリーズフラッグシップ機V2が、一眼レフふうデザインになったのもおやおやと思っていた。 まあ、ニコンのカメラがこれが主流になると考えものだけど、こういうラインナップもあるというのなら大歓迎だ。  ちなみに、私がこのカメラに対しておおいに興味があるのは、デザインはもちろんのことながら、D4同等の撮像素子と画像処理エンジンを組んでいるというところ。昨年、D4を試用させてもらいその高感度性能に感心していたのだ。

いま現在、ニコンのデジタル一眼レフは選びにくいラインナップになっていた。業務用機種であるD4が1,600万画素といちばん画素数が少なく、D4なみのAFと信頼性を持つD800シリーズは3,600万画素と画素数が多すぎる。D600およびD610は2,400万画素で画素数的には中庸だけど、AFがどうも……そして、D7100はAPS-Cサイズで2,400万画素とどう見ても高感度はフルサイズ機に比べて及ばず、連続撮影枚数も少ない。(それ以下の機種を選ぶつもりは毛頭ない) 「D800からD610のボディサイズで、D4のセンサーを積むカメラ」があればなあ! というのは、高感度撮影を積極的にしたいニコンユーザーの願いだったのだ。D610よりも軽量なDfでそれが実現したことがなによりもうれしい。 
動画機能と内蔵ストロボを省いたとか、非Aiレンズが使えるというのは「やりすぎだろ」と思わないでもないけれど、このカメラをほしがる「ニッコールレンズには絞り環がなくてはいかん」などとうそぶくリアルニコ爺のみなさんは、動画撮影やスピードライトのワイヤレス多灯撮影などをしないだろうからまあいいだろう。 


いかん、秩父鉄道にリバーサルフィルムをつめたF2を持っていったときの話をするのだった。  あれは、2008年の9月だったか。家族で三峰口まで出かけたことがある。まだまだ夏の終わりのような暑い日で、秋の気配は朝晩の風の冷たさでようやく感じられたというところ。昼前の電車(西武秩父まで新101系に乗った)で西武秩父で降り、仲見世で食事をして三峰口まで行った。途中の武州日野でパレオエクスプレス5002列車と自分たちの乗った1000系1010編成の交換待ちがあって、一緒に行ったまだまだ幼かった子どもがC58363を見て、とても喜んでいた記憶がある。かなり遅い時間の三峰口への訪問だ。

 

その頃は「出戻り鉄」を本格的にする前だった。けれど、どこかで身近な鉄道を走る好きな電車を撮りたいという思いと、ちょっとした旅気分を味わい、鉄道と情緒をうまく写せないかと思い始めた頃でもあり、D2Xを使ってもいたのにわざわざF2 Photomic Aにベルビア100Fをつめて、そして単焦点マニュアルニッコールレンズを持って秩父まで来たのだと思う。  それ以前、このブログを始めた頃はメカニカル式のフィルム一眼レフと単焦点レンズを数本だけ持って出かけることを、かっこつけもあって繰り返していたので、その続きをしたいという気持ちもあったのだろう。

いまやリバーサルフィルムをつめて撮影に行くには勇気がいると思えるほど、フィルムカメラとはご無沙汰になってしまった(どうしても費用を考えてしまうのが子持ち趣味人の悲しいところ)。それに、デジタルカメラで情緒が写せないとも思わない。 ただ、趣味であればカメラをいじくり回す楽しみというのもどうしてもある。業務ではそんな余裕はない。私にとってカメラをいじくり回す楽しさは、自分と向き合うことができる非日常を味わう時間でもある。だから、最近でも秩父行きにはD2XやD7000にマニュアルフォーカスレンズをつけるという、酔狂なことをしてもいるのだ。D7000はAFが信用できないということもあるのだが。

 けっこうな値段のカメラなので自分が手に入れるチャンスは先になりそうだけど、NikonDfを持って大好きな秩父鉄道をのんびり撮ることができたら、楽しいだろうな。

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